10月は色んな事が目標未達だった。ああ、読書については11月末まではどっちにしてもそんなに読めないのだが。それにしても読書メーターに登録してもうすぐ5年になるが、1か月で6冊2000ページって多分最低記録。59か月目にして!(笑)

今月はやっぱり再読した「HHhH(プラハ、1942年)」。最初に読んだのは4年前でその時はただただハイドリッヒの凶悪さに驚いたのだが、今回読んでみて小説としての斬新さ、作者の挑戦に感銘。これをやられたらノンフィクションは立つ瀬がないだろう。

あとは以前ブログにコメントをもらった山本先生の「日英開戦への道」。英国というフィルターを通すことで太平洋戦争の構図がクリアに浮かび上がる。読む冊数が減った分、一冊一冊を丁寧に読むようになったかも。本来読書はこういった密度のほうが望ましい。



10月の読書メーター
読んだ本の数:6
読んだページ数:2032
ナイス数:77

HHhH (プラハ、1942年) (海外文学セレクション)HHhH (プラハ、1942年) (海外文学セレクション)感想
4年ぶりに再読。前回はハイドリッヒの凶悪さにただ驚くばかりだったが、今回読んでみて、過去に事件に主人公が自分を投射していく過程に新鮮に驚いた。小説家は小説を書くときにこんなふうに客体にアプローチして自分の中に取り込んでいくのか。その過程自体が物語でありおそらく作品ごとに物語は全く異なる。そして実際に描かれる作品はその物語の一部を切り取っているに過ぎないのだ。この作品が絶賛される理由が分かった気がした。☆☆☆☆☆。
読了日:10月08日 著者:ローラン・ビネ
七人のイヴ III (新☆ハヤカワ・SF・シリーズ)七人のイヴ III (新☆ハヤカワ・SF・シリーズ)感想
種明かしをされると壮大な物語に見えるが、地底人、海底人各々の物語をちゃんと書いて欲しい。5千年もたってるんだからいろんな物語があったはずだし、何より生存するための技術的背景があったはず。それに海底の許容量は宇宙より大きいはずで何故それが表に出なかったのか。微妙だ。第3巻はそのサプライズのためだけにある。☆☆☆。
読了日:10月15日 著者:ニール・スティーヴンスン
ブラック会社に勤めてるんだが、もう俺は限界かもしれないブラック会社に勤めてるんだが、もう俺は限界かもしれない感想
ほとんど期待しないで読み始めたのだが人間模様が面白すぎる。フィクションではなかなかここまで書けないだろう。その後の話が2chに掲載されたりしないんだろうか。☆☆☆。
読了日:10月15日 著者:黒井勇人
魔法にかかった男 (ブッツァーティ短篇集)魔法にかかった男 (ブッツァーティ短篇集)感想
この人の話は徹頭徹尾、悪魔との対話だ。悪魔、すなわち人間に内在する邪悪なもの。最後の屋根裏のりんごなんてまさに不道徳な行いそのものじゃないか。食べた後に賢者の時間が訪れるところまでそっくり。やっぱりなんだかハンガリーとかそっちのほうのにおいがするなあ。秋の夜長にゆっくり読みたい本である。☆☆☆☆。
読了日:10月15日 著者:ディーノ ブッツァーティ
株主を大事にすると経営は良くなるは本当か?株主を大事にすると経営は良くなるは本当か?感想
さすがは企業不祥事対応第一線の弁護士だけあって内容は充実しているのだが、これは誰が読むのだろう。頭の固い人には面白みのある実例が不足しているし、前向きに学ぼうとしている人にとっては具体性をやや欠いている。微妙なところ。☆☆☆。
読了日:10月20日 著者:中島 茂
日英開戦への道 - イギリスのシンガポール戦略と日本の南進策の真実 (中公叢書)日英開戦への道 - イギリスのシンガポール戦略と日本の南進策の真実 (中公叢書)感想
ワシントン条約におけるハワイとシンガポールの海軍基地の位置付けとか、開戦前の陸海軍に対するガバナンスのなさとか、なるほどにあふれた本。でも著者も海軍で一番悪いのは開戦をあおった山本五十六だと思ってるんじゃないだろうか。南進するだけならあれほどひどいことにはならなかったのかもしれない。☆☆☆☆。
読了日:10月29日 著者:山本 文史

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