量は質を凌駕する

 ~ アウトドアと読書の日記

カテゴリ: ●読書記録(毎月のまとめ)

ジョンルカレを集中して読もうと思っていたのに、その前にカリン・スローターの新作の予約順が回ってきたので、以前の作品も改めて読み直したら結構な冊数になってしまった。

カリン・スローター、いちおう男性が主人公にはなっているが実際に活躍するのは女性がほとんど。この作品に限らないが、アメリカの小説は人種や性別、LGBTなどいろんな差別が小説の背景として当たり前のように出てくる。

それはアメリカで差別が多いということだけではなく、やはり書き手の意識が強いということなのだろう。日本の小説ではそういった話題はあえて避けたり、無神経に書いたり、ということが多い。差別の存在をまずは知らなければ差別は解消できない。

そういえば以前、自分は差別なんかする人間ではないから自分には差別の話をしないでくれ、と言ったタレントがいたな。人間はそもそも何もなければ本能的に差別をする動物であることを忘れている。まず差別を認識し、それを教育で解消していくのが文明の力なのに。



3月の読書メーター
読んだ本の数:14
読んだページ数:4916
ナイス数:86

ジョン・ル・カレ伝 下ジョン・ル・カレ伝 下感想
20世紀の終わりくらいに、これでもう東西冷戦をネタにしたスパイ小説も終わりだなと思ったのを思い出した。ルカレも同じ思いを持っていたのか。そりゃそうだろうな。やはりルカレの本をもっと読もう。難解だけど。☆☆☆☆。
読了日:03月06日 著者:アダム シズマン

容疑者 (創元推理文庫)容疑者 (創元推理文庫)感想
シリーズ最新刊が出たので第1作を再読。犬の嗅覚の凄さを改めて納得。目で見る代わりに匂いで感じる。確かに匂いなら夜でも感じることができる。☆☆☆。
読了日:03月06日 著者:ロバート・クレイス

約束 (創元推理文庫)約束 (創元推理文庫)感想
シリーズ新刊に向けて再読。コール&パイクシリーズはしばらく間が空いていたようだが、マギーの参入で一気に活気づいた。でも警察犬ネタはあまり続かないようで次作には登場しないらしい。残念。☆☆☆☆。
読了日:03月07日 著者:ロバート・クレイス

地下道の鳩 ジョン・ル・カレ回想録 (早川書房)地下道の鳩 ジョン・ル・カレ回想録 (早川書房)感想
同時期に出た「ジョンルカレ伝」の方が網羅性は高いし時系列になっているが、ここのエピソードについてはこちらの方が断然面白い。両方読んだ方がいい。そしてこちらの方がルカレという人が実はシンプルな人だということが分かる。それにしても地下道の鳩のエピソードが出てこなかった気がするのだが。☆☆☆☆。
読了日:03月10日 著者:ジョン ル カレ

指名手配 (創元推理文庫)指名手配 (創元推理文庫)感想
最初3分の1くらいはなかなか物語が動かないしマギーも出てこないしでどうしようかと思ったが、タイソンが見付かってからのスピード感はさすが往年のエルヴィス&パイクが戻ってきた感じ。あとがきにもあるが女性のキャラクターが鮮明で物語が生き生きしている。そういえばこういう筆でした。☆☆☆☆。
読了日:03月13日 著者:ロバート・クレイス

ネヴァー・ゲーム (文春e-book)ネヴァー・ゲーム (文春e-book)感想
この手のプロフェッショナルが登場する、例えば秘密工作員のお話だとどうしても最後は「入念に準備して計画通りに悪人を倒す」というつまらないものになりがちだが、このストーリーでは最小限の戦力で目標に向かっていくので変動要因が多くて面白い。さすがにディーヴァーという細部の作り込みも素晴らしい。こういうワイルドな物語はいいな。☆☆☆☆。
読了日:03月18日 著者:ジェフリー・ディーヴァー

暗殺者の悔恨 上 (ハヤカワ文庫NV)暗殺者の悔恨 上 (ハヤカワ文庫NV)感想
グレイマンも最初の印象からすると随分人間ぽくなってきたものだ。もともと正義の人ではあるが、今回はさらに人権問題にまで踏み込んだ。やっぱり相変わらずのスーパーマンではあるが。下巻へ。☆☆☆☆。
読了日:03月18日 著者:マーク・グリーニー

暗殺者の悔恨 下 (ハヤカワ文庫NV)暗殺者の悔恨 下 (ハヤカワ文庫NV)感想
Netflixで映像化されるらしい!あとがきを読んで狂喜乱舞。しかも主役はあのライアンゴスリング。グレイマンらしい普通の人だ。公開は来年らしいが今から待ち遠しい。☆☆☆☆。
読了日:03月18日 著者:マーク・グリーニー

