今日は北風が厳しく、北向きのMy Castle(書斎な)は冷凍庫のような寒さなので、My Castle Annex、世間がリビングと呼ぶ場所でこれを書いている。今日は在宅勤務だったので日中は一歩も家から出ず、夜になって疲労抜きジョグに出かけたが、北を向いて走るときは罰ゲームかと思うほどの冷たい風が顔面に吹き付けてきた。



タイトルは人気DJのジェーン・スー氏が去年出版した本「生きるとか死ぬとか父親とか」から拝借。そのあとに「カーン・スー(敬称略)とか」と続けようかと思ったが、趣旨から外れるのでやめておいた。だいたいそんなところ。
生きるとか死ぬとか父親とか
ジェーン・スー
新潮社
2018-05-18


と書いてしまうと終わるので、そのジェーン・スーの本の話を続けよう。氏の父親はこの本が書かれた時点で77歳、氏は42歳。なんでも父上が素寒貧で家を借りる金もなくなり、氏が資金援助する引き換えにこの父についての本が書かれたという。親子なので色んな感情はあるだろうがそういう経緯もあって歯に衣着せぬ文調が心地よくもあり居たたまれなくもある。

特に氏の父上がビジネスに失敗して氏が生まれ育った実家から引っ越す下り。おそらく父も思い出したくないだろう、だから父の引っ越す姿も見たくないのだ、と氏は綴る。まったく同じ経験のある自分も同じ感情を抱いた。

何度かここでも触れているが、自分の父も事業に失敗している。形勢がまずくなり始めたのは自分が中学生のころ。そこから何とか自分が大学受験するまでは事業も生きながらえていたが、自分が大学に入った途端に終焉を迎え、入学後2週間して突然20万円が送金されてきた。

これは何だと聞いたら

「アンタが子供のころからもらったお年玉をためていた分」

それはつまりオレの金ということですね、お父さん。
しかもちょっと減ってませんか?
そしてさらに

「来月から仕送りはできん」

いや、まだ1回も送ってもらってませんけど?
そして、

「この金と奨学金で頑張れ」

奨学金はオレの借金だから。つまり全部オレのだから。
そういえば学資ローン借りるって言って合格証書のコピー取りましたよね?
30万円借りたんじゃなかったっけ?

「それは使い道ができた」

学資に使えよ!!

そんなわけで、大学4年の後半まで仕送りが復活することは無かった。授業料も自分で払っていた。その4年間の話は思い出したくもないのだが、またいずれ書くこともあるだろう。

今日書きたいのはそこじゃない。そんな状態で家はどうなってるんだ?と思って最初の夏休みに帰省したオレ。(あれ、GWだったかな?)

そこで、実家で目にした光景。山積みの段ボール箱。
まさに彼ら(両親)は引っ越そうと準備しているところだった。

どこに行くんですか?

「うん、お前の住んでる大阪がいいと思って」

はあ??
オレ、ただの学生ですけど?
そんなところに何しに来るの?
Youは何しに大阪へ?

とそこで思い当たった。
これは夜逃げだ。
もっとコッソリやれよ!




田舎からオレは一人大阪に出てきて慣れない学校と慣れないクラブ活動(笑)
そこに都会の「と」の字も知らないジジイとババアがオレを頼って?
冗談じゃない。いくら頑丈なオレでも病気になるわ!

その日は夜っぴて思いとどまるよう両親を説得。
なんとか大阪にはこないことになった。
しかしオレの戻る場所もなくなった。



父も母も山っ気があるというわけではないのだが、それ以降も紆余曲折があって本当に落ち着いたのはこの10年くらいじゃないだろうか。オレも結婚して(かわいい)嫁と孫にも恵まれ、最後の方は結構満ち足りてたと思われる。って2人ともまだ生きているが。

でも35年経った今でも、あの暑い日に家の中に積み上がっていた段ボール箱を突然思い出すんだよな。今の朝ドラでも大きな家から小さな家に引っ越す描写があって、結構リアルに記憶がよみがえった。ドラマだとたまに見る設定だけど、実際に体験するとキツいぞ。




若いうちの苦労は金で買ってでもしろ、なんていうけど、そんな金があったら違うもの買うよねえ(笑)
親としても自分のせいで家族にそんな思いをさせるのは辛い。子供が自分の責任で貧乏になるならしょうがないけど。

ああ、うちの両親もつらかっただろうな。冗談みたいにして書いてしまったけど、あの人たちは未だにオレに対しては遠慮がちだから。別に最初から怒ってなんかいないんだけどねえ。

本日の走行距離:12.0km
今月の走行距離:283.8km
本日の最低体重:61.3kg
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