走るネタが無いからというわけではないが、走るネタを無理に書くと愚痴ばかりになる。
そろそろ夜も涼しくなってきて寂寥感に心が渇きを覚える季節がやってきた。こういう時はほっこりした物語よりも心に隙間風が吹き荒れるような、行き場のない感じの小説がピッタリだ。
時にはウィスキーなど傾けながら小説を楽しむのはいかがだろうか。小説はバーボンならなお良し。今回は趣向を変えて「オレの好きな作家10人」でご紹介したい。
コーマック・マッカーシーは自分より30歳くらい年上の米国人作家。全ての作品に無常感が漂う。自分が初めて読んだ「チャイルド・オブ・ゴッド」はバイオレンスのかたまりで強烈な作品だった。そこから少し耽美的な国境三部作に流れ、そして傑作「血と暴力の国」が生れる。
映画「ノーカントリー」の原作にもなっているが、その無常観や死生観の際立った印象は小説の方が断然上だ。映画だとただの殺人鬼にしか見えない主人公が小説だと死神、あるいは神にすら見える。
マッカーシーの最高傑作「ザ・ロード」は昨年の秋にも紹介していたので割愛。同じ記事で紹介しているブッツァーティの「タタール人の砂漠」もいいぞ!→「幸せじゃないかも」と思ったときにお勧めの本
読書ってけっこう当たり外れがある。自分の場合は当たりだろうが外れだろうがとにかく量を読む。とにかく寸暇を惜しんで読んでさえいれば必ず読みたい本に出合える。細かいことは気にせずにとにかく量をこなせ。これが実は当ブログのタイトルの由来。マラソンとは関係ありません(笑)
そんな中でも読んでみてこれは当たりだ、と思った作家の作品はできるだけ洗いざらい読む。そんな作家はめったにいないから。つまらなかったら1作で止める。今日ご紹介しているのはそういった厳選した作家の面々です。心して読んでくれい。
バーボンが合うという意味ではやっぱりアメリカの小説か。雑な小説が多いが中にはいいのもある。マッカーシーもアメリカだけど極めて繊細だ。
では他に誰かいるかというと、普通に選ぶとマッチョな小説ばかりで失敗する(笑)。でもそんな中でも量を読んで選んだのがこれ。
地球があと数か月で滅亡することがわかった世界での刑事のお話。いや、今の世界が崩壊するんだから事件を解決している場合じゃないんだけど、主人公は世界の最後まで正義を貫こうとする。その兼ね合いがまた酒を旨くする。
この作品、実はこの後「カウンダトダウンシティ」「世界の終りの七日間」と続く一応シリーズ物。やや中途半端な青年である主人公の行動にも笑えたり涙できたりする。自分の寿命が限られているとすれば、と思えばこんな設定屁でもないのだが。
今度はちょっと毛色が変わって戦争物。これは映画にもなったんだけどそっちはまだ観ていない。ショーン・ペンが主役でいい映画らしいんだが。
舞台はあのガダルカナル。そこに派遣されたアメリカ陸軍第1師団。精強の軍団だが新兵がいきなり前線に放り込まれて死線をさまよう。戦場の恐怖を目の当たりにする前と後の対比とか、戦場の土壇場に放り込まれた時の恐怖感が実にリアルに描かれている。ちなみに相手は日本軍。
同じ日本軍を相手にした太平洋戦争のアメリカ側の本といえばこの本が有名だ。こちらは新兵というよりはベテラン兵士が孤島での日本軍の戦い方に圧倒されていた。まあ酒が旨いかというと微妙だが。
そして最後を飾るのはこちら。マイクル・コナリー。これまでにシリーズ物で31作発表している。主人公は微妙に違っているのだがほぼ一つのシリーズといって差し支えない。メインの主人公はロサンゼルス市警の殺人課刑事ハリー・ボッシュ。孤児でベトナム戦争従軍経験あり。生い立ちや暗い経験が色んな事件につながっていく。