極超音速ミサイルが揺さぶる「恐怖の均衡」 日本のミサイル防衛を無力化する新型兵器 (扶桑社BOOKS新書)極超音速ミサイルが揺さぶる「恐怖の均衡」 日本のミサイル防衛を無力化する新型兵器 (扶桑社BOOKS新書)感想
こんな世界があるとは読むまで全く知らなかった。前半はこれまでの核軍縮の歴史が丁寧に整理されている。SALT、START、INFの違いが分かる。後半は非弾道弾について。北朝鮮ってここまで進んでいたのか。SM6、SM3、PAC3、THAADの違いもよく分かる。現代社会の基礎知識。☆☆☆☆☆。
読了日:03月23日 著者:能勢伸之

網内人 (文春e-book)網内人 (文春e-book)感想
香港人らしいインテリジェンスと欲望にまみれた佳作。特に現実社会とのつなぎ目を感じさせないところが上手い。物事には何でも真実の裏面がある。☆☆☆☆☆。
読了日:03月23日 著者:陳 浩基

血のペナルティ (ハーパーBOOKS)血のペナルティ (ハーパーBOOKS)感想
伏線が全くなく突然予想外の決着。なにしろ犯人像が見えてくるのが後半だからな~。このオバさんたちの活躍ぶりが男前すぎる。ウィルの出番があんまりない。☆☆☆。
読了日:03月25日 著者:カリン スローター

罪人のカルマ 〈ウィル・トレント〉シリーズ (ハーパーBOOKS)罪人のカルマ 〈ウィル・トレント〉シリーズ (ハーパーBOOKS)感想
ウィルの生い立ちに迫る編。70年代、女性が性差別を乗り越えて職業的地位を確立する壮絶な物語。アメリカで女性警官がステータスを保つためにはこういう実話があったんだろうと思わせられる。凄い。☆☆☆☆。
読了日:03月28日 著者:カリン・スローター

サイレント 上 〈ウィル・トレント〉シリーズ (ハーパーBOOKS)サイレント 上 〈ウィル・トレント〉シリーズ (ハーパーBOOKS)感想
これはウィルとサラの出会いの物語ということでいいのか。サラの怨念に決着をつけることに焦点が当たっているようにも思えるのだが。しかし上下巻、あっという間に読み終えた。☆☆☆☆。
読了日:03月28日 著者:カリン・スローター

サイレント 下 〈ウィル・トレント〉シリーズ (ハーパーBOOKS)サイレント 下 〈ウィル・トレント〉シリーズ (ハーパーBOOKS)感想
スローターのミステリーには伏線があまりない。前半は犯人の見当が全くつかないことが多いな。今回も意外なところから意外な方向へ抜けていった。☆☆☆。
読了日:03月28日 著者:カリン・スローター

読書メーター



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久々に月間ページ数が5000ページを超えた。

やっぱり「ワクチンレース」か。ウィルスに発がん性があること、ワクチンを作る時にはいかに人間に対して良くない作用をする胚を選ぶかが大事か、確かに人間の胎児の胚ならおかしなウイルスには感染していないはずだが、福音派でなくても抵抗感はある。知らないと分からない話。

今月はもう一冊。コルソン・ホワイトヘッドの2冊はどちらもピュリッツァー賞を受賞。アメリカの人種差別の実態を時代を替えて描いている。主人公のキャラクターの浮かび上がり方が鮮やか。これも歴史、と思わせる時間の流れの強さを感じる。「地下鉄道」はSFです。



2月の読書メーター

読んだ本の数:14
読んだページ数:5310
ナイス数:96

指差す標識の事例 上 (創元推理文庫)指差す標識の事例 上 (創元推理文庫)感想
イタリアからやってきた旅行者がであうオックスフォードでの不思議な体験。英国中世版「藪の中」。下巻へ。☆☆☆☆。
読了日:02月03日 著者:イーアン・ペアーズ

指差す標識の事例 下 (創元推理文庫)指差す標識の事例 下 (創元推理文庫)感想
4人の告白者に合わせて日本語版は4人の翻訳者がそれぞれを担当したらしい。道理で別の本に見える。そして最後に明らかになる大いなる秘密。タイトルは、まさにそれぞれが言っていることは同じ一つの事象を指示しているということだろうか。☆☆☆☆。
読了日:02月03日 著者:イーアン・ペアーズ

ワクチン・レース〜ウイルス感染症と戦った,科学者,政治家,そして犠牲者たち (PEAK books)ワクチン・レース〜ウイルス感染症と戦った,科学者,政治家,そして犠牲者たち (PEAK books)感想
ワクチン培養のためのクリーンな細胞を手に入れるのがこんなに大変だとは。確かに人間の細胞ならば生まれながらにウィルスに感染していても害がないことは分かっているのでサルとかよりは無害だということは分かる。それにしても生々しい。☆☆☆☆。
読了日:02月06日 著者:メレディス・ワッドマン,Meredith Wadman

