量は質を凌駕する

 ~ アウトドアと読書の日記

2013年08月

女優・高峰秀子は、いかにして生まれたか―複雑な家庭環境、義母との確執、映画デビュー、養父・東海林太郎との別れ、青年・黒沢明との初恋など、波瀾の半生を常に明るく前向きに生きた著者が、ユーモアあふれる筆で綴った、日本エッセイスト・クラブ賞受賞の傑作自叙エッセイ。映画スチール写真、ブロマイドなども多数掲載。


わたしの渡世日記〈上〉 (文春文庫)わたしの渡世日記〈上〉 (文春文庫)
(1998/03)
高峰 秀子

商品詳細を見る





急に暑さが戻ってきてびっくりしてますが、明日は国立競技場で駅伝大会に出場予定。大丈夫だろうか(・・;)

読書記録を作者別にカテゴリー分けが完了しました。ゴロちゃんさんのブログのつくりをかなり参考にさせていただきました。これでかなり見やすくはなったとおもうのですが、そうしたらカテゴリーの一覧が異様に長くなったので、テンプレートのhtmlをいじってフォントサイズを小さくしてみました。小さすぎたかもしれません(汗

今日は戦前から戦後にかけて、子役から大女優に成長を遂げた高峰秀子の半生記をご紹介します。恥ずかしながら、堺正章の西遊記でお釈迦様を演じていた人、と思ったのだが、それは高峰三枝子でした(ー ー;)

一部では「ゴーストライターが書いたのでは?」との声もあったそうだが、「こんな個性的な文章、頼んでまで書いてもらわない」と版元に否定されたらしい。これは誉め言葉なのか…

特に戦中については、よく覚えていたなと思うほどの詳細な記述で、当時の世相がリアルに窺える。これだけでも十分読む価値がある。しかしこの本のより素晴らしいところは、女優・高峰秀子がなぜ大女優足り得たのかが垣間見える点だろう。

高峰は演技について、「どう演じるかの前に、その人物を正しく理解すること」と語っている。その裏付けとなるのは、物事の本質を見極める力だと思うのだが、それが本作の人物評価に表れている。一つは著名人との交わり。東海林太郎、谷崎潤一郎、梅原龍三郎などの大芸術家を観察するその目の付け所が素晴らしい。

谷崎潤一郎とは高峰が「細雪」に出演したことが縁だったらしいが、以後30年近くにわたり家族ぐるみの交際が続いている。谷崎の食へのこだわりや「細雪」をそのまま再現したような谷崎の家族の様子などが、本書にも鮮やかに描写されている。

梅原は高峰の肖像画を何点か描いている(本書の表紙も)。その内の一点は高峰が保管していたのだが、ある時国立博物館に寄贈することになり、それがきっかけで高峰が叙勲されることになった。しかし本業に関係ない叙勲で高峰は不快な思いをしたらしいのだが、梅原からも高峰に「こんなことで不快にさせて申し訳ない」と謝罪があったそうだ。庶民の私などは勲章がもらえればそれでいいじゃないかなどと思うのだが、この二人はお互いにプロフエッショナルだけに、何を誇りに思い何をそう思わないか、通じあっていたといえるエピソードである。

著名人ではない人達との交わりにも、高峰のものを見る目を示すエピソードが多い。特攻隊への慰問で「同期の桜」を歌い、それが確実に何人かの若者を死に追いやったと告白している。戦争が終わったとたんに反戦家に早変わりする人もいるなか、この告白は潔い。同時に、ハワイの日系移民の人たちが戦争中に遭った塗炭の苦しみについても語っているのだが、二つの祖国を持つ人たちへ注ぐ眼差しが実に温かい。

この感情移入ぶり、共感性の高さこそが彼女の演技力の源であろう。また何が正しいのかについて、自分の物差しをしっかり持っていることがわかる。本人は、自分はろくに学校に行っていないので読み書きが不自由と書いているが、なかなかどうして、本当に読み応えのある一冊だった。
☆☆☆☆☆。