何よりもハリーはハードボイルドを絵に描いたような人物で、寡黙でいざとなれば暴力にも訴えたりするのだが、自分がこのシリーズにはまったのはその謎解きの緻密さ。ハリーは実に体系立った捜査をする。まず起きたことを時系列に並べ、その中に矛盾が無いかを確認する。そして過去の事件の調書を徹底的に読み込み、矛盾点を探す。
つまり作られた事実には必ず矛盾があるという視点に立っている。そして粘り強く調べて行けば、かならずほころびは見つかるはずだという信念を持っている。時には過ちも犯すが、基本は真実に基づいた正義の遂行。後段はいかにもアメリカっぽい。しかしきちんと真実を追求してくれるので、いくら暑苦しくても観ていて飽きない。
そしてマイクル・コナリーを読むときに気を付けなければならないポイント。ハリー・ボッシュ以外に弁護士ミッキー・ハラーとか元刑事テリー・マッケイレブとかがストーリーに絡んでくるので、最初の登場エピソードを先に読んでおかないと面白味が半減します。
そんなマイクル・コナリーの記念すべき第一作「ナイトホークス」。最近最新邦訳版の「燃える部屋」のハリー・ボッシュに比べるとずいぶん乱暴でずいぶんぶっきらぼうだ。その時系列での変化も楽しめるが、もちろんこの1作だけでも十分楽しめる。
自分がマイクルコナリーを読み始めたのが今年の2月。そして先日ようやく最新刊を読み終えた。実は一部kyokoさんに手持ちのマイクル・コナリーを送って頂いたので、非常にスムーズに読み進められた。(kyokoさんについてはこちら→愛しのanego) ありがたいのは読書友達だな~。
10撰だなんて大それたことを言ってしまった(笑) 5人が限界でした。しかしこういったお題を設定しての紹介の方がアプローチとしては面白いな。こういったハードなテーマ以外のいいテーマが見つからないのだが・・・・
そろそろ夜も涼しくなってきて寂寥感に心が渇きを覚える季節がやってきた。こういう時はほっこりした物語よりも心に隙間風が吹き荒れるような、行き場のない感じの小説がピッタリだ。
時にはウィスキーなど傾けながら小説を楽しむのはいかがだろうか。小説はバーボンならなお良し。今回は趣向を変えて「オレの好きな作家10人」でご紹介したい。
コーマック・マッカーシーは自分より30歳くらい年上の米国人作家。全ての作品に無常感が漂う。自分が初めて読んだ「チャイルド・オブ・ゴッド」はバイオレンスのかたまりで強烈な作品だった。そこから少し耽美的な国境三部作に流れ、そして傑作「血と暴力の国」が生れる。
映画「ノーカントリー」の原作にもなっているが、その無常観や死生観の際立った印象は小説の方が断然上だ。映画だとただの殺人鬼にしか見えない主人公が小説だと死神、あるいは神にすら見える。
マッカーシーの最高傑作「ザ・ロード」は昨年の秋にも紹介していたので割愛。同じ記事で紹介しているブッツァーティの「タタール人の砂漠」もいいぞ!→「幸せじゃないかも」と思ったときにお勧めの本
読書ってけっこう当たり外れがある。自分の場合は当たりだろうが外れだろうがとにかく量を読む。とにかく寸暇を惜しんで読んでさえいれば必ず読みたい本に出合える。細かいことは気にせずにとにかく量をこなせ。これが実は当ブログのタイトルの由来。マラソンとは関係ありません(笑)
そんな中でも読んでみてこれは当たりだ、と思った作家の作品はできるだけ洗いざらい読む。そんな作家はめったにいないから。つまらなかったら1作で止める。今日ご紹介しているのはそういった厳選した作家の面々です。心して読んでくれい。