ストーンサークルの殺人 (ハヤカワ・ミステリ文庫)ストーンサークルの殺人 (ハヤカワ・ミステリ文庫)感想
翻訳者あとがきに主人公は「ハリーボッシュに似ている」という表現があったがまさにその通り。シリーズ序盤ではやけどしそうなほど熱いキャラクターであったところとか、綿密に証拠を調べて犯人を探り当てるアプローチとかそっくりだ。これはシリーズ作が期待できる。☆☆☆☆。
読了日:02月08日 著者:M W クレイヴン

ファシズムファシズム感想
元アメリカ国務長官のオルブライトによるファシズムの脅威を語った本。ムッソリーニ、ヒトラー、マッカーシー、ミロシェビッチ、チャベス、エルドゥアン、プーチン、オルバーン、キムジョンウンについて語っているのだが、本人の政治的立場がはっきり記されていないので、客観的なのか国務長官としての愚痴なのか、だれがファシストなのかがよく分からないで終わる。☆☆☆。
読了日:02月10日 著者:マデレーン・オルブライト

007 逆襲のトリガー (角川文庫)007 逆襲のトリガー (角川文庫)感想
傑作。隠れ副題~ヒーローは楽じゃないよ。レースに参加するのに練習はするしこれまでの成功は運が良かっただけと内省的だし、ヒーローも意外と地味だ。ボンドはとにかく練習を怠らないし姿勢は謙虚で用心深い。ちょっとだけ「太陽がいっぱい」のリプリーを思い出した。☆☆☆☆☆。
読了日:02月12日 著者:アンソニー・ホロヴィッツ

サバイバル家族サバイバル家族感想
服部文祥の家族形成物語。横浜のそんな都会の真ん中にそんな家があるとは。結構雑誌などでも有名らしい。イラストレーターやってる奥様もキュートだ。文祥ファンは必読。☆☆☆。
読了日:02月16日 著者:服部文祥

地下鉄道 (ハヤカワepi文庫)地下鉄道 (ハヤカワepi文庫)感想
冒頭、登場人物が多すぎて混乱するが主人公が最初の逃亡を遂げてからは物語が急速に展開している。こういった逃避行ものは主人公が置かれた窮地が厳しければ厳しいほどエンターテイメント性が増す。その窮地が史実であるというのは皮肉だがそれを逆手に取っているともいえる。重い歴史なのに物語を通じて希望の光が消えないのが凄い。☆☆☆☆☆。
読了日:02月17日 著者:コルソン ホワイトヘッド

ニッケル・ボーイズニッケル・ボーイズ感想
この作者の本は二冊目だが、いつもどこかに将来への希望を感じさせる。この話も絶望しかないのになぜか明るい。これは書いている人が楽天的だからなんだろうな。そこが救い。☆☆☆☆。
読了日:02月24日 著者:コルソン ホワイトヘッド

ザ・プロフェッサー (小学館文庫)ザ・プロフェッサー (小学館文庫)感想
2年くらい前に読んだつもりだったのに記録されていなかった。今回シリーズ新刊が出たので一冊目から再読。ああ、こんなにスリリングな話だったのか。しかし証言を翻した証人への当てつけが凄い。と思っていたらこれがシリーズ3作目で回収されるんだな。やはりみんな気になっていたんだ。☆☆☆☆☆。
読了日:02月24日 著者:ロバート・ベイリー

黒と白のはざま ザ・プロフェッサー (小学館文庫)黒と白のはざま ザ・プロフェッサー (小学館文庫)感想
2作目も凄いが、なぜこの証言者はここで証言しようという気になったのか。そこに主人公の活動は作用したのか。この唐突感がちょっと残念。最後は壮絶な撃ち合いだがこれもやや唐突感あり。☆☆☆☆。
読了日:02月24日 著者:ロバート・ベイリー

ラスト・トライアル (小学館文庫)ラスト・トライアル (小学館文庫)感想
満身創痍の教授が冤罪に挑む。しかしこのクソ判事に誰か鉄槌を下してくれないか。なんだか事件が終わってもまったく決着が付いてない気がする作品。ちょっと中途半端なのは教授の病気のせいもあるのだろうか。☆☆☆☆。
読了日:02月25日 著者:ロバート・ベイリー

下山の哲学──登るために下る下山の哲学──登るために下る感想
ヒマラヤ8000m超の12座登頂記。一つの山を下りてすぐ次に登頂したりするので慌ただしい。それにしても12座登るということはそれだけリスクにさらされる時間が長くなるということだ。12座という言葉の重みが分かる。☆☆☆。
読了日:02月26日 著者:竹内 洋岳