随分と涼しくなってきましたね。今夜のブエルタ、トニー・マルティンの逃げに夫婦で感動しました!
いよいよ読書の秋、どんな本を読もうか考えておられる方も多いのではないかと思います。今日は私の読書スタイル、すなわち本を選ぶところから、読むシチュエーション、読むペースなどについてちょっと書いてみます。

もともと読書は欠かさない方ですが、長男が生まれた4年くらい前から読書記録を付け始め、それ以降読むペースがぐっと上がりました。以前は週に1冊くらいでしたが、今は4冊くらいだと思います。気が付けば4年間で1,000冊読んでいました。これだけの量ですので、ほとんどは図書館で借りています。新刊でどうしてもすぐ読みたい時や、読みたいと思った本が図書館に無い時、英語の本をKindleで読むときなどは買っています。

選び方ですが、一番見ているのは日経新聞の日曜版の書評欄ですね。次が同じく日経の水曜夕刊の書評欄。あとは時々Amazonのお勧めを眺めます。これも1,000冊くらい出てくるので、中には面白そうなものも。気になる本があったらそのまま図書館のサイトで予約します。そうそう、私の住むネズミー市の図書館は、ネットで予約ができるし、駅前に図書館の出張所があって、通勤の時に借りたり返したりできてとても便利です。朝は7時から、夜は21時まで開いています。

ジャンルは以前ここにも書きましたが、10年位前はいわゆる海外ミステリー専門でした。特に好きだったのは「極大射程」「狩の時」のスティーブン・ハンター、「燃える男」「パーフェクトキル」のクィネルといったアクションスリラーでした。それがある時「小説なんて所詮虚構だ。いくら読んでも自分の中には何も残らない!」と思い、時事や歴史を中心としたノンフィクションものに一気に傾倒します。特に好きだったのが「ポーツマスの旗」「戦艦武蔵」の吉村昭。これは多分、著作の95%は読んでいる自信があります。

吉村昭を読み尽くし、それ以降は戦中戦後の日本・欧米の政治・外交史やら、最近の安全保障・環境保護・途上国に関する分野などが多いでしょうか。ミリタリーオタクでもあるので、軍事関係で面白そうな本も手にします。今年の3月にブログを書くようになってからは、再び日本の若手作家の小説も読んだりしていて、また新たな面白さを感じております。

いつ読むか、ですが以前1週間の時間を何に使っているかをカウントしたことがあるのですが、それによれば1週間168時間のうち、仕事:55h、睡眠:40h、食事:10h、読書:30h、運動:9h、その他:残り(24h)という配分だったと思います。通勤は往復1時間半ですが、その半分は読書、半分は運動(徒歩)です。

読書の30hのうち、通勤と休憩時間で1h/日、寝る前に2h読書で、ウィークデイに15h。休日は朝食前、朝食後、昼食前、昼食後、夕食前、夕食後は読書です(笑

そんなわけで、実は仕事以外の時間が異様に忙しい(^^;

そんな父の姿を見て、息子も本好きになってくれるといいな(´Д`)

ブログ開始以前の読書記録の中にも面白かった本がたくさんあるので、今後はそれらもご紹介したいとおもいます。

世に大西洋の戦いという、第2次大戦下にアメリカからイギリスに物資を補給する大西洋横断の護衛船団と、その輸送を阻止しようとするドイツの艦艇との戦い。その苛酷さを描写し尽くし、人間の悲惨と偉大を静かに物語る。

非情の海〈上〉非情の海〈上〉
(1992/12)
ニコラス モンサラット

商品詳細を見る





昨日の晩のブエルタ・エスパーニャ。途中最大斜度30%という恐ろしい坂が登場しましたが、選手たちは何食わぬ顔で走り抜けていきましたね。自分なら多分10mでギブアップです。でも日本にも最大斜度37%(!)という恐ろしい坂道が東大阪にあるらしいです。そこは楽しいのか?! まあ楽しいんでしょうね(笑