バーボンが合うという意味ではやっぱりアメリカの小説か。雑な小説が多いが中にはいいのもある。マッカーシーもアメリカだけど極めて繊細だ。
では他に誰かいるかというと、普通に選ぶとマッチョな小説ばかりで失敗する(笑)。でもそんな中でも量を読んで選んだのがこれ。
地球があと数か月で滅亡することがわかった世界での刑事のお話。いや、今の世界が崩壊するんだから事件を解決している場合じゃないんだけど、主人公は世界の最後まで正義を貫こうとする。その兼ね合いがまた酒を旨くする。
この作品、実はこの後「カウンダトダウンシティ」「世界の終りの七日間」と続く一応シリーズ物。やや中途半端な青年である主人公の行動にも笑えたり涙できたりする。自分の寿命が限られているとすれば、と思えばこんな設定屁でもないのだが。
今度はちょっと毛色が変わって戦争物。これは映画にもなったんだけどそっちはまだ観ていない。ショーン・ペンが主役でいい映画らしいんだが。
舞台はあのガダルカナル。そこに派遣されたアメリカ陸軍第1師団。精強の軍団だが新兵がいきなり前線に放り込まれて死線をさまよう。戦場の恐怖を目の当たりにする前と後の対比とか、戦場の土壇場に放り込まれた時の恐怖感が実にリアルに描かれている。ちなみに相手は日本軍。
同じ日本軍を相手にした太平洋戦争のアメリカ側の本といえばこの本が有名だ。こちらは新兵というよりはベテラン兵士が孤島での日本軍の戦い方に圧倒されていた。まあ酒が旨いかというと微妙だが。
そして最後を飾るのはこちら。マイクル・コナリー。これまでにシリーズ物で31作発表している。主人公は微妙に違っているのだがほぼ一つのシリーズといって差し支えない。メインの主人公はロサンゼルス市警の殺人課刑事ハリー・ボッシュ。孤児でベトナム戦争従軍経験あり。生い立ちや暗い経験が色んな事件につながっていく。
何よりもハリーはハードボイルドを絵に描いたような人物で、寡黙でいざとなれば暴力にも訴えたりするのだが、自分がこのシリーズにはまったのはその謎解きの緻密さ。ハリーは実に体系立った捜査をする。まず起きたことを時系列に並べ、その中に矛盾が無いかを確認する。そして過去の事件の調書を徹底的に読み込み、矛盾点を探す。
つまり作られた事実には必ず矛盾があるという視点に立っている。そして粘り強く調べて行けば、かならずほころびは見つかるはずだという信念を持っている。時には過ちも犯すが、基本は真実に基づいた正義の遂行。後段はいかにもアメリカっぽい。しかしきちんと真実を追求してくれるので、いくら暑苦しくても観ていて飽きない。
そしてマイクル・コナリーを読むときに気を付けなければならないポイント。ハリー・ボッシュ以外に弁護士ミッキー・ハラーとか元刑事テリー・マッケイレブとかがストーリーに絡んでくるので、最初の登場エピソードを先に読んでおかないと面白味が半減します。
そんなマイクル・コナリーの記念すべき第一作「ナイトホークス」。最近最新邦訳版の「燃える部屋」のハリー・ボッシュに比べるとずいぶん乱暴でずいぶんぶっきらぼうだ。その時系列での変化も楽しめるが、もちろんこの1作だけでも十分楽しめる。
自分がマイクルコナリーを読み始めたのが今年の2月。そして先日ようやく最新刊を読み終えた。実は一部kyokoさんに手持ちのマイクル・コナリーを送って頂いたので、非常にスムーズに読み進められた。(kyokoさんについてはこちら→愛しのanego) ありがたいのは読書友達だな~。
10撰だなんて大それたことを言ってしまった(笑) 5人が限界でした。しかしこういったお題を設定しての紹介の方がアプローチとしては面白いな。こういったハードなテーマ以外のいいテーマが見つからないのだが・・・・