ジョン・ル・カレ伝 上ジョン・ル・カレ伝 上感想
デビュー当初の典型的な売れない小説家になるまでの人生が破天荒すぎる。そしてあまりにろくでなしの父親。こういう親族がいるといくら成功してもすぐに稼ぎを吸い取られてしまう。今後の波乱要因。下巻へ続く。☆☆☆☆。
読了日:02月28日 著者:アダム シズマン


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1月はコースケの受験勉強のサポートもあったがそこそこ読めた。やはり特筆すべきは角幡唯介の「そこにある山-結婚と冒険について」。山に登るのも結婚するのも、それによって何かを成し遂げようとしているのではなく、山に登ったり結婚したりという「事態」に至ったからでしかない、という論。

たしかに人生においては選択肢があるようで、実は選択肢が示されても一方の選択肢しかありえないという事態はたくさんある。山と向き合うという事態に陥ってしまったらもう登るしかなくそこには選択などない。

どっちにしようかな、なんていう場面はまずほとんど我々の前には訪れないのだ。納得。


1月の読書メーター
読んだ本の数:11
読んだページ数:4741
ナイス数:113

超電導リニアの不都合な真実超電導リニアの不都合な真実感想
本当に科学者なのかというほどに主観を中心にしたあいまいなアプローチ。アメリカに売り込めという言葉も自分が議論の中心に痛いだけなのではと見えてしまう。クエンチが発生した時の実際のトラブルの推定や、気圧変化の実測値など、本を出版する前にもっと客観材料をそろえる余地はあるのではないか。☆☆☆。
読了日:01月02日 著者:川辺 謙一

葬られた勲章(上) (講談社文庫)葬られた勲章(上) (講談社文庫)感想
久々のジャック・リーチャー。数年ぶりに読んだらサスペンスの密度が格段に上がっていてビックリ。そしてあの傲岸不遜さは健在。スピード感も抜群。下巻へ。☆☆☆☆。
読了日:01月05日 著者:リー・チャイルド

葬られた勲章(下) (講談社文庫)葬られた勲章(下) (講談社文庫)感想
怒涛のエンディングも期待に違わない。Amazon primeで映像化されるらしいぞ。楽しみ!☆☆☆☆。
読了日:01月05日 著者:リー・チャイルド

シャーロック・ホームズ 絹の家 (角川文庫)シャーロック・ホームズ 絹の家 (角川文庫)感想
現代版シャーロックホームズ。すごい再現度でしかも馬車でのチェイスとか性虐待とか現代風のテイストも織り交ぜられている。ディーバーの007とはレベルが違うな。ただ、言葉での説明が多すぎるという短所も引き継いじゃってるんだよなw ☆☆☆☆
読了日:01月05日 著者:アンソニー・ホロヴィッツ

大空のサムライ  かえらざる零戦隊 (光人社NF文庫)大空のサムライ かえらざる零戦隊 (光人社NF文庫)感想
ふと気になって40年ぶりに読んだ。本人が書いてるからまさにリアルそのもの。19年7月に特攻を命ぜられる場面が特に。このころから組織的な特攻が行われていたのか。大西中将が始めたと言われるよりはこっちの方が自然だ。そして特攻のシーンを省く配慮。パイロットへの敬意か。☆☆☆☆☆。
読了日:01月10日 著者:坂井 三郎

死亡通知書 暗黒者 (ハヤカワ・ミステリ)死亡通知書 暗黒者 (ハヤカワ・ミステリ)感想
凄いスピード感とドラマチックな展開。テレビの原作みたい。ただ羅飛の恋人を犠牲にする必要はあったのか。自らを犠牲にしてでも敵を倒すという衝撃の場面を作ることを優先したのか。映像の方が楽しいかも。☆☆☆☆。
読了日:01月12日 著者:周 浩暉

モリアーティ (角川文庫)モリアーティ (角川文庫)感想
いやいやいやいや、ホロヴィッツ。完全に油断していました。そうきたか~。殺戮だけでなくてこの緊張感も現代のミステリー作家ならではだな。続編は難しいかな?(笑)☆☆☆☆。
読了日:01月16日 著者:アンソニー・ホロヴィッツ

そこにある山-結婚と冒険について (単行本)そこにある山-結婚と冒険について (単行本)感想
そこにある山も巻き込まれる結婚も、能動的でも受動的でもない「事態」により引き起こされるというのは慧眼。確かにこれをやるぞっていう明確な動機を持ち合わせるよりも、いつの間にか事態に巻き込まれて結果的に偉業を成し遂げる人の方が圧倒的に多い気がする。これは再読リストに入れておこう。読めば読むほど服部文祥との共通点が浮かび上がるな。☆☆☆☆☆。
読了日:01月17日 著者:角幡 唯介

