ジョンルカレを集中して読もうと思っていたのに、その前にカリン・スローターの新作の予約順が回ってきたので、以前の作品も改めて読み直したら結構な冊数になってしまった。

カリン・スローター、いちおう男性が主人公にはなっているが実際に活躍するのは女性がほとんど。この作品に限らないが、アメリカの小説は人種や性別、LGBTなどいろんな差別が小説の背景として当たり前のように出てくる。

それはアメリカで差別が多いということだけではなく、やはり書き手の意識が強いということなのだろう。日本の小説ではそういった話題はあえて避けたり、無神経に書いたり、ということが多い。差別の存在をまずは知らなければ差別は解消できない。

そういえば以前、自分は差別なんかする人間ではないから自分には差別の話をしないでくれ、と言ったタレントがいたな。人間はそもそも何もなければ本能的に差別をする動物であることを忘れている。まず差別を認識し、それを教育で解消していくのが文明の力なのに。



3月の読書メーター
読んだ本の数:14
読んだページ数:4916
ナイス数:86

ジョン・ル・カレ伝 下ジョン・ル・カレ伝 下感想
20世紀の終わりくらいに、これでもう東西冷戦をネタにしたスパイ小説も終わりだなと思ったのを思い出した。ルカレも同じ思いを持っていたのか。そりゃそうだろうな。やはりルカレの本をもっと読もう。難解だけど。☆☆☆☆。
読了日:03月06日 著者:アダム シズマン

容疑者 (創元推理文庫)容疑者 (創元推理文庫)感想
シリーズ最新刊が出たので第1作を再読。犬の嗅覚の凄さを改めて納得。目で見る代わりに匂いで感じる。確かに匂いなら夜でも感じることができる。☆☆☆。
読了日:03月06日 著者:ロバート・クレイス

約束 (創元推理文庫)約束 (創元推理文庫)感想
シリーズ新刊に向けて再読。コール&パイクシリーズはしばらく間が空いていたようだが、マギーの参入で一気に活気づいた。でも警察犬ネタはあまり続かないようで次作には登場しないらしい。残念。☆☆☆☆。
読了日:03月07日 著者:ロバート・クレイス

地下道の鳩 ジョン・ル・カレ回想録 (早川書房)地下道の鳩 ジョン・ル・カレ回想録 (早川書房)感想
同時期に出た「ジョンルカレ伝」の方が網羅性は高いし時系列になっているが、ここのエピソードについてはこちらの方が断然面白い。両方読んだ方がいい。そしてこちらの方がルカレという人が実はシンプルな人だということが分かる。それにしても地下道の鳩のエピソードが出てこなかった気がするのだが。☆☆☆☆。
読了日:03月10日 著者:ジョン ル カレ

指名手配 (創元推理文庫)指名手配 (創元推理文庫)感想
最初3分の1くらいはなかなか物語が動かないしマギーも出てこないしでどうしようかと思ったが、タイソンが見付かってからのスピード感はさすが往年のエルヴィス&パイクが戻ってきた感じ。あとがきにもあるが女性のキャラクターが鮮明で物語が生き生きしている。そういえばこういう筆でした。☆☆☆☆。
読了日:03月13日 著者:ロバート・クレイス

ネヴァー・ゲーム (文春e-book)ネヴァー・ゲーム (文春e-book)感想
この手のプロフェッショナルが登場する、例えば秘密工作員のお話だとどうしても最後は「入念に準備して計画通りに悪人を倒す」というつまらないものになりがちだが、このストーリーでは最小限の戦力で目標に向かっていくので変動要因が多くて面白い。さすがにディーヴァーという細部の作り込みも素晴らしい。こういうワイルドな物語はいいな。☆☆☆☆。
読了日:03月18日 著者:ジェフリー・ディーヴァー

暗殺者の悔恨 上 (ハヤカワ文庫NV)暗殺者の悔恨 上 (ハヤカワ文庫NV)感想
グレイマンも最初の印象からすると随分人間ぽくなってきたものだ。もともと正義の人ではあるが、今回はさらに人権問題にまで踏み込んだ。やっぱり相変わらずのスーパーマンではあるが。下巻へ。☆☆☆☆。
読了日:03月18日 著者:マーク・グリーニー

暗殺者の悔恨 下 (ハヤカワ文庫NV)暗殺者の悔恨 下 (ハヤカワ文庫NV)感想
Netflixで映像化されるらしい!あとがきを読んで狂喜乱舞。しかも主役はあのライアンゴスリング。グレイマンらしい普通の人だ。公開は来年らしいが今から待ち遠しい。☆☆☆☆。
読了日:03月18日 著者:マーク・グリーニー

極超音速ミサイルが揺さぶる「恐怖の均衡」 日本のミサイル防衛を無力化する新型兵器 (扶桑社BOOKS新書)極超音速ミサイルが揺さぶる「恐怖の均衡」 日本のミサイル防衛を無力化する新型兵器 (扶桑社BOOKS新書)感想
こんな世界があるとは読むまで全く知らなかった。前半はこれまでの核軍縮の歴史が丁寧に整理されている。SALT、START、INFの違いが分かる。後半は非弾道弾について。北朝鮮ってここまで進んでいたのか。SM6、SM3、PAC3、THAADの違いもよく分かる。現代社会の基礎知識。☆☆☆☆☆。
読了日:03月23日 著者:能勢伸之

網内人 (文春e-book)網内人 (文春e-book)感想
香港人らしいインテリジェンスと欲望にまみれた佳作。特に現実社会とのつなぎ目を感じさせないところが上手い。物事には何でも真実の裏面がある。☆☆☆☆☆。
読了日:03月23日 著者:陳 浩基

血のペナルティ (ハーパーBOOKS)血のペナルティ (ハーパーBOOKS)感想
伏線が全くなく突然予想外の決着。なにしろ犯人像が見えてくるのが後半だからな~。このオバさんたちの活躍ぶりが男前すぎる。ウィルの出番があんまりない。☆☆☆。
読了日:03月25日 著者:カリン スローター

罪人のカルマ 〈ウィル・トレント〉シリーズ (ハーパーBOOKS)罪人のカルマ 〈ウィル・トレント〉シリーズ (ハーパーBOOKS)感想
ウィルの生い立ちに迫る編。70年代、女性が性差別を乗り越えて職業的地位を確立する壮絶な物語。アメリカで女性警官がステータスを保つためにはこういう実話があったんだろうと思わせられる。凄い。☆☆☆☆。
読了日:03月28日 著者:カリン・スローター

サイレント 上 〈ウィル・トレント〉シリーズ (ハーパーBOOKS)サイレント 上 〈ウィル・トレント〉シリーズ (ハーパーBOOKS)感想
これはウィルとサラの出会いの物語ということでいいのか。サラの怨念に決着をつけることに焦点が当たっているようにも思えるのだが。しかし上下巻、あっという間に読み終えた。☆☆☆☆。
読了日:03月28日 著者:カリン・スローター

サイレント 下 〈ウィル・トレント〉シリーズ (ハーパーBOOKS)サイレント 下 〈ウィル・トレント〉シリーズ (ハーパーBOOKS)感想
スローターのミステリーには伏線があまりない。前半は犯人の見当が全くつかないことが多いな。今回も意外なところから意外な方向へ抜けていった。☆☆☆。
読了日:03月28日 著者:カリン・スローター

読書メーター



にほんブログ村 その他スポーツブログ マラソンへ