量は質を凌駕する

 ~ アウトドアと読書の日記

カテゴリ:●色んな道具 > アルコールストーブ

先日GOMAさんにヒントを頂いてから色々と調べたり考えたりしていたのだが、カルデラコーンは収納性が弱点のようだ。おそらく0.1~0.2mm厚のステンレスかチタンの薄板で作ってあって、収納するときは丸めて円筒形の容器にしまうのではないかと推測する(現物を見たことがないのであくまで推測)。また載せる調理器具は限られる。逆に長所はその軽さと耐風性。

そんなわけで昨日の午後はホームセンターをブラブラしながら、何が使えるか、どんなものが今の自分の手元の道具で作れるか物色した。丸めるタイプはどうしても収納が厳しくなるのであれば、折り畳み式にしてはどうか。その場合、四つ折りまたは三つ折りにするのだが、普通はZ字形にしか折り畳めない。つまり1つ目の折り目では組み立て時に表に出る面からみて山折りだったとしたら、次の折り目では谷折りになる。

ここで問題なのが、蝶番だ。蝶番には普通裏表がある。軸が飛び出しているのが表で、その反対が裏だ。表を谷に折ると180度まで折れるが、表を山に折ると100度ちょっとくらいしか折れない。180度折れると思っても蝶番を取り付けたネジの頭同士が干渉して180度まで折れないことがある。従って普通のビスとナットではZ字形には折れないのだ。この写真は表。



干渉を避けるには、蝶番をはんだ付けでつけるか、蝶番を頭の小さなネジで止める必要がある。はんだ付けはアルミやステンレスでは無理で、銅か真鍮、鉄でないと付かない。しかしホームセンターをうろついていて、こんなものを見つけたのだ。



これなら上手く打ち込めば干渉しないかもしれない。ということで買ってきましたよ、0.3mmのアルミ板♪




これなら鋏でジョキジョキ切れる。最初なので、コールマンのケトルが入るような大きさに切る。



で、最終的にはこんな形になった。この方が安定性が高そうだ。下の辺が20cm、上の辺が14cm。ちなみにケトルは直径13cm。



ジャーン!!



もちろん折り畳めますよ♪



空気穴が付いている。



ちょっと見えにくいが、谷折りにする箇所では板を少し切り欠いて、蝶番の関節が埋め込まれるようにしている。



そしてリベットにしてもやっぱり少し干渉したので、頭の平らなビスをここだけ使った。



連結するところは磁石。よくあるやつ。



五徳の役をする鉄の棒を通すための穴は開けた。代用の針金で燃焼試験をしてみる。ストーブ自体が熱くなるので、下に鍋敷きが置いてある。



ここにコールマンのケトルを置く。



実は代用の針金が真っ赤に焼けてヤバそうだったので、4分間でテストは中止。でもお湯は指がやけどするほど煮えていたので、多分80度にはなっていたはず。

当たり前だが、しっかり作らないと乗せている熱湯が危険だ。マグネットは熱を考慮して下の方に1つしかつけてないが、もう1つつけた方がしっかりすると思われる。それからアルコールストーブもかなり熱くなるので鍋敷きが必須なので、これを風防と一体化できないか考えてみたが、アルコールストーブはたまに熱暴走することがあるらしい。今の作りだと、仮に暴走しても風防を持ち上げればいかようにも対処できるが、一体化してしまうとアルコールストーブを取り出すのに難儀することになる。

空気穴も1面に2つしか開けてないが、耐風試験次第ではもう少し増やすかも。五徳の高さによっても燃焼効率が違うらしいので、穴はいくつか開けてみたい。これでご飯が炊けるかどうかも試したいな。

こうして実際に作ってみると色々課題が出てきて面白い。アウトドアの道具を超インドア的に作る(笑) アルコールストーブを自作している人はたくさんいるが、五徳を作っている人はあまりいないようなので、もう少し掘り下げてみたい。燃焼試験を含め、後半に続く♪

さて、後編に移る前に、アルコールストーブがなぜあれほどの勢いで燃焼するのか、その仕組みを考えてみよう。ガスコンロはボンベの圧力でガスを吹き出すことで、あの火勢を得ている。アルコールストーブの燃料であるアルコールは、沸点が80℃弱と低いため、簡単に気化する。アルコールストーブを使う際は、真ん中の大きな穴に着火して、その温度でアルコールを温めて(プレヒート)気化させ、それが加圧室(下図の内筒と外筒に囲まれたところ)の圧力を高めて、ガスの穴から気化したアルコールを噴出させるわけだ。