続・大空のサムライ 回想のエースたち続・大空のサムライ 回想のエースたち感想
本編で書き切れなかった海軍航空隊のあれやこれや。本編が主人公の半生記なのに対しこちらは周辺の人物や海軍の風習や慣行の話が多い。いくらでも書くことはあるんだろうな。☆☆☆。
読了日:01月19日 著者:坂井三郎

ヘッドハンターズ (講談社文庫)ヘッドハンターズ (講談社文庫)感想
結構綱渡りのストーリーだがハリーホーレ前のネスボはこんな感じだったのか。どこかに穴があるような気がするがまあいいか。北欧のミステリーは謎解きの巧緻さを前面に出して、動機面の描写があいまいなものが多いような気がするな。☆☆☆。
読了日:01月27日 著者:ジョー・ネスボ

戦話・大空のサムライ―可能性に挑戦し征服する極意 (光人社NF文庫)戦話・大空のサムライ―可能性に挑戦し征服する極意 (光人社NF文庫)感想
これは講演集なのか。読みどころは最後にでてくるラバウル訪問記。これが約30年前だがその後花吹山が噴火してラバウル空港は閉鎖されたらしい。これだけでも読む価値あり。☆☆☆。
読了日:01月28日 著者:坂井 三郎

読書メーター

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去年はコロナで心が落ち着かなかったせいだろう。例年に比べて読書量がガクッと減った。例年150~200冊は読んでいるのだが今年はわずか110冊ほど。そういえば東日本大震災の直後に3か月くらい全く本が読めない時期があったな。



今回はおススメの5冊、というか5シリーズ、今年読んだ中で印象に残った本を選んでみた。硬軟織り交ぜております。日付の付いたコメントは読んだ当時のもの。まずはサイエンス系から。

1.「時間は存在しない」シリーズ カルロ・ロヴェッリ著
このロヴェッリの手にかかると難解な一般相対性理論が文系の自分にもたちどころに理解できるようになるのが凄い。宇宙は結局、物とその影のようにどちらかが消えると全部消えてしまうような不安定な存在だと思うとちょっと怖くなる。物理学食わず嫌いにお勧め。これは最初図書館で借りたけど、何度も繰り返して読みたくて結局買いました。同じように買ってしまった本にサイモン・シンの「宇宙創成」という本があるけど同じくらい面白い。

そもそもこの本は同じ著者の「すごい物理学講義」の一部を切り出したもの。こちらも範囲がより幅広く、そしてわかりやすい。

時間は存在しない時間は存在しない感想
物は存在するのではなく作用している。不可逆な作用は熱エネルギーだけでそれ以外の物理作用は対称である。これらの現象は時間tを使わないで説明できる。 らしいです・・・ 自我の存在があり記憶があるから時間が認識される。われ思うゆえに我ありではなく、まず我があるということで、最後は哲学にまで話が広がる。久々に強い刺激を受けました。さすがイタリア人。 最後にプルーストが引用されている。この本が理解できれば「失われた時を求めて」が理解できるかも。☆☆☆☆☆。
読了日:08月08日 著者:カルロ・ロヴェッリ

すごい物理学講義 (河出文庫)すごい物理学講義 (河出文庫)感想
「時間は存在しない」の元ネタ。純粋に時間について説明していたのに対して、本作は歴史的経緯まで含め量子力学と相対性理論全体を説明してくれる。これを読んだ方が背景が分かるので理解が進むのでは。それにしても面白い。以前読んだ「超ひも理論」はさっぱり理解できなかったのに。☆☆☆☆☆。
読了日:08月16日 著者:カルロ・ロヴェッリ



2.「イノベーターズ」ウォルター・アイザックソン
コンピューターの黎明期から半導体の発明、インターネットやメディアの隆盛までの歴史をたどる本。書き手がスティーブ・ジョブズ等の伝記を手掛けてきたアイザックソンなので安心して読める。技術的な側面への切り込み方も気持ちいいし、キラーテクノロジーが分かりやすい。

イノベーターズ1 天才、ハッカー、ギークがおりなすデジタル革命史イノベーターズ1 天才、ハッカー、ギークがおりなすデジタル革命史感想
コンピューターの成立から集積回路の登場までが上巻。計算を効率的にやりたいだけでなく、人工知能とか人間の代替までも想像する人がいたのか。下巻はいよいよパソコンの登場。☆☆☆☆。
読了日:01月31日 著者:ウォルター・アイザックソン

