量は質を凌駕する

 ~ アウトドアと読書の日記

カテゴリ: ●読書記録(毎月のまとめ)

今月は雨が多く走る時間の代わりに読書できたはずだったがページ数、冊数ともに激減。まあ勉強しているから当たり前か。逆によくこれだけ読んだ。

今月は長い間放っておいたブッツァーティの作品を新たに読んだことが収穫か。しかしこの人は寡作なのであんまり浸れないのがもったいない。タタール人の砂漠くらいのインパクトのある作品があと2つくらいあればなあ。

あとは「大英帝国の歴史」。単に経済的に帝国であっただけでなく、また支配される側にとっても精神的、文化的な意味でも単に植民地であるのとは違うのだな。


9月の読書メーター
読んだ本の数:12
読んだページ数:3693
ナイス数:97

伴走者伴走者感想
スキーにも伴走があるとは知らなかったが、いずれも競技者の心理を切り口鋭く掬い取った好著。伴走というとランナーとそれをリードする伴走者の二人で競技すると思いがちだが、これを読むともともと1人のアスリートの心理を二つに分解したものだということが分かる。健常者の競技者1人の時には表に出てこない感情が見えた。☆☆☆☆。
読了日:09月02日 著者:浅生 鴨

七人のイヴ Ⅰ (新☆ハヤカワ・SF・シリーズ)七人のイヴ Ⅰ (新☆ハヤカワ・SF・シリーズ)感想
破壊された月の質量と地球に対する位置エネルギで計算すると、隕石落下時の発熱で気温が上がるくらいになるのかどうかが気になったが、たぶん計算してるんだろうな。そういう読み方しちゃいけないんだろうな(笑)原書が一冊のところを3分冊にして訳しているらしいので、コメントはこんなところで。☆☆☆。
読了日:09月07日 著者:ニール・スティーヴンスン

フィレンツェ――比類なき文化都市の歴史 (岩波新書)フィレンツェ――比類なき文化都市の歴史 (岩波新書)感想
6月にフィレンツェに行ったので復習の意味で読んだ。行く前に読めばよかったとも思うが、実際に行って見た建物が出てくると俄然関心がわく。するともう一回行かなければならなくなる(笑)。12世紀あたりから18世紀に掛けて街が少しずつ整っていった様子がよく分かる。次回はフィレンツェに長居しよう。その際には必携。☆☆☆☆。
読了日:09月11日 著者:池上 俊一

燃える部屋(上) (講談社文庫)燃える部屋(上) (講談社文庫)感想
マイクルコナリー既刊本完読! 感想は下巻で。☆☆☆☆。
読了日:09月16日 著者:マイクル・コナリー

燃える部屋(下) (講談社文庫)燃える部屋(下) (講談社文庫)感想
二つの事件は無関係だったんだな。誤解していた。そして期待できる新人。それにしても不法侵入で停職ってカッコ悪すぎる。本人もこれほどきまりの悪い終わり方無いだろうな。あ、しかし原作はもう4作先まで出てるのか。頑張って読んでみるか。☆☆☆☆。
読了日:09月16日 著者:マイクル・コナリー

徳は孤ならず 日本サッカーの育将 今西和男徳は孤ならず 日本サッカーの育将 今西和男感想
Jリーグの事務局と岐阜県庁が一方的に悪者に書かれているのだが、要するに今西氏とJリーグの間に何らかのトラブルがあったということではないのだろうか。パワハラと書かれているのだが、その構図が今一つはっきりしない。もしかすると誤解されやすい人なのかも、と思ってしまった。正直、著者が感情的になり過ぎていて、この本だけでは分からない。☆☆☆。
読了日:09月16日 著者:木村 元彦

地検のS地検のS感想
Sこと地検の総務課長が暗躍するお話。なぜ暗躍するのかについてはもちろんちゃんとオチがある。それにしてもこの人の謎解きも突飛だなあ。現実にそんなに思い通りに人は動かないって。「教場」の悪影響。☆☆。
読了日:09月20日 著者:伊兼 源太郎

現場者 300の顔をもつ男 (文春文庫)現場者 300の顔をもつ男 (文春文庫)感想
大杉漣自伝。末っ子で寂しがり。いつも誰かに求められたくて、役を選ばずに映画に出まくったんだなあ。映画作る方も彼がいれば絶対なにがしかやってもらえるから便利な役者だ。でも何をやっても大杉漣にしか見えなかった。それでいいじゃないか。☆☆☆。
読了日:09月22日 著者:大杉漣