これまでなりを潜めていたカンチェラーラがゴールスプリントで久々に映像に顔を出したのも嬉しかったです。この人スイス人で本当に男前です。今年は春先のツールドフランドールという1日のレースで、ゴールまでの最後の20km近くを悠々と独走して勝利したシーンが印象的でした。今回のブエルタでは、直後の世界選手権に向けて途中棄権も噂されていますが、ようやく見せ場を作ってくれました。



さて、今回は第二次大戦中の連合国とドイツ潜水艦隊の戦いを描いた「非情の海」です。

イギリスの小説らしく、あまりクライマックスに向けての盛り上がりとか、大どんでん返しとかがなく、とにかく退屈とも思える日常の描写と緊張感が高まる戦闘シーンの繰り返し。それがゆえに、戦争のむなしさがいっそう際立ちます。

実質主人公の副長は元々は普通の勤め人だったのですが、物語の最初に軍に入り、物語の進行につれて船長していく姿が描かれています。

これって「プライベート・ライアン」でトム・ハンクスが演じた元教師の小隊長みたいですよね。あの隊長も闘いのプロでしたが、こんな感じで育っていったんでしょうか。

戦争は実際にはこんな感じだった、という一冊ではないかと思います。☆☆☆☆。

いよいよブエルタ・エスパーニャが始まりましたね。このブエルタ・エスパーニャというのは、イタリアのジロ・デ・イタリア、フランスのツール・ド・フランスと並ぶ、3大グラン・ツールと呼ばれている、自転車のF1レースみたいな最高峰のレースです。各々、21のステージを3週間掛けて回ります。

どの大会も総走行距離は3,000kmを超える過酷なレースで、選手は体力の限界まで出し切ることを求められるので、ドーピングが後を絶たないこともまた事実です。最近では、ツール・ド・フランス7連覇のランス・アームストロングがその実績を抹消されたことも記憶に新しいですね。

それでもグラン・ツールをはじめとする自転車レースの人気は衰えを知りません。私もまだまだビギナーですが、ステージ優勝した時に選手が感情を爆発させる様や、苦しい局面での選手の必死な形相、エースのサポートに回る選手のひたむきさなど、単に速さや駆け引きだけではない自転車レース独特の人間模様の面白さがチラッと分かりかけてきたところです。(写真は第3ステージ、グランツール最年長の41歳でステージ優勝を果たしたホーナー。乗っている自転車は奇しくも私と同じTREK。値段は10倍くらいしますがw)

_VE_2013_0300_LIV02.jpg


昨日が第2ステージだったのですが、2日目にして本命の1人、ニーバリが総合トップに立ちました。ニーバリはジロでも優勝しており、これから周囲からのマークもきつくなってくると思うので、それをどうあしらっていくのかも見せ場の一つになってきましたね。ブエルタエスパーニャについてもっと詳しく知りたい方はこちら

さて、先日の「買って良かったキャンプ道具ベスト3 ~ 夫編」に引き続いて、今日は妻編をお送りします。

ちなみに夫編では①ラウンジテーブル&チェア、②グランドシート、③ケトルでした。
時間も無いので、まずは第3位










ジェントス LEDランタンです!


GENTOS(ジェントス) LEDランタン エクスプローラー プロフェッショナル 【明るさ280ルーメン/連続点灯72時間】 EX-777XPGENTOS(ジェントス) LEDランタン エクスプローラー プロフェッショナル 【明るさ280ルーメン/連続点灯72時間】 EX-777XP
()
GENTOS(ジェントス)

商品詳細を見る


このランタン、サブランタンとしてお世話になってる方も多いかと思います。我が家でもユニフレームのガスランタンをメインに使っており、ジェントスはあくまでもサブなのですが、妻曰く「普通に困らないくらい明るい。天井に吊るして下向きに照らせる。熱くならないので安心」と言っています。もう買ってから6泊してますが、電池もまだまだ大丈夫そうです。まああんまり褒めると、ユニフレームが拗ねそうなのでこのくらいにしておきます。


続いて第2位








コールマンのグランドシートです!