イノベーターズ2 天才、ハッカー、ギークがおりなすデジタル革命史イノベーターズ2 天才、ハッカー、ギークがおりなすデジタル革命史感想
上巻でコンピューターの個人化が実現し、下巻ではインターネット化を突っ走る。こうして一気に読んでみると、コンピューターが自我や人権にまで強く影響を与えたことがわかる。一見同じに見えるが、ネスケ以前と以後では世界は全く違うんだな。という視点で見ていると理解した。☆☆☆☆☆。
読了日:01月30日 著者:ウォルター・アイザックソン


3.「鄧小平」エズラ・ヴォーゲル
ジャパンアズナンバーワンのアジア通ヴォーゲルが天安門事件から30年が経った今、鄧小平について語る。毛沢東からのイジメのことや周恩来の人物像、趙紫陽と胡耀邦の立場など、30年経ったからこそ俯瞰で描けるものもあるということだろうか。この領域は15年くらい前にかなり渉猟したがいろいろつなぎ合わせてもこんなにわかりやすくは無かった。今の習近平の立場を理解するためにも必読。

現代中国の父 トウ小平(上)現代中国の父 トウ小平(上)感想
さすがはアジアの専門家だけあって、外部のできごとと中国国内の動きの関係の説明が実に分かりやすい。そしてスターリン批判をしたフルシチョフと鄧の対比。華国鋒の台頭。下巻へ。☆☆☆☆☆。
読了日:03月27日 著者:エズラ・F・ヴォーゲル
現代中国の父 トウ小平(下)現代中国の父 トウ小平(下)感想
三度目の失脚からの復活と天安門事件、南巡講話。経済の自由も全て共産党繁栄のためであり党への批判は許さない。結局は総体としては国民がこの政治を求めたということでしょうか。ベトナムとの関係もよく分かりました。☆☆☆☆☆。
読了日:03月27日 著者:エズラ・F・ヴォーゲル



4.「特捜部Q」ユッシ・エズラ・オールスン
去年新たに見つけて読んだミステリーの中ではピカイチ。宗教とのかかわりや人種・移民問題、薬物、虐待など現代ならではの社会の病巣を題材に、デンマークのコールドケース専門の刑事の物語を描いている。どれも生々しく、グーグルマップでコペンハーゲンの街をストリートビューしながら読むとさらにリアリティが増す。
特に突然登場する主人公の助手のアサドが正体不明なんだが、最新作ではその来歴も明らかになっている。今のところ全8作。順番に読むことをお勧めします。

特捜部Q―檻の中の女― (ハヤカワ・ミステリ文庫)特捜部Q―檻の中の女― (ハヤカワ・ミステリ文庫)感想
7年前に失踪した女性副党首殺人事件の謎解きを行う元エリート刑事。主人公とその周辺が変人ばかりなので犯人や被害者周辺の変人度合いが中和されてデンマークってこんな国なのかと思う。さすがは北欧ミステリー。国土が四国より小さいのか。☆☆☆☆☆。
読了日:07月31日 著者:ユッシ・エーズラ・オールスン,吉田奈保子
  
特捜部Q―知りすぎたマルコ― 上 (ハヤカワ・ミステリ文庫)特捜部Q―知りすぎたマルコ― 上 (ハヤカワ・ミステリ文庫)感想
コールドケースを扱っているはずだった特捜部Qがいつの間にか現在進行形の事件を扱う。主人公たちの人間関係描写が面白いんだよな。☆☆☆☆。
読了日:08月30日 著者:ユッシ エーズラ・オールスン

特捜部Q―知りすぎたマルコ― 下 (ハヤカワ・ミステリ文庫)特捜部Q―知りすぎたマルコ― 下 (ハヤカワ・ミステリ文庫)感想
孤児マルコの自立心が素晴らしい。このたくましさ。特捜部ではアサドの過去が徐々に明らかに。絶対ヤバいやつ。☆☆☆☆。
読了日:08月31日 著者:ユッシ エーズラ・オールスン


 

5.「偽りの保守・安倍晋三の正体」岸井成格、佐高信
安部晋三がなぜあんなに高い支持率を保てたのか、なぜあのように自己正当化がきついのか、彼の生い立ちや周囲の政治的背景、支持基盤について細かく語られる。これは今の菅政権にもそのまま引き継がれているところが多く、あの行動の不自然さも本書を読めば明らかになる。
菅政権になってにわかに露出が増えた竹中平蔵についても、彼がなぜあのような行動様式を身につけたのかを克明に記した本も同じシリーズと言っていいかも。およそ政治家になってはいけない人だということがよく分かります。
 
偽りの保守・安倍晋三の正体 (講談社+α新書)偽りの保守・安倍晋三の正体 (講談社+α新書)感想
岸井・佐高の対談、読み応えあり。特に吉田学校からの党人の流れの説明が実に分かりやすい。今の政局の背景にもつながる。小説吉田学校、復刻してくれないか。☆☆☆☆☆。
読了日:06月11日 著者:岸井成格,佐高信 

