1月はほぼローレンスブロックのマットスカダーシリーズにどっぷりはまっていた。ハードボイルドなんだけど同じく1月に読んだチャンドラーほどくどくない。事件は向こうから勝手にやってきて、ほとんど勝手に解決していく。このあっさりしたところがいい。

同じくハードボイルドでマイクルコナリーのハリーボッシュシリーズも同じくらい面白いんだけど、こっちは舞台がロスアンゼルス。スカダーシリーズはニューヨークが舞台。

自分はどっちかというとニューヨークの方が馴染みがある。どっちも出張でしか行ったことは無いけど。スカダーの家はセントラルパークのちょっと南の9番街52丁目あたり。ちょうどヘルズキッチンと呼ばれる区域だ。以前の勤務先のオフィスが49丁目だったので結構この辺りはウロウロしていた。

スカダーの活躍していたころはニューヨークももっとも治安が悪かった頃なので今とは比べるべくもないんだろう。今はヘルズキッチンもすっかり安全になり観光地化している。あの街をスカダーがねえ。と思うと親近感も湧いてくる。



1月の読書メーター

読んだ本の数:17
読んだページ数:6177
ナイス数:152

過去からの弔鐘 (二見文庫―ザ・ミステリ・コレクション)過去からの弔鐘 (二見文庫―ザ・ミステリ・コレクション)感想
今年1冊目はマットスカダーシリーズ第1作。派手なアクションもなくあっと驚くどんでん返しもない。ただ主人公が現実にウンザリしながら謎を解いていく。この地味な感じがブロックの真骨頂だな。どんな真骨頂やねん。でも読んでて楽しい。⭐️⭐️⭐️。
読了日:01月02日 著者:ローレンス・ブロック

冬を怖れた女 (二見文庫―ザ・ミステリ・コレクション)冬を怖れた女 (二見文庫―ザ・ミステリ・コレクション)感想
Sのオンナ(しかも冒頭で死ぬ)と自分の成功しか頭に無いオトコ(しかも最後に死ぬ)という主要人物に対して、街中を売ってストレス解消する主人公のなんとジメジメしていることか。やはり主人公が勢いに流されるのがブロック作品の真骨頂。☆☆☆☆。
読了日:01月07日 著者:ローレンス ブロック

ロング・グッドバイ (ハヤカワ・ミステリ文庫 チ 1-11)ロング・グッドバイ (ハヤカワ・ミステリ文庫 チ 1-11)感想
この名作を遂に読んだ。いや~、苦いわ~。苦い!確かにみんなダメダメなんだけど、みすみす死なせてる感じがするし最後のどんでん返しも苦い。マーロウがやたら若気なのも苦い。それが物語の軸なんだけど。そして失われた友情に「ロンググッバイ」。苦い。☆☆☆☆。
読了日:01月08日 著者:レイモンド・チャンドラー

女たちよ! (1968年)女たちよ! (1968年)感想
これは30年ぶりに再読。当時はこの本に書いてあることが本当に新鮮で女性の装いとか食事とか酒とか相当に影響を受けた。今になって読み返してみると汗顔の至り・・・。年齢によって同じ本を読んでもこれほどに印象が変わるものなのか。まさにキザを地で行く本だ。1968年の本です。☆☆☆☆。
読了日:01月08日 著者:伊丹 十三

宇宙に命はあるのか 人類が旅した一千億分の八 (SB新書)宇宙に命はあるのか 人類が旅した一千億分の八 (SB新書)感想
夜空に瞬く千億の星には惑星があるとかそのうちのいくつかは居住可能とか、アポロの着陸船を考えた経緯とか、要は全部イマジネーション!ボイジャー1号と2号の役割分担の話も面白い。息子に読ませたい一冊。☆☆☆☆。
読了日:01月11日 著者:小野 雅裕

暗闇にひと突き (ハヤカワ・ミステリ文庫)暗闇にひと突き (ハヤカワ・ミステリ文庫)感想
酔いどれ探偵スカダーの面目躍如。普通に捜査していたら絶対に行きあたらなかった相手に行きあたったのはアルコールのお陰だよね。特に記憶を無くして街をさまようシーンなどは見事。ちょっと客観的に見ている自分がいた(笑) ☆☆☆☆。
読了日:01月13日 著者:ローレンス ブロック

困難な選択 (上)困難な選択 (上)感想
オバマとの大統領候補指名を争った経緯から国務長官に就任して辞任までを書いた本。自慢とか後付けが無いわけではないが、やっぱりこの人は知性の人だな。下巻へ続く。⭐️⭐️⭐️。
読了日:01月14日 著者:ヒラリー・ロダム・クリントン

困難な選択 (下)困難な選択 (下)感想
ベンガジとシリアの話は本で読むのは初めてなので注意深くよんだ。トランプが孤立主義に戻りたくなるのも分かると改めて思った。⭐️⭐️⭐️。
読了日:01月14日 著者:ヒラリー・ロダム・クリントン

