量は質を凌駕する

 ~ アウトドアと読書の日記

2013年03月

ロングセラー『社員をサーフィンに行かせよう』の著者、 パタゴニア創業者イヴォン・シュイナードの最新作。
アウトドア系ブランドのパタゴニアが40年かけて試行錯誤してきた 地球環境保全や品質向上の取り組みを提示、 社会的責任とビジネスをいかに両立させるかを説く。
サステナブル(持続可能)、CSR(社会的責任)、 シェアード・バリュー(共通価値)…… ここ数年、企業の正しいあり方を示唆する さまざまなキーワードが浮上している。地球という有限の資源を前に、また、爆発する人口増加に伴い、 世界とどのように共生していくかを真剣に考える時が来ているのだ。 もはや、どんな企業も、勝者総取りの自己本位の資本主義を 振りかざしているわけにはいかない。 とはいえ、いかに志が高くとも、 一定の収益が得られなければ、早晩行き詰ってしまう。 社会的貢献とビジネスを両立させてこそ、「持続可能」なのだ。 また、そうしたカルチャーのない会社であっても、自分が経営トップでなくとも、 現場で始められることはたくさんある。 大切なのは、手の届く範囲で確実に実行し、成果を積み上げていくことだ。 そのため、本書では巻末に詳細なチェックリストを装備している。 パタゴニアは米国では最先端のエコカンパニーとして知られており、 そうした実績から、あの効率主義のグローバル巨大企業ウォルマートをして、 著者シュイナードをコンサルタントに迎え入れたほどである。 パタゴニアが考える企業責任の範囲は、自然環境にとどまらない。 従業員が生活を維持し、誇りの持てる仕事をすることや 新興国から搾取しないことなど、ステークホルダーすべてに関連する。 この実現可能な提言は、業界を問わず参考になるはずだ。

レスポンシブル・カンパニーレスポンシブル・カンパニー
(2012/12/07)
イヴォン・シュイナード、ヴィンセント・スタンリー 他

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前作「社員をサーフィンに行かせよう」では、自然を商売のネタにしているパタゴニアという会社が、いかに自然と共生していくべきかということが描かれていた。本作では、最近パタゴニアのお陰で環境に目覚めてきたウォルマートと一緒に社会的活動を始めたパタゴニアの立場から、企業に対する啓蒙的な内容となっている。

やはり環境への取組は今日的であり、先日読んだ「IKEAモデル」のような本とは一線を画す。プーマ社が環境損益計算書を開示したという話には驚いた。やはり環境問題の推進には金融機関の取組が不可欠。

啓蒙的になってしまって前作のワクワク感が薄れたので☆☆☆。

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大震災、緊迫と感動の自衛隊ドキュメント。「兵士」シリーズ最高傑作完成! 津波に呑まれながらも濁流の中を自力で泳ぎ、人々を救助した隊員達がいた! みずからの家族の安否も確認できぬままの救助活動、遺体と向き合う日々……。そして非常事態に陥った福島第一原発では、世界中が注目する中、全国から様々な部隊が召集されていく。自衛隊を追い続けた著者の二十年の歳月が生み出した感動の一作!

兵士は起つ: 自衛隊史上最大の作戦兵士は起つ: 自衛隊史上最大の作戦
(2013/02/18)
杉山 隆男

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東日本大震災において本当に頼りになった自衛隊の活動を「兵士」シリーズの杉山隆男が兵士の目線からまとめた。

主には多賀城駐屯地の第22連隊が中心だが、福島原発への注水活動や松島航空基地の話も見逃せない。氏の兵士シリーズは「兵士になれなかった三島由紀夫」で一旦完結したのだが、10万人規模での史上最大の動員となったため、氏が培った現場レベルでの自衛隊員とのリレーションを存分に活用しての本作となったようだ。

