量は質を凌駕する

 ~ アウトドアと読書の日記

就職先を3ヵ月で辞めて以来、自堕落気儘に親の脛を齧って暮らす“甘ったれ"25歳が、母親の病を機に一念発起。バイトに精を出し、職探しに、大切な人を救うために、奔走する。本当にやりたい仕事って?自問しながら主人公が成長する過程と、壊れかけた家族の再生を描く、愛と勇気と希望が結晶となったベストセラー長編小説。

フリーター、家を買う。 (幻冬舎文庫)フリーター、家を買う。 (幻冬舎文庫)
(2012/08/02)
有川 浩

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今頃になってこの本を読んでいるわけだが、相変わらず細かい心情描写が読んでいてぐっとくる。さすがである。そして最後になってラブコメ要素もきちんと追加されている。有川ファンにはたまらないだろう。土建業の細かいところも、自衛隊物で発揮された取材力が大いに効果を出している。

しかーし!しかーしである。私はこの人の本を既に何冊も読んできたのだが、こういった技術力がどうしても過剰に見えてしまうのだ。何に対して過剰かというと、作者が言いたいことがどうも痩せているのだ。決して隆々とはしていない。その痩せた幹に対して、心情描写などのテクニックが過剰に過ぎ、どうしてもアンバランスに感じてしまうのである。

彼女の代表作である図書館戦争がその典型だ。空想上の検閲制度をめぐって図書館派と検閲派が血で血を洗う、という設定により、恐らく現在の日本がおかれている不自然な政治的状況を描き出し、彼女の信じるものを語りたいという狙いはよく分かる。しかし、その肝心の語りたいものが断片的にしか見えないのだ。それに対してテクニックが勝ち過ぎているので、ときにそれがあざとく感じられてしまうのだ。

本作においても、主婦のうつ病、フリーター問題、家族の対話、といったテーマは分かりやすく見えてくるものの、いずれも骨太さに欠ける。主婦のうつは原因が特殊すぎ、フリーターは簡単に決着しすぎ、もう少し苦さがでれば変わると思われるのだが。この辺りが今回直木賞を逃した要因か。☆☆☆。

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このブログを今回立ち上げたのは、自転車に乗る習慣ができたので記録をつけておきたくなった事もあるが、以前からフェイスブックに書評を書くのに不自由を感じていた事も理由の一つである。
FBは顕名なので友達も出来やすいが、もし書評でネガティブな事を書くと、それが誰かのお気に入りの作家だったりすると、気分を害されるかもしれない。
それが分かっているのに敢えて書くというのも、協調性が無いなあと思っていた。しかし成毛眞が、読書をしたらちゃんと記録を残せ、と言っていたので自転車と合わせてブログに記録する事にしたわけだ。
取り敢えず、以前言いたかったこと。
「永遠のゼロ」は、戦史の部分が余りにも他の人の著作の直引き過ぎて、興醒めだった。また本筋の主人公が特攻を志願する経緯もよく分からない。戦争についての歴史も、当時の人の心象も消化不足で、若手読者に受けるように見栄えの良いシーンに頼りすぎなのでは。出来の悪い2時間ドラマを見せられているように感じた。

優等生がひた走る本線のコースばかりが人生じゃない。ひとつ、どこか、生きるうえで不便な、生きにくい部分を守り育てていくことも、大切なんだ。勝てばいい、これでは下郎の生き方だ……。著者の別名は雀聖・阿佐田哲也。いくたびか人生の裏街道に踏み迷い、勝負の修羅場もくぐり抜けてきた。愚かしくて不格好な人間が生きていくうえでの魂の技術とセオリーを静かに語った名著。

うらおもて人生録 (新潮文庫)うらおもて人生録 (新潮文庫)
(1987/11/30)
色川 武大

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作家の前はプロの博打打ちだった著者による、人生訓のようなもの。曰く、9勝6敗や8勝7敗を続ける、うまく負ける、相手にも良い目を見させる、など30代前半までに読みたかった内容が盛りだくさん。

ただ、これって潜在能力が高い人がいかにそれを活かしていくのか、ということではないか?能力がなければ、うまく負けるのは無理だと思う。

それにしても、「若い頃は自分の力で生きてると思ってた」って、耳が痛いです。
☆☆☆☆☆。

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