竹中平蔵 市場と権力 「改革」に憑かれた経済学者の肖像 (講談社文庫)竹中平蔵 市場と権力 「改革」に憑かれた経済学者の肖像 (講談社文庫)感想
これが書かれたのが2013年。そしていま菅内閣において竹中平蔵がまた存在感を増している。この不透明(というか黒)な行いの数々は今こそ振り返られるべきではないか。それこそ学術会議とか枝葉の話よりも、野党も世論もいったいこの政権の内政がどこに向かおうとしているのか今こそ問うべきだ。竹中を側に近づけたというだけで菅への信頼度が半減した。☆☆☆☆☆。
読了日:10月17日 著者:佐々木 実
 


今年も良い本をたくさん読みたいものですね~。


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12月は仕事の方もいろいろ落ち着いたので、多少読書量は増えたが、やっぱり夜いろいろと映像作品を見ているせいか、一時の20冊1万ページには到底届かない。

その中でも、やはり日本国民としては「検察の真実」は知っておくべきだろう。特に推定無罪や人質司法については基礎的な理解が必須。大半の人には関係が無い犯罪の取り扱いだが、司法の姿勢が日本の犯罪の少なさに寄与していることも確かなので両面から見られるべきだと思う。

今年もいっぱい本を読もう。去年のベスト5は後ほど。



12月の読書メーター

読んだ本の数:17
読んだページ数:4603
ナイス数:120

特捜部Q―アサドの祈り― (ハヤカワ・ミステリ)特捜部Q―アサドの祈り― (ハヤカワ・ミステリ)感想
ついにアサドの過去が明らかになるという興味だけで最後まで読んだ。相変わらず時事問題をストーリーに織り込むのが上手い。ヨーロッパではアラブ問題はまさにそこにある危機。舞台にドイツを選んだのもうまい。相変わらずカールも傷だらけ。☆☆☆☆。
読了日:12月02日 著者:ユッシ エーズラ オールスン

ボケてたまるか!ボケてたまるか!感想
伊東四朗のエッセイ。奥さんと結婚するときにギリギリまで抵抗された話は知らなかった。凄い。思想的に極めて普通の人だということも良く分かる。やはり公的な場で発信する人はこういう思想的な背景を明らかにしてほしい。☆☆☆
読了日:12月06日 著者:伊東 四朗

MaaS戦記 伊豆に未来の街を創るMaaS戦記 伊豆に未来の街を創る感想
Maasの日本初のプロジェクト事例の本。東急という会社の体質がよく分かる。Maasも鉄道会社ではなく地域住民活性化の道具であることも良く分かる。自治体がこんなに注目しているとは。☆☆☆。
読了日:12月06日 著者:森田創

清明―隠蔽捜査8―清明―隠蔽捜査8―感想
ついに外事まで手玉に取る竜崎。現実がこんなになるとは思いにくいが引用された漢詩が良過ぎて大目に見ることにした。相変わらずの竜崎節。日本の警察小説ではピカイチだな。☆☆☆☆☆。
読了日:12月06日 著者:今野敏

ホテルローヤル (集英社文庫)ホテルローヤル (集英社文庫)感想
最近の芥川賞ってずっとこんな感じなのか。というかこれが世間なのか。匂い、というか体臭がずっとつきまとう。そして露悪的。グランドホテル様式ではあるが救いが無さすぎる。☆☆☆。
読了日:12月06日 著者:桜木紫乃

この顔で悪いか! (SHUEISHA実用書編集)この顔で悪いか! (SHUEISHA実用書編集)感想
20年数前の本なので伊東四朗60歳。この人は思考から言葉までの距離が短いので言っていることが信用できる。実直というのはこういうことなんだな。今日小松政男が亡くなったらしい。明日のラジオ番組での彼のコメントを待ちたい。☆☆☆。
読了日:12月11日 著者:伊東 四朗

可視化された帝国[増補版]―― 近代日本の行幸啓 (始まりの本)可視化された帝国[増補版]―― 近代日本の行幸啓 (始まりの本)感想
明治大正昭和と天皇・皇太子の行幸の詳細が淡々と記されている。そこには何の物語もないが著者にとっては集大成ともいえる内容なんだろうな。細かいところに歴史の真実があるんだろうけど残念ながら自分の忍耐力ではそこまで読み取れなかった。☆☆。
読了日:12月13日 著者:原 武史

