7月はひょんなことからユーゴスラビアにはまった。本を6冊、映画を2本。ちなみに今月はアラブにはまりそうだ(笑)

まあそれはほとんどが再読なので、7月ということでいえば角幡唯介の「極夜行」。4か月かけて北極圏の真っ暗な冬のなかを犬一匹だけ連れて旅する。角幡は20代のころにチベットのツァンポー渓谷を踏破。地図の空白地帯を埋めた記録で一躍有名になったのだが、そこからしばらくは文筆活動に軸足を移していた。

色んな事情で冒険、探検ができないことに本人もフラストレーションを感じていたようで、本作の冒頭は衝撃的な彼の妻の出産シーンから始まる。そしてそのシーンが、暗闇の中の探検の終わりへと見事につながる。

高野秀行をはじめとして冒険行を題材としたノンフィクション作家は多いが、角幡は文学的に冒険を見事に語った。これからも冒険に出かけるのかどうかは知らないが、この一作はこれからの活動のコアになるに違いない。



7月の読書メーター
読んだ本の数:17
読んだページ数:5631
ナイス数:157

Hit Refresh(ヒット リフレッシュ) マイクロソフト再興とテクノロジーの未来Hit Refresh(ヒット リフレッシュ) マイクロソフト再興とテクノロジーの未来感想
マイクロソフト3代目社長(笑)の半生記。タイトルはブラウザのリフレッシュボタンを押すという意味で、経営改革のポリシーらしい。画面は更新してもブラウザまでは変えないと。個別性が強く、マイクロソフト社員向けの本に見えた。☆☆。
読了日:07月01日 著者:サティア・ナデラ,グレッグ・ショー、ジル・トレイシー・ニコルズ

罪責の神々 リンカーン弁護士(上) (講談社文庫)罪責の神々 リンカーン弁護士(上) (講談社文庫)感想
ああ、検事長選挙でのスキャンダルって一体何があったんだろう。気になって読む速度が上がる。そして絡みあがった謎。裁判の勝利至上主義に見えて真実を追い求めてしまうところがミッキーハラーシリーズの面白いところだな。下巻へ。☆☆☆☆。
読了日:07月03日 著者:マイクル・コナリー

罪責の神々 リンカーン弁護士(下) (講談社文庫)罪責の神々 リンカーン弁護士(下) (講談社文庫)感想
ちょっと詐欺的な行為で勝利をつかんだミッキー。証拠にはならないけど商人に話させることはできる。って、ちょっと微妙ですよね。それにしてもミッキーハラー物は公判中にもかかわらず事件が動いているケースばかり。動くことを利用して勝ちに持ち込んでいる感じがある。グリシャムもこんな感じだっけ?☆☆☆。
読了日:07月04日 著者:マイクル・コナリー

わたし、定時で帰ります。わたし、定時で帰ります。感想
労働時間短縮を叫ぶならまずは過酷な労働環境に身を置けという大きなストーリーはナイスなのだが、人物描写が後追いで行動が表面化してから初めて描写がなされる。解説付きでテレビドラマを見ているような不自然さを感じた。それからその場面にだれが登場しているのかが分からない箇所がいくつかあった。こういう基本的なのは編集者がちゃんと指導しないと。日本には若手編集者が育ってない?☆☆。
読了日:07月05日 著者:朱野 帰子

群像 2018年 06 月号 [雑誌]群像 2018年 06 月号 [雑誌]感想
確かに「遺体」は細部にリアリティを与えるのに役立っているかもしれないが、やはり主人公の心の動きと「奥さん」とのやりとりが圧倒的。そしてカタルシス。実体験してなくても書いていいと思う。それを言うなら戦争を題材にした小説も書けない。だって小説なんだから。出版社と編集者のサポートミスが残念。☆☆☆☆。
読了日:07月06日 著者:

トヨタ物語 (強さとは「自分で考え、動く現場」を育てることだ)トヨタ物語 (強さとは「自分で考え、動く現場」を育てることだ)感想
トヨタの歴史と生産管理のコアについて手際よくまとめた良書。でも製造はわかったけど設計は?ブランドは?と思わないでもない。☆☆☆。
読了日:07月06日 著者:野地秩嘉

読鉄全書読鉄全書感想
こ、これは読み鉄のバイブルだ! 乗り鉄にもお勧め。これを読んだら在来線に乗りたくなること請け合い。しかし阿川弘之が「きかんしゃやえもん」の作者ということは知っていたが、鉄分がこんなに濃いとは知らなかった。これは買うな。久々の☆☆☆☆☆。
読了日:07月09日 著者:

極夜行極夜行感想
いきなり自分の妻の出産シーンから始まる。これがやたらと生々しい。これだけでも凄いなと思ったが、最後まで読んでこのシーンの理由が分かった。ついにツァンポー作家から脱皮しましたね。おめでとうの☆☆☆☆☆。
読了日:07月11日 著者:角幡 唯介