建設テック革命 アナログな建設産業が最新テクノロジーで生まれ変わる建設テック革命 アナログな建設産業が最新テクノロジーで生まれ変わる感想
人手不足への本格対応。ドローンやレーザー測距、Aiの活用などで可能性がひろがる。建設だけでなくプラント、製缶などの分野にも応用できそう。ただ建設の問題は新築もさることながら補修や建て替えでも大きい。早く実現して欲しい。⭐️⭐️⭐️。
読了日:01月14日 著者:木村 駿

八百万の死にざま (ハヤカワ・ミステリ文庫)八百万の死にざま (ハヤカワ・ミステリ文庫)感想
これはまた何というハードボイルド。飲酒の誘惑と戦いながら事件の謎に迫る探偵。これがメインストーリーだな。この主人公の心の揺れこそが本作の醍醐味だし、これを無事に素面で読み終わった自分には飲酒を許したいw 1988年の作か。時代が出てるな。⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️。
読了日:01月14日 著者:ローレンス ブロック

1ドル銀貨の遺言 (二見文庫―ザ・ミステリコレクション)1ドル銀貨の遺言 (二見文庫―ザ・ミステリコレクション)感想
ゆすり常習者からの依頼を真面目に受けたスカダーが後ろ暗い世の人たちと相対する物語。こういう個々の人たちの描写が物語を生き生きとさせるんだな。スカダー自身は相変わらず受け身(笑) ☆☆☆。
読了日:01月16日 著者:ローレンス ブロック

聖なる酒場の挽歌 (二見文庫―ザ・ミステリ・コレクション)聖なる酒場の挽歌 (二見文庫―ザ・ミステリ・コレクション)感想
スカダーが大事にしていたものが次々に崩れていく。酒飲みに未来はあるのか。70年代中盤の危険極まりないニューヨークの市街の描写が見もの。自分が初めてNYに行った95年も十分危険だったけど70年代は半端なかったんだろうな。そういう都市の姿の歴史という見方からも面白い小説。これでスカダーは全部吐き出した?☆☆☆☆。
読了日:01月16日 著者:ローレンス ブロック

ローレンス・ブロックのベストセラー作家入門ローレンス・ブロックのベストセラー作家入門感想
これは先日の「Long Goodbye」のあとがきの村上春樹による小説論よりもはるかに深く長い小説論。長編と短編、書き直し、持続力、テーマのインスピレーション、文体をそぎ落とすこと、主語の選択など、これを知ってから小説を読むと小説家の心理に少しでも近づける貴重な意見が一杯。何度でも繰り返し読みたい。これが50年近く前に書かれたのか。☆☆☆☆☆。
読了日:01月22日 著者:ローレンス ブロック

慈悲深い死 (二見文庫―ザ・ミステリ・コレクション)慈悲深い死 (二見文庫―ザ・ミステリ・コレクション)感想
あとがきにあるように、スカダーは酒は飲まないが今でもアル中なんだ。この酒とのスリリングな距離感が酒好き読者をぐいぐい引き付ける。そしてその悪の香りを漂わせるオンナはやっぱり悪い奴だった。最後のスカダーを引き込もうとするやり取りはちょっと安っぽかったかな。でもまた前作に続いて魅力的な脇役が登場。でも正直、禁酒してからのスカダーを見るのは結構辛い(笑) ☆☆☆。
読了日:01月22日 著者:ローレンス ブロック

大いなる眠り (ハヤカワ・ミステリ文庫)大いなる眠り (ハヤカワ・ミステリ文庫)感想
ロンググッドバイに続いて読んだ。無鉄砲で派手なマーロウの行動、線が一本切れた登場人物たち。これはアメコミ、そうだ、ディックトレイシー!そう思えば面白く読める。一回だけ村上春樹はマーロウに「やれやれ」って言わせてるなw ⭐️⭐️⭐️。
読了日:01月24日 著者:レイモンド チャンドラー

生きるとか死ぬとか父親とか生きるとか死ぬとか父親とか感想
最初は当たりさわり無いがだんだんと父親の実相に迫る。感情を理性で押さえ込んで書いているように見える。本当はもっと書きたい父への怒りがあったんじゃないか。最後は相互に理解しあったように書かれているが、なんともちぐはぐだ。まあ親子って色々あるよね。我が家なんて本になんて絶対書けない。☆☆☆。
読了日:01月25日 著者:ジェーン・スー

ベストセラー小説の書き方 (朝日文庫)ベストセラー小説の書き方 (朝日文庫)感想
スティーブンキングの小説の書き方の前に読んでよかった。やはりSキングのほうが小説家としての心の持ちようや出版社への対応、代理人契約に始まり文章の絞込みや簡素化など1枚上手。かなり古い本ではあるが。☆☆☆。
読了日:01月31日 著者:ディーン・R. クーンツ

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