たとえ天が墜ちようとも (創元推理文庫)たとえ天が墜ちようとも (創元推理文庫)感想
前作「償いの雪が降る」で主人公の窮地を救った刑事と教授が敵と味方に分かれる。ストーリーが淡々としていてほとんど伏線を張ってこないので、最後までスリリングに読める。読めるんだが最後はやっぱりそういう決着?法廷物は法廷で終わって欲しい。☆☆☆☆。
読了日:12月13日 著者:アレン・エスケンス

あの本は読まれているかあの本は読まれているか感想
半分実話のソ連に「ドクトルジバゴ」を広める話。この本自体がソ連で発禁だとはしらなかったしこういう経緯で出版されたとも知らなかった。それを知らないで読み始めると単調さに驚く。というかストーリーを動かす意思みたいなものが最後まで感じられず入り込めなかった。☆☆☆。
読了日:12月17日 著者:ラーラ・プレスコット

暴走する検察 歪んだ正義と日本の劣化~マル激トーク・オン・ディマンドvol.12暴走する検察 歪んだ正義と日本の劣化~マル激トーク・オン・ディマンドvol.12感想
宮台真司の物言いにはちょっとうんざりするが、推定無罪の由来、抵抗権など勉強になる本だった。自分がもし犯罪に巻き込まれたらと思うとゾッとする。「それでも僕はやってない」の解説も面白い。☆☆☆☆☆。
読了日:12月19日 著者:神保哲生,宮台真司,郷原信郎,市川寛,安田好弘,周防正行,足立昌勝,今村核

ミステリアスな結婚ミステリアスな結婚感想
前半はインタビューされる側も緊張しているのか文体が固いし、夫人がやたらつっけんどん。プライドが相当高いのかとも思ったが後半になるとかなりくだけてきてホッとする。世の中にはいろんな夫婦があるな。☆☆☆。
読了日:12月23日 著者:久米 麗子,久米 宏

汚名(上) (講談社文庫)汚名(上) (講談社文庫)感想
読み始めてすぐに、これはAmazon Primeのドラマの第5シリーズのストーリーだと気付いた。ドラマに出てくる老警官二人組の話も、小説の相棒との信頼関係のエピソードを拾っているようだ。やっぱり小説の方がいい。☆☆☆☆。
読了日:12月23日 著者:マイクル・コナリー

汚名(下) (講談社文庫)汚名(下) (講談社文庫)感想
裁判の最後のからくりは小説もドラマも同じ感じで良かった。ドラマの方が過去からの人間関係を引きずってないので淡白に見える。それでもどっちも面白い。ドラマは次のシリーズまで公開されているので早く小説が追い付いてくれ。☆☆☆☆。
読了日:12月23日 著者:マイクル・コナリー

「線」の思考―鉄道と宗教と天皇と―「線」の思考―鉄道と宗教と天皇と―感想
天皇家にまつわる話を追いかけて日本全国をたどる話。まだまだたくさんネタはありそうなのでこの企画は是非続けて欲しいな。いくらでも読める。原氏の鉄道や日本の風土に対する愛情が感じられて豊かな気持ちになれる。☆☆☆☆☆。
読了日:12月26日 著者:原武史

世間とズレちゃうのはしょうがない世間とズレちゃうのはしょうがない感想
伊集院光の知性の高さとこじらせ方の深さを楽しむ本。養老先生のボケ方も面白いが伊集院の引き立て役になっている。というより徹したのかも。伊集院の考えていることは誰しもが思っていることがかなり含まれているが、さすがは稀代のラジオパーソナリティだけあって言語化能力が半端なく高い。ラジオで重宝される理由がここにある。☆☆☆☆☆。
読了日:12月29日 著者:養老 孟司,伊集院 光

三分間の空隙【くうげき】 上 グレーンス警部 (ハヤカワ・ミステリ文庫)三分間の空隙【くうげき】 上 グレーンス警部 (ハヤカワ・ミステリ文庫)感想
「三秒間の死角」のパウラとグレーンス刑事再登場。あの終わり方は再登場を予感させるものがあった。しかしパウラはどこまで行っても貧乏くじだな。前作もあれだけひどい目に遭ったというのに。このタフさはどこから来るのか。頑張れ。☆☆☆☆。
読了日:12月30日 著者:アンデシュ ルースルンド,ベリエ ヘルストレム

三分間の空隙【くうげき】 下 グレーンス警部 (ハヤカワ・ミステリ文庫)三分間の空隙【くうげき】 下 グレーンス警部 (ハヤカワ・ミステリ文庫)感想
まさに「三分間の空隙」!なんだけどこの三分間である必然性が分からない。これしか脱出方法は無かったのだろうか。気持ちは分かるのだが。そこが無いのである意味大きなトラブルなく話が進んでいくように見えるのが残念。次回作もあるらしいのでそっちにも期待。☆☆☆。
読了日:12月30日 著者:アンデシュ ルースルンド,ベリエ ヘルストレム


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