読んでいてつらくなるのは遺体捜索の場面。自衛隊員が人目もはばからず大声で泣くシーンが描かれている。だが機械的に処理されるよりずっといい。私は大震災の話の中で、大川小学校の一件を読むのも見るのも苦手だ。それは大人が子どもを守りきれなかったお話だから。

でもこうして自衛隊員が現場の悲惨な状況に、人間らしく感情を持って、でも歯を食いしばって接している様子を見ていると、なんだか救われるような気がする。
本としては、従来の兵士シリーズよりはあまり時間を掛けずに作った様子が見えるので、☆☆☆☆。

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史上最高のお金持ちはだれか? グローバリゼーションで世界は不平等になったの
か? 現代のアメリカと古代ローマ帝国の所得格差はどれほど違うのか? などなど、
数多くの思い込みを数字で覆し、精確に理解するための必修知識を与えてくれる一
冊。

不平等について―― 経済学と統計が語る26の話不平等について―― 経済学と統計が語る26の話
(2012/11/23)
ブランコ・ミラノヴィッチ

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統計を使って不平等を解説する本だが、統計は主に主要な国の過去の所得を正しく比較するために使われているので、そんなに恐れる必要はない。地域間格差、階級間格差を数字を使って解き明かしていく。

その中で、アジアは地域内の格差が大きすぎて、EUのような連合はまだまだ無理なこと、全世界のジニ係数は80(日本は30、インドで60くらい)というのには驚いた。

グローバリゼーションの正体は、比較優位論では一見正義に見える途上国生産が、実は労働分配率から見れば激しい搾取であるということもよくわかる。安い労働力による利益率の拡大は、現地に多少の雇用を産み出したとしても、やはり搾取としか呼べない。世界が俯瞰できる好著。☆☆☆☆☆。

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1970年代から衰退が始まった日本の漁業が、持続的かつ生産的な産業に生まれ変わることができたら、衰退に向かっている各種産業に多くのヒントを与えることができるはず。
本書では、日本漁業の現状や問題点を明らかにし、漁業に成功した国々の改革事例を分析することで、日本漁業再生への道筋を示す。

漁業という日本の問題漁業という日本の問題
(2012/04/12)
勝川 俊雄

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日本の漁業制限は総量が規制されているが割り当てが無いため、規制量に達するまで早い者勝ちで漁が行われる。このため価値の低い幼魚まで漁獲されてしまい、その年以降の漁獲量に大きく影響を及ぼす。またとにかくその年の量を確保することに皆奔走するため、市場の状況や港での処理能力にまで配慮せず無駄に漁をしている。

一方ニュージーランドやノルウェーは、地域や船に対して漁獲量を割り当てるので、無駄に急いで獲る必要がなく、市場の状況や処理能力も見ながら価値の高い成魚を計画的に獲ることができる。このため単位当りの収益も高くなり補助金は最小限で済む。

ああ、ここにもまた一連の、開発途上国支援のようなお話があった。そういえば蜂のコロニー育成でもまったく同じことを書いた気がする。自立性の確保ってサステイナビリティと相当に親和性がありそう。

それにしても日本の政治はまったく学んでない。本書によれば、それなりに動きは出てきてはいるようだが。
これは必読です。☆☆☆☆☆。

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読書をしない人間に成功などありえない。しかも本は多く読めば読むほどいい。たくさんの本を同時に読みながら、独自の視点や広い視野を獲得するための手法や、書評の技術も紹介した超実践多読術。

実践! 多読術  本は「組み合わせ」で読みこなせ (角川oneテーマ21)実践! 多読術 本は「組み合わせ」で読みこなせ (角川oneテーマ21)
(2010/07/10)
成毛 眞

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いつも参考にさせてもらっている成毛さんの読書方法について書かれた本。

いわく「10冊並行して読め」がポイント。面白くなかったら途中でやめてもいいらしい。そして本当に面白い本を探し当てる。成毛氏は本の保管用に1件マンションを借りていて、もうそこもいっぱいらしい。

参考にはなるが真似はできない(笑 ☆☆☆☆。

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