量は質を凌駕する

 ~ アウトドアと読書の日記

カテゴリ: >な行(ノンフ)

今日は週に一度の平日スポット練習日。キロ4でインターバル1km×6本。先週より1本増やせた。5本目は頑張りすぎ(笑)



さて今日はこの本をご紹介。子供の頃に脳細胞は分裂しない、と習った気がするのだが、ここ10年ちょっとの間に脳細胞は細胞分裂して生まれ変わることが明らかになったらしい。そして有酸素運動がこの分裂を促している、と言われている。





脳を鍛えるには運動しかない!―最新科学でわかった脳細胞の増やし方脳を鍛えるには運動しかない!―最新科学でわかった脳細胞の増やし方
(2009/03)
ジョン J. レイティ、エリック ヘイガーマン 他

商品詳細を見る





本の冒頭で、アメリカのイリノイ州のある高校で、体育の授業を毎日にしたところ、生徒が健康になったことに加え、学力テストで全米6位になったケースが紹介されている。毎日行う有酸素運動が脳の記憶力を活性化したことによる効果だ。

何よりも素晴らしいと思ったのは、この高校での体育の授業の取り組み方だ。有酸素運動を、要はランニングをするときに、全員に心拍計を付けたのだ。その結果、クラスで一番脚が遅いと思われていた生徒が、実は最大心拍に対して最も高い心拍数でランニングしていたことがわかったのだ。

これを見た体育教師は、それまでの指導方針を改め、この生徒に満点の評価を与えた。その結果、どの生徒も授業を楽しむことができるようになり、運動することを通じて生徒の社会性も高まっていったらしい。彼らは学校を卒業してからもスポーツを楽しむことを続けることになった。

内容の紹介はこんなところなのだが、競技者を見いだそうとせんばかりの日本の体育の授業に比べると、なんとも受けてみたくなる授業ではないか。この高校では、運動を促進するためにダンスやカヌー、ウォールクライミングなど、普通はお目にかからないような種類のスポーツを授業に取り入れている。

脳細胞に与える影響については自分も思い当たるところがある。朝ランをするようになってから、会社で特に午前中の生産性が格段に上がった気がするのだ。これだけでもランニングをやっている意味がある。そしてランニングはうつやストレスにも高い効果があるらしい。ボケないということか。

ランニングのこの側面は、ランナーにもっと広く知られてもよい。記録がすべてではないのだ。もちろん健康がすべてでもないが。



いつも読んで頂きありがとうございます♪
にほんブログ村 その他スポーツブログ マラソンへ
にほんブログ村

こちらもポチッとお願いします。
にほんブログ村 アウトドアブログ キャンプへ
にほんブログ村

生きるか死ぬかの極限状況で、肉体的な「人間の限界」を著者自身も体を張って果敢に調べ抜いた驚異の生理学。人間はどのくらい高く登れるのか、どのくらい深く潜れるのか、暑さと寒さ、速さの限界は?果ては宇宙まで、生命の生存限界まで、徹底的に極限世界を科学したベストセラー。


人間はどこまで耐えられるのか (河出文庫)人間はどこまで耐えられるのか (河出文庫)
(2008/05/02)
フランセス アッシュクロフト

商品詳細を見る





人間が与えられ得る苦痛 ー 暑さ、寒さ、高山の薄い空気、深い海の圧力…
これらについて語っているのだが、注目すべきは、「知らずにやったら命の危険があること」。

スキューバダイビングを何度かやったあとに飛行機に乗ると潜水病を引き起こすリスクがある。暑い場所では発汗を妨げてはいけない。高山では100メートル進むのに1時間掛かることがある。冷たい海に取り残されたら、絶対に着ているものを脱いではいけない…などなど。特に若者は勢いでいろんなことをやっちゃうから要注意だ。

しかし最終章では深海の熱水流の近くで生息する生物の話になるなど正直著者の狙いがわからん。カタログ的に人間の限界を並べたかっただけなのか?ちなみに原題はSciense of survival。生存の科学、か。科学ノンフィクションなのだが、邦題からは「実際に死にそうになった人の話」を期待してしまった。実例はほとんど書かれていない。罪作りなタイトルだ。☆☆。

第二次大戦時に米国軍海兵隊員だった父は、死の間際に「自分は沖縄戦に加わり、日本兵を殺した」と告白した。
作者は父と同じ部隊にいた元兵士たちを訪ねてインタビューし、沖縄へ飛び、戦争の凄惨な実像に迫っていく。



日本兵を殺した父: ピュリツァー賞作家が見た沖縄戦と元兵士たち日本兵を殺した父: ピュリツァー賞作家が見た沖縄戦と元兵士たち
(2013/06/24)
デール マハリッジ

商品詳細を見る





著者はノンフィクションでピュリッツァー賞を受賞したジャーナリスト。長年、戦傷による外傷性ストレス症候群に悩まされてきた父親の足跡を、戦後60年経って追いかけた本。おそらくこれまでは筆にするのがためらわれてきたに違いない米軍側の残虐行為にも光が当たっている。

