量は質を凌駕する

 ~ アウトドアと読書の日記

2014年03月

佐倉健康マラソンのレポートも書かないといけないのだが、頭のなかは完全にキャンプシーズンに突入(笑) 佐倉マラソンの前日の土曜日は何もすることがなかったので、嫁様とコースケを連れて京橋のモンベルに行ってきた♪目的は以前からの懸案のサブテントの選定。(選定記事はこちら)夏場に設営・撤収時間を短縮して、1泊のキャンプを増やそうという狙いだ。


候補としてはスノーピークのfal4もあったのだが、嫁様が実物を見てその天井の低さに「閉所恐怖症になる」とのたまい撃沈(経緯はこちら)。そんなわけで、どっちにしても買うためには実物を見るのが必須!ということに相成った。




キャンプ用品がある二階に行き、レジにいたお兄さん(実は店長さん)に「クロノスドーム4型、張ってもらえませんか?」と頼んでみる。ここの店舗は広々してるので、こういうリクエストにもすぐに対応してもらえる。写真はさすがに遠慮したのだが、張る時間は計らせてもらった。袋から出すところから計って約6分!(除くペグダウン)

早速テント内に入ってみる。フレームが中央で「バーチカルクロスシステム」とやらで接続されているため、圧迫感を感じない。嫁様も満足そうだ。ということで、購入方針に決定!いやー、長くかかった。

方針が決まったら、善は急げ。夏の賞与はまだだが、せっかく張ってもらったし、消費税も上がるので、今日買って帰ることに。ついでに専用のグランドシートも。これがあると、フライだけで建てることも可能なのだ。


帰宅したら早速リビングで試し張りだ。まずは袋に入れたままハアハアする。



グランドシートの上に中身を広げてみる。左から、ペグ、ポール、フライ、インナー。これで重量は約4kg。



時間計測しながら組み立て始める。えらくリラックススタイルなのはご勘弁を(笑)



ポールをグランドシートの四隅に差し込んで、インナーテントをぶら下げる。インナーテントだけ先に撤収することも可能だ。



吊り下げ式なので作業は早い。スリーブに差し込む方式だとこうはいかない。



インナーが釣り下がったらフライを掛けて四隅をフックで止める。



そして完成!! なんとここまで5分♪
ペグダウンを入れても10分あれば立つだろう。聞きしに勝るとはこのことだ。モンベルの店長さんも「ムーンライトも立てるのは早いですが、クロノスの方が設計が新しいのでより簡単です」と言っていた。



早速中に入ってみる。



コースケもかなり気に入ったようだ。ママも「これなら私にも立てられるかも」と前向き発言♪



さて、このクロノス4型、略してクロヨン、モンベルのHPに載っているサイズはこの通り。高さは116cmになっている。私もこれを見ていたので、嫁様にも自信を持って「クロノスなら大丈夫」とは言えなかった。しかし身長110cm弱のコースケが横に並んでみると…







クロヨンの方が遥かに高い!




背比べ用の目盛りと比べるとこの通り。
恐らく140cmはあるものと思われる。このHPの表示のせいでクロヨンが登山用の印象を持たれていると思うのだが、実際のサイズは明らかにオートキャンプ用だ。



インナーを外して広々♪



こちらが広さの秘密、バーチカルクロスシステム。詳しくはモンベルのHPで。



こちらがポールを差し込む四隅のグルメット。まずグランドシートのグルメットにポールを差し込み、その上(下?)からインナーのグルメットを差し込むと、雨の時などインナーだけ先に外せるので便利だ。




あー、ついに買ってしまったサブテント。今週末は花見キャンプなので基本はティエラなのだが、ついでにクロヨンも張ってしまいそう♪ 楽しみ~!

無事完走しました♪
ただし目標には届かず orz
応援コメント頂いた皆様、ありがとうございました。

ネットタイム:3時間35分38秒
グロスタイム:3時間36分08秒

スプリットタイム
0- 5 25:00
5-10 24:29
10-15 24:12
15-20 24:41
20-25 25:22
25-30 25:32
30-35 25:51
35-40 28:00
40- 12:31

35kmまではあがいたのですが、力尽きました… 風はそんなに吹かなかったんですけどね~。でも最後の坂はキツかった!

反省としては、やはり昨年の12月から本格的に走り始めたので、ミドル走はそれなりに走れても、走り込みの絶対量が不足していると感じます。それが、前回の若潮もそうでしたが、終盤の失速につながっているのではないかと。

でもいいこともあって、今回10年ぶりにPB更新しました!! 39歳の自分に勝った♪ ついでに若者にゴールスプリント仕掛けられましたが、返り討ちにしてやりました笑) そんなわけで、達成感はないが充実感は一杯あります♪ 3ヶ月間ほとんど酒を飲んでないので、今日は飲みます!!