Coleman(コールマン) マルチグランドシート/300 170TA0083Coleman(コールマン) マルチグランドシート/300 170TA0083
(2012/03/08)
Coleman(コールマン)

商品詳細を見る


奇しくも夫の第2位と被りましたが、妻曰く「ティエラのリビングで靴が脱げるのがいい。オープンタープにも早変わり!」とのこと。ここで注目すべきは、妻がオープンタープをポジティブに評価してること。どうやら先日の大野路での即席タープが功を奏したようです。オープンタープ購入に一歩近づきました!
9月の3連休に向けて物欲が燃え上がります!



続いて第1位!







コールマンのインフレータブルマットです!

Coleman(コールマン) キャンパーインフレーターマット 2000010427Coleman(コールマン) キャンパーインフレーターマット 2000010427
(2012/03/08)
Coleman(コールマン)

商品詳細を見る


7月に初めてかずさオートキャンプ場に行った時、私も妻も夜中に背中が痛くなったのですが、妻はこのマットにした途端痛みがきれいにおさまったそうです。さすがはコールマン。あまりに普及しすぎているので見逃しがちですが、これだけ普及するということは、それだけ使いやすいということですよね。

このマット、今や積み下ろしも面倒なので、車に積みっぱなしになっています。どこか行ったときにササッと広げて寝転がったりできるかも。実は、コンフォートマスターのスリングチェアも積みっ放しなのですが(^^;
でも夫は実は未だに熟睡できなくて、枕を新たに買ったりしています(笑)




しかしこんな短期間でよくもこんなに色々と買い込んだものだと我ながら感心します。
実はキャンプ道具の総括は以前もやっているのですが、これって結局自分が買いあさった実績を振り返っているということで、「あー、こんなに買っちゃったのか・・・」という反省もあり、次なる物欲を抑制する効果があるようです。でもまた他の人のブログなど見てしまうと新たな物欲が・・・(笑



これからだんだん寒くなってきますので、テント内の暖房をそろそろ考えなくてはいけません。とりあえずは湯たんぽ、カセットガスヒーターなどを考えていますが、もう少し小さなテーブルを入手してテント内コタツにしてみたいとも考えています。あー、環境が変わると新たな物欲が。

こちらもポチっとお願いしますm(_ _)m
にほんブログ村 アウトドアブログ キャンプへ
にほんブログ村

39歳独身の歩は突然会社を辞めるが、折しも趣味は映画とギャンブルという父が倒れ、多額の借金が発覚した。ある日、父が雑誌「映友」に歩の文章を投稿したのをきっかけに歩は編集部に採用され、ひょんなことから父の映画ブログをスタートさせることに。“映画の神様”が壊れかけた家族を救う、奇跡の物語。


キネマの神様 (文春文庫)キネマの神様 (文春文庫)
(2011/05/10)
原田 マハ

商品詳細を見る





このお話は映画をめぐってある男が人生を取り戻すお話です。というか、そう読めました。
主人公のゴウは、これほどに冴え渡る映画評論を書ける人ですから、さぞや知性に溢れた人なのでしょう。それが何かのきっかけでつまづいた。こんなはずじゃなかったのにと思いながら、ギャンブルに癒しを求める、借金がかさむ、さらに色んなものを失う、の繰り返し。自分を省みられる人ですから、どんどん虚しくなっていきます。

ギャンブルにはのめり込まなくとも、人生を虚しく感じている人はたくさんいると思います。
そんな老人が、ブログを通じて本当に心を通い合わせられる友人に出会った。
お互いに老い先短い2人はその出会いをかけがえのないものだと思い、全力でお互いにぶつかりあった。
そして2人は自分の人生を取り戻すのです。この二人のやり取りが実にいい。

そんなきっかけを与えてくれたキネマの神様も、二人のことを温かく見守っていることでしょう。
やっぱり、こういう喪失感を感じている人が何かを取り戻す話って、いいですね。
と言いながら、実は私、「ニューシネマパラダイス」観てません。でも観てなくても十分楽しめるお話でした。
もっと登場人物を減らしても良かったかも。☆☆☆☆。

↑このページのトップヘ