監視大国アメリカ監視大国アメリカ感想
犯罪者の監視だけでなく、捜査方針の影響を受けた人種の偏りのあるデータとか、警察官の動きをモニターするデータとか、いろいろあるわけだが、何より機械学習のブラックボックスが怖い。監視作業に限らず他の領域でも検証不能であることによる怖さがある。会計にAIを使ってみたら監査ができなくなったなんていう話もある。将来の我々の生活に与える影響は甚大。本はアメリカのデータに偏りすぎ。☆☆。
読了日:07月15日 著者:アンドリュー・ガスリー ファーガソン

炎と怒り――トランプ政権の内幕炎と怒り――トランプ政権の内幕感想
トランプ政権成立当初の世間からの見方をそのまま反映した文章。政権内の勢力争いの描写が9割。このせいでリークが相次ぎ政権の透明性が高まったのは皮肉だ。かつ今や公約を次々実現し支持率も上がっている。そろそろフェアに評価する本が出てきてもいいのでは。全て逆張りで輸出業者など当事者は大変だろうが、揺さぶられた結果新秩序が生まれる可能性もある。☆☆。
読了日:07月21日 著者:マイケル ウォルフ,Michael Wolff

悪者見参―ユーゴスラビアサッカー戦記 (集英社文庫)悪者見参―ユーゴスラビアサッカー戦記 (集英社文庫)感想
今回2読。1読目はセルビア、ユーゴ、スロベニア、クロアチア、モンテネグロ、コソボ、アルバニア、マケドニアの位置と歴史的、民族的関係が分からず読んでいた。1読目終了でそれがほぼ頭に入ってから最初から読み返すと全然違う本に読めた。 セルビア。いつも悪者扱いされるのだが、独立を阻止しようとするとどうしたってそうなる。セルビアの人たちの意識が空爆前と後で大きく変わっているのが印象的。☆☆☆☆☆。
読了日:07月25日 著者:木村 元彦

ものづくりの寓話 -フォードからトヨタへ-ものづくりの寓話 -フォードからトヨタへ-感想
仕事ともろ被るので仕事中に時間を見つけてどうどうと読んでやったぜ。内容的にはパンチカードを使った原価管理がどうみても中心なんだが、あえてフォード生産方式、トヨタ看板方式を前面に出して分かりにくくしているのはなぜなんだろうか。もしかして作者は経営学史の先生? ☆☆。
読了日:07月25日 著者:和田 一夫

誇り―ドラガン・ストイコビッチの軌跡 (集英社文庫)誇り―ドラガン・ストイコビッチの軌跡 (集英社文庫)感想
著者の書いた順番は「誇り」→「悪者見参」→「オシムの言葉」なんだな。「誇り」にも90年のワールドカップは描かれているがオシムの采配についてはほとんど触れられていないから。ストイコビッチに焦点を当てたことでユーゴ紛争を知った著者がユーゴの今を掘り下げていく出発点。☆☆☆。
読了日:07月26日 著者:木村 元彦

終わらぬ「民族浄化」セルビア・モンテネグロ (集英社新書)終わらぬ「民族浄化」セルビア・モンテネグロ (集英社新書)感想
サッカーから入ってバルカンの現状を伝えるところまで視点が移ってきた。ただ微妙にセルビアよりな気がするのだが。セルビアの蛮行に関しては他の本を読めということか。それをいうなら30年の描写では短すぎる。紛争地としてはかなり危険なことをしているようにも見えるので惜しい。☆☆。
読了日:07月27日 著者:木村 元彦

オシムの言葉 増補改訂版 (文春文庫)オシムの言葉 増補改訂版 (文春文庫)感想
これを読むために「誇り」「悪者見参」と遡って読んだ。締めにふさわしい作品だった。イタリアワールドカップで優勝していたらボスニア戦争は無かったかもしれないって、かなり真実味がある。追加されたボスニアサッカー統一委員長の話が凄い。病気さえなければ今頃いったい何者になっていたことか。☆☆☆☆。
読了日:07月29日 著者:木村 元彦

不肖・宮嶋空爆されたらサヨウナラ―戦場コソボ、決死の撮影記 (祥伝社黄金文庫)不肖・宮嶋空爆されたらサヨウナラ―戦場コソボ、決死の撮影記 (祥伝社黄金文庫)感想
久々に宮嶋節をきいたが、こんなに品が無かったっけ?特に木村元彦のユーゴ話を読んだ後だと特にそう思う。二人は仲がわるそうだな(笑) ☆☆。
読了日:07月29日 著者:宮嶋 茂樹

日中 親愛なる宿敵: 変容する日本政治と対中政策日中 親愛なる宿敵: 変容する日本政治と対中政策感想
横書き本。歴史認識、島嶼問題、輸入品の安全の3つの視点から歴史的経緯、政治的位置付け、関係するもろもろの意見を整理している。それなりに知識があれば1時間くらいで読める。☆☆☆。
読了日:07月30日 著者:シーラ スミス

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