七人のイヴ Ⅱ (新☆ハヤカワ・SF・シリーズ)七人のイヴ Ⅱ (新☆ハヤカワ・SF・シリーズ)感想
七人のイブはそういう意味でもあったのか。最初に登場してから出番がないと思っていたけど。彼ら以外に人類がいないということになるとこんなことも起きるんだな。これは映画化は無理そうだから漫画で読みたいかも。☆☆☆☆。
読了日:09月25日 著者:ニール・スティーヴンスン

大英帝国の歴史 上  -  膨張への軌跡 (単行本)大英帝国の歴史 上 - 膨張への軌跡 (単行本)感想
改めて大英帝国の歴史を振り返るとオランダとの関係や世界の植民地への態度など実に興味深い。奴隷売買を始めておいて自ら取り締まるとかその道徳の根源は何?と思わなくも無いが、下巻が楽しみ。☆☆☆☆。
読了日:09月26日 著者:ニーアル・ファーガソン

古森の秘密 (はじめて出逢う世界のおはなし)古森の秘密 (はじめて出逢う世界のおはなし)感想
冷酷な元大佐と森の生き物たちと少年の物語。大佐が人間性を取り戻すお話と言ってしまってよいのか。森には森で邪悪な面もある。全体に漂う幻想的な空気に加えてその辺の出し入れも見どころ。イタリアというよりはオーストリアとかチェコのお話と言われたほうがしっくりくる。☆☆☆☆。
読了日:09月27日 著者:ディーノ ブッツァーティ

大英帝国の歴史 下  -  絶頂から凋落へ (単行本)大英帝国の歴史 下 - 絶頂から凋落へ (単行本)感想
帝国主義への信仰が失われた時、神への信仰も失われた、という下りが強烈。それがフィルビーを生んだのか。第一次大戦は英国のドイツに対する対抗意識が生んだとしか思えない。そしてシンガポール。日本軍に奴隷扱いされるという大転換。今までの見方を覆してくれた良本。☆☆☆☆。
読了日:09月30日 著者:ニーアル・ファーガソン

読書メーター

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昨今、自分のお気に入りの本を紹介するというのが結構流行なのだが、どうも自分とは観点が違う。それは良いとか悪いとかではなく、読書の目的がそもそも違う気がする。

自分が読書をする目的は一つで、それは世の中で何が起きているのかを知りたいという一点に尽きる。文章の表現の鋭さやリアリティや繊細さを味わったりとか、そこに書かれていることにいかに感動したかとかとかではない。

自分は同じ出来事について複数の作家が書いた本を読むようにしている。同じ出来事でも、裏から見た時と表から見た時は見え方が違う。両方を読んでいると何が自分の都合で書かれていて何が動かない事実なのかが見えてくる。両者の思惑も当然見える。

ノンフィクションの読み方はそういう感じ。かといってフィクションだって読みます。でもそれは修辞上のテクニックの巧拙を味わうわけではなく、その作品の世界観(ほかに言葉が無いw)を受け入れられるかどうか。もちろん修辞上のテクニックもその世界観を形作るのに大いに貢献しているが、それだけじゃない。

かといって出口のない話が苦手なわけでもない。自分の中のフィクション第2位のプッツァーティ「タタール人の砂漠」なんて出口はどこにもないし救いも全くない。でもこの作品を書くことでしか伝えられなかった作者の伝えたいことは分かる。

あと、作家に対してはかなり疑り深い。なんども若手の作家にがっかりさせられてきたからだと思うのだが、1作だけで信用することはまずない。特に若手なら2作、3作と読んでみなければ、本当にその作家の作品に身を投げてよいかどうか確信が持てない。もちろん1作目で以降読むのをやめる作家もたくさんいる。(1作とは必ずしも1作目を意味していません)

まあ1作くらいならそれまでの人生を全部ぶっこんで凄いのが書けたりするからね。それはそれで凄いと思うけど、自分が欲するのは安定して読んでいける作家。信用できる作家。最近の国内の作家では本当にいない。編集者も至らないんだと思う。

本屋大賞とかできるくらいだから、読み手もレベルが下がったんだろうか。あれも読むに耐えないものが結構ある。こうなってくると、失望するのが怖くて新しい人は読めない。いくら場面をきれいに切り取れても、物語を構成する力が無い人はダメだ。写真家が映画監督になれないようなものだ。もちろん写真家的センスは必須だけど。






8月の収穫はなんといっても池内恵。中東のことを語らせたら今の日本でこの人以上の人はいないだろう。なんと言ってもベースの知識が凄い。イスラム教の歴史と現在の中東の地政学がぴったり一致している。

そこにさらに現在の情勢に対する情報量の多さ。シリア、ヨルダン、イラク、イラン、トルコ、イスラエル、サウジアラビア、カタール、ドバイ、アラブ首長国連邦、エジプト。さらにクルド人とイスラム国。