ちょっと見苦しいが、私の脚だ。



矢印の先に水平に白く膨らみが見えるかと思う。大腿四頭筋の一部なのだが、走り込んでくるとこんな感じで膝の皿の上にプックリと現れる。これが出てくれば、脹脛靭帯が痛くなることはまずない。こらが練習量のバロメーターなのだ。だだし今年はcw-xをはいているせいか、例年より出るのに時間がかかった。って、桜前線かよ(笑)

いよいよ明日に迫った佐倉健康マラソン。まだ多少の迷いはあるが、タイムテーブルを考えてみた。まずはゴールタイムの目標。


これはズバリ、3時間半を切ること。25分、24分、22分半のビルドアップ走や、キロ5分の30kmロング走など、これまでの練習はこのタイムを目標にしてこなしてきた。条件さえよければ3時間半は切れると思う。

ただし、以前コースを試走した時(→【平地で貯金】佐倉健康マラソンの勾配実測【急坂に備える】)にも確認したが、このコースには途中と最後にきつめの登りがある。特に最後の登りには1分はみておきたい。

また明日はお昼前後に南東の風が結構強めに吹く。前回の館山若潮マラソンのときも前半の風でやられたので、向い風にあまり抵抗しないペース配分にしたい。プランを考える上では、このための貯金をどこで作るかがポイントになる。コース図はこちら。上が北なので、風は右下から左上に向かって吹く。したがって、5km~15kmは追い風、30km~40km手前は向かい風になる。

20140309202060.jpg

坂は大きく分けると三つある。
①スタート直後、競技場から下りきったあとに京成佐倉駅に向けた緩やかな登り
②15km付近の強烈な登り。500mで30m登る
③最後の競技場への登り。これも500mで20m以上登る

佐倉高低差


ペース配分の基本は5km24:30。条件がよければ24:00、悪ければ25:00または25:30。そうすると、レースプランは以下のようになる。青字が追い風区間、赤字が向い風区間だ。

0-5 25:00  スタート直後の混雑
5-10 24:00  追い風
10-15 24:00  追い風
15-20 25:00  登り坂
20-25 24:30  
25-30 25:00  一部向い風
30-35 25:30  向い風
35-40 25:30  向い風
40-42 12:00  登り坂
トータル 3:29:30

と、ここまで書いて過去のレースで一度たりともプラン通りにいったことがないのを思い出した。結局は走り出して30分以上経ってみないと、その日の調子なんて分からないのだ。一つの案としては意味があるが、その日の体調やら天候やらと相談しなから臨機応変にペース配分を変えていかないと、そもそも完走だって覚束ない。おおまかにはこの配分だとして、とにかく最初の10kmは50分前後で走る。これだけに集中しよう。あとは走りながら考える。

ウェアだが、こんな感じ。雨の予報なので白いキャップ、黒のアンダー、赤いTシャツ、白いパンツ、黒のタイツ、白い靴。もし見掛けたら声をかけてください♪




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「地獄の黙示録」は難解な映画だ。特別完全版がリリースされてから少しマシになったが、特に最後のカーツ大佐殺害シーンは意味がわからないという意見も多い。これに対して当初の劇場版に向けて80年ごろに雑誌「諸君!」で解説を書き、特別完全版リリースに当たっても再度解説を書いた立花隆の本は一読に値する。



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値するのだが、これをよんで本当に映画「地獄の黙示録」が理解できるかというとたぶんそうでもない。立花はこの作品が「映画に文学を持ち込んだ傑作」だとし、TSエリオットや金枝篇、ギリシア神話や聖杯伝説を持ち出して、作品のディテールがこれらの文学作品などになぞらえられていることを説明する。

たとえばウィラード大尉が川をさかのぼってカーツ大佐の神殿にたどり着く、というあらすじ自体が聖杯伝説をモチーフにしているという。またカーツ大佐が殺害されるシーンに流れるドアーズの曲の歌詞が父親殺しをモチーフにしていることから、ウィラードによるカーツの殺害を息子による父王の殺害と王位継承の物語だとしている。



ただそうするとかなり疑問になってくるのは、この舞台がなぜベトナムなのかということだ。コッポラは「これはベトナムについての映画ではなく、この映画がベトナムそのものなのだ」と語った。立花の論には、これらの文学作品をモチーフにすることが、なぜベトナムを語るために必要だったのか、という繋がりの説明が欠けている。