米軍の沖縄進攻時には住民や投降兵は米軍に人道的に扱われてきたと、従来考えられていた。また戦争から長い年月が過ぎ、日本側もアメリカ側もすでに憎しみは無く、いつしか友情に変わってきたとも思われている。しかしこの本は、そういったナイーブなものの見方に冷水を浴びせる。そこに描き出されるのは、日本も米国も関係なくお互いを蹂躙する残虐行為や、戦後60年以上が経っても決して消えない憎しみである。

著者は、どちらの側にも偏ることなく、今日も存命の退役軍人が語る当時の真実や、決して消えない悲しみや憎しみを客観的に描き出す。これはまぎれもなく当時起きたことであるとともに、これらを一括りにして「一方が残虐で一方が人道的だった」などと総括できるものではない。まさに、戦いに参加した者の数だけ戦争の真実があるのだ。戦争全体の真実に少しでも近づこうと思ったら、とにかくたくさんの人の話を聞くしかない。そのことを強く分からせてくれる一冊である。それだけに、当事者たちが高齢化してきている今、貴重な記録である。

かつては映画や文学などでは戦場での救世主のように扱われてきた米軍であるが、映画「プライベート・ライアン」で捕虜を処刑するシーンが撮られたころから風向きが変わってきたようだ。あれは98年の映画だった。

もう一つ、マッカーサーはその戦略家としての評価がとかく分かれる軍人であるが、この本ではニミッツ提督などと比べて、とにかく部下の損耗を回避することを第一に考える人だったことが記されている。朝鮮戦争で北朝鮮に原爆を落とそうとしたことだけが汚点だったということか。

問題作ではあるが、ノンフィクションとしての広がりに欠けたのは残念。☆☆☆☆

こちらもポチっとお願いします。m( _ _ )m
にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ
にほんブログ村

「うわの空」のほうがうまくいく!?入学試験から就職の面接、重要なプレゼンやスピーチ、そしてゴルフのパットまで、大事なときに緊張するとなぜ失敗するのかを、最新の脳科学をもとに分析。解決策も満載。


なぜ本番でしくじるのか---プレッシャーに強い人と弱い人なぜ本番でしくじるのか---プレッシャーに強い人と弱い人
(2011/10/20)
シアン バイロック

商品詳細を見る





人間の脳には「ワーキングメモリー」というコンピュータでいうところのRAMみたいな領域があり、プレッシャーがかかる場面になるとこの動きが悪くなるらしい。本書では1996年マスターズのグレッグ・ノーマンやその後の全英オープンのバンデベルデの例が引かれているが、通常なら頭で考えながらできることができなくなる。

これを読んで以前受けたゴルフのレッスンを思い出したのだが、その時のコーチは「昇りのパッティングであれば、眼で見たままを身体で受け入れること。頭で昇りを調整してはいけない」と言っていた。この辺は科学よりもゴルフ理論の方がはるか先を行っているかも(笑)

またマイケル・ジョーダンが野球に転進したときのエピソードにも触れ「生まれながらの天才はいない。ジョーダンですら気の遠くなる練習量でバスケットの能力を開花させたことが示されている」と説明している。先日読んだ「天才を考察する」よりも数倍クリアな説明である。

もう一つ本書で見逃せないのは、差別意識からくるプレッシャーがパフォーマンスに与える影響。かつてハーバードのローレンス・サマーズが「女性は男性に比べて知的能力が低い」という蔑視発言をして話題になったが、このような見方が世の中にあるというだけで、女性は試験などの場で能力を十分発揮できていない可能性があるという。

そうなのだ。お金持ちのお坊ちゃまの集団の中で田舎の貧乏人の子弟がどれほどコンプレックスにさいなまれているか。それゆえ本番でどれほどのプレッシャーにさらされているか。そういった恵まれた人たちにも「できて当然」という逆のプレッシャーはかかるかもしれないが、劣等感からくるプレッシャーよりはましなはずである。と私などは強く思います。そんな田舎者の感情をうまく拾い上げてくれているので☆☆☆☆。(ゴルフのルーティンの話は既出なので☆一個マイナス)

いつもお読み頂きありがとうございます。
にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ
にほんブログ村

人質が生きるか、死ぬか、極限状態での駆け引き。一本の電話回線を介した緊迫の交渉。真実を描くため、実名は明かせなかった交渉人自らが語る、衝撃のノンフィクション。

ネゴシエイター―人質救出への心理戦ネゴシエイター―人質救出への心理戦
(2012/06)
ベン ロペス

商品詳細を見る





誘拐保険会社の委託を受けて交渉役や家族のケアをしてきたネゴシエイターの経験談。

とにかく人質の、あるいは場合によっては犯人の生命さえも守ることを最優先に考える。文中で著者が知り合ったばかりのガールフレンドに「誘拐犯と交渉するなんて、誘拐犯をつけあがらせるだけ」と非難されるくだりがあるが、交渉過程でいかに手強いと思わせるかが再犯を防ぐ秘訣と語りそれを実践する著者に比べると、ナイーブで野蛮にみえる。

三木首相の「生命は地球よりも重い」発言を批判する向きには是非読んでほしい良書。☆☆☆☆☆。

いつも読んでいただいてありがとうございます。
にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ
にほんブログ村

↑このページのトップヘ