これにより普通のアルコールランプよりも遥かに強い火力が得られる。このことは、アルコールストーブを自作する時の注意点にもつながる。内筒と外筒のつなぎ目も重要で、内筒の上端が外筒にきっちりはまりこむよう、缶を直線でカットしなければならない。

また、加圧室に液体のアルコールを循環させるための穴(オリフィスと呼ぶらしい)が、燃焼が進むにつれてアルコールの水面より上に露出すると、加圧室の気密性は失われ、燃焼が止まる(下図の左側)。オリフィスがアルコールで塞がれていると、上のガス穴から気化アルコールが正しく噴出する(下図の右側)。つまり、オリフィスを大きく開けすぎると、燃料のアルコールがたっぷりあるのに燃焼が終了してしまうわけだ。

アルコールストーブ

最初の試作の段階ではオリフィスを大きく開けすぎたため、燃焼につれてアルコールが減ってオリフィスが露出し、穴からの炎が消えてしまった。また下の写真では、上の缶と下の缶が密着しておらず、その隙間から気化アルコールが噴出して炎が(笑)



こういった細かい調整を経て、無事火勢が得られた。ガスの穴も最終的には24個に。最近買ったばかりの電動ドリルが役にたった。では連続写真でプレヒートから通常燃焼までご覧あれ♪

まずはプレヒート開始。真ん中からだけ炎が出ている。



アルコールが熱せられてガス穴から少し炎が出てくる。



ガス穴からの炎が大きくなる。しかしアルコールが充分気化していないようで、炎が黄色味を帯びている。



温度が充分に上がり炎が青くなる。燃焼試験は成功だ♪




さて、こうして完成した試作1号機だが、実は重大な問題を抱えている。このままでは、調理用の火力として使えないのだ。それは何故か?




それは、五徳が無いからだ(笑)
いや、笑い事ではなく、このタイプのアルコールストーブは五徳がかなり重要なのだ。燃焼時の写真でも分かるように、このストーブの炎はかなりの高さになる。ケトルを使う場合、ケトルをストーブに対して適切な高さに保持しないと、アルコールが燃えるばかりで、効率的に煮炊きが出来ないのだ。

さあ、五徳も自作するのか?それとも市販の物を調達するのか。いずれにしても五徳がないと、湯を沸かすテストが出来ない。

この記事を書いている段階では、ヒントは持っているものの、実質ノーアイデアなのだ。しばらく旅にでて、考えるとするか(笑)

ハーフマラソンの合間にこんなものを作っていた。アルコールストーブ♪
男の子は幾つになっても火遊びが大好き(笑)



これ、自作品の定番の1つだが、自分も今回初挑戦なので、試行錯誤しながらやってみたい。揃える道具と材料はこんな感じ。



空缶2つ(今回はアルミ缶を利用)
カッターナイフ
コンパスカッター
自在万力

これ以外に、ピンバイス、両面テープとか、サンドペーパーとか必要。まずはカッターの刃を自在万力にセット。



この自在万力はプラモデルの部品加工用に手に入れたものだが、普通は電話帳のような分厚い本に刃を挟んでもいいようだ。

これを缶にこんな風に当てて、缶をグルグル回して水平に筋を付ける。高さは初回なので適当。



ある程度筋が付いたら、カッターを手で持って直接切る。



同じ物をもう1つと、内側に入れる筒になる輪を切り出す。



内筒は当然外筒よりも直径が小さくなるので、縦にも切る。これは普通のハサミでもO.K.
続いて底にも穴を開ける。ここでコンパスカッターが活躍♪



でもアルミ缶のこの部分は横の箇所に比べてかなり肉厚なので、カッターでは切れない。そこでプラモ用エッチングパーツカッターが登場♪



こいつでガシガシ切っていく。



この穴の大きさでも性能が変わるらしいが、今回は試作なので最大にしてみる。完成したパーツ群。既にガスの穴もピンバイスで開いている。この時点では穴は8個。ドリル刃は1.2mm径を使用。




長くなってきたので、後編に続く♪

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