ウィラードはカーツ暗殺の命を受けて川をさかのぼる途中で、キルゴア大佐の殺戮場面やフレンチプランテーションなど、ベトナム戦争の欺瞞をいくつも目にし、それらの欺瞞をそぎ落としていくことで次第にカーツに同化していく、と立花は語る。確かにキルゴアが集落を襲撃しておいて、敵の傷ついた兵士に「こいつははらわたがはみ出すまで戦ったのだから、水を与えて助けるべきだ」というのは大いに欺瞞だと思う。しかしそれにあきれたからといって、自分たちが誤射し傷ついたベトナムの一般市民に「自分たちが撃った相手にバンドエイドを貼っても仕方がない」といって射殺するようになるのか。それはもともとウィラードがそういう兵士だったからなのではないのか。




もっとも重要な原作の「闇の奥」との差異の問題。原作のクルツは欺瞞に満ちた人間だが、いまわの際になって「恐怖だ!」と叫ぶ。一方のカーツ大佐も死の間際に「恐怖だ!」と叫ぶが彼には欺瞞はない。クルツの恐怖が死の恐怖なのに対し、カーツの恐怖は現世に対する恐怖にも思えるという立花の指摘はさすがだ。ただそれはいいのだが、そうであればカーツはもっと徹底的に自らの帝国を殺戮の限りをつくす恐怖の集団に仕立てなければならなかったのではないか。

確かに映像にはカーツの帝国には死体が散らばっている様子が描かれている。しかし残念ながら殺戮シーンそのものがないため、彼らが恐怖の集団である、という印象がまったく伝わってこない。ただ気味が悪いだけだ。そんなままごとをやっている集団の王様がカーツ。しかもでっぷり太っている。この映画は確かにすごい作品だと思うのだが、最後の帝国のイメージを作り損ねたところで非常に損しているのがわかる。立花はこれをシンボリックに捉えるべきだというのだが、そうすると前述したとおりシンボリックに捉えることでベトナム戦争をどう理解させようというのかの意図がよくわからない。





もちろんこれは、立花の意見がこの映画を説明し切れていない、ということであって、それがゆえに映画としての価値が減じられるわけではない。私は最後のカーツの帝国のシーンはあまり評価していないが、それにいたる川をさかのぼる道中の映像とプロセスは本当にすごいと思う。単なる派手な戦闘シーンから、プレイメイトの慰問、取り残された基地、フランス人の村を経て戦争の現実がむき出しにされていく。その過程こそこの映画のすごいところだ。ここを大幅に削った最初の劇場公開版の編集はいったい何を考えていたのか・・・

島原の乱が鎮圧されて間もないころ、キリシタン禁制の厳しい日本に潜入したポルトガル人司祭ロドリゴは、日本人信徒たちに加えられる残忍な拷問と悲惨な殉教のうめき声に接して苦悩し、ついに背教の淵に立たされる……。神の存在、背教の心理、西洋と日本の思想的断絶など、キリスト信仰の根源的な問題を衝き、〈神の沈黙〉という永遠の主題に切実な問いを投げかける長編。

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佐倉マラソンに向けてテーパリング中で暇なので、久々に読書記録など。読書のかなりの部分は読書メーターに任せてしまったのだが、時々こういう個別に書いておきたい本が出てくる。

本作は1966年の谷崎潤一郎賞受賞作なので、もう半世紀近く前の作品なのだが、いまだもって問題作と呼べる内容だと思う。テーマは重い。日本人にはなじみが薄い神の存在を問う内容。同時に日本人がいつまでも釈迦如来と聖母マリアを混同して信仰しているという指摘も生々しい。来世で報われるという仏教的浄土信仰と、現世で幸せになるというキリスト教的発想のことを指している。十字架に向かって祈りながら「成仏できますように」と言っているわけだ。

一方でパードレ・ロドリゴは、宗教観のちがう日本人が次々と自分の信仰に殉じるのを見て、これまた「神はおわすのか」という苦しみにあう。死んだほうが幸せになれるという発想で次々に死ぬ人には神も手を差し伸べられないのではないのか。しかし、目の前の解消されない民の苦しみをみていると、神の存在を疑う気持ちにもなるだろう。

そして最後にはロドリゴ自身も死に救いを求め始める。環境とは恐ろしい。日本に来る前のロドリゴであれば、生き延びていさえすれば神が救ってくれると思っていたはずだ。ロドリゴは生き延びて使命を全うしようとするのか、あるいは来世に浄土を見たのか。ベースの宗教観のずれをたくみに利用した遠藤周作の傑作だ。☆☆☆☆☆。

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