何作も著作を重ねてきて、文章も随分とこなれてきた。「イスラム国」「サイクスピコ」と来て「シーア派とスンニ派」で随分わかりやすくなった。中東に関してはこれだけ我々の生活にも直接影響があるにもかかわらず意外なほど情報が少ない。こういう事実を伝えようという意欲に満ちた研究者の存在はありがたい限り。



8月の読書メーター
読んだ本の数:17
読んだページ数:4753
ナイス数:181

野球バカは死なず (文春新書)野球バカは死なず (文春新書)感想
おお、なんか割りとまともな本ではないか。「ベンチがアホ」の経緯とかサッチーとのエピソードとか選挙の話とか、彼なりの哲学は感じられるぞ。ただ大谷に関して「それでは大記録は作れない」のはそうかもしれないが、もはやみんなそこに価値を置いてないんだよな。☆☆☆。
読了日:08月01日 著者:江本 孟紀

オシム 終わりなき闘い (小学館文庫)オシム 終わりなき闘い (小学館文庫)感想
オシムが力を注いで国際社会に復帰させたボスニアサッカーがブラジルワールドカップに出場する経緯。前作「オシムの言葉」よりは周囲の空気が緊張を解いたことが伺える。それにしてもハリルホジッチってセルビア人だったんだ。これを読むまで全く気付かなかった。だから日本サッカーと相性が合うと思われたのかも。☆☆☆。
読了日:08月02日 著者:木村 元彦

映画『アンダーグラウンド』を観ましたか?―ユーゴスラヴィアの崩壊を考える映画『アンダーグラウンド』を観ましたか?―ユーゴスラヴィアの崩壊を考える感想
映画批評というよりは映画を酒の肴にして学者が薀蓄を傾ける本。ユーゴ各国の経済力の差など資料として使えるものも多い。ただ語り口は理論的に過ぎ民衆に寄り添う感じがまったくないのでかなり鼻に付く。☆☆。
読了日:08月03日 著者:越村 勲,山崎 信一

【中東大混迷を解く】 サイクス=ピコ協定 百年の呪縛 (新潮選書)【中東大混迷を解く】 サイクス=ピコ協定 百年の呪縛 (新潮選書)感想
シリアとヨルダンの国境って直線で不自然だと思っていたが、あれがサイクスピコ協定の名残なのか。強引に線を引いたこの協定に、地元の事情を反映させたセーブル条約、さらに大国の都合を反映させたローザンヌ条約の3つ1セットで分かりやすく解説してくれる。確かにこの事情の理解なくしてアラビアのロレンスの理解無しだ。オスマントルコ、露土戦争から現代のトルコ・ロシア問題まで、霧が晴れるような書物。もう一回読もう。☆☆☆☆☆。
読了日:08月06日 著者:池内 恵

不肖・宮嶋ちょっと戦争ボケ〈上〉1989~1996 (新潮文庫)不肖・宮嶋ちょっと戦争ボケ〈上〉1989~1996 (新潮文庫)感想
実は再読。初回は面白おかしく読んだが、2度目になると現地の歴史や民族への理解の浅さが鼻に付く。時間つぶしの本。といいつつ下巻へ。☆。
読了日:08月06日 著者:宮嶋 茂樹

ドキュメント 戦争広告代理店〜情報操作とボスニア紛争 (講談社文庫)ドキュメント 戦争広告代理店〜情報操作とボスニア紛争 (講談社文庫)感想
NHK特集番組の書籍化。出版当初はかなり話題を呼んだが今読むと、PR会社が存在したことが当時の情勢にどう影響を与えたかの視点が欠けている。強いて言えば書かれているのはユーゴを国連から追放したことくらい。経済制裁はそれ以前から始まっていた。そもそもユーゴは独立を阻止する側なのではなから悪玉になりやすい。ユーゴ側がPR会社を使っていたとしても逆転のチャンスはほとんどなかっただろうな。☆☆。
読了日:08月13日 著者:高木 徹

不肖・宮嶋ちょっと戦争ボケ〈下〉1996~1999 (新潮文庫)不肖・宮嶋ちょっと戦争ボケ〈下〉1996~1999 (新潮文庫)感想
やっぱりこの人は自衛隊が好きなんだなあ。自衛隊広報担当だと思って読むと違和感が無い。☆☆。
読了日:08月17日 著者:宮嶋 茂樹

ユーゴスラヴィア現代史 (岩波新書)ユーゴスラヴィア現代史 (岩波新書)感想
一言で感想を書けるほど簡単ではないが、第一次大戦の勃発の引き金を引いた時の大国間の力関係の理解に役立つ。なるほど、セルビア。って感じ。それにクロアチア。メンタリティはイタリアにかなり近い気がする。☆☆☆。
読了日:08月17日 著者:柴 宜弘

モラルの話モラルの話感想
自分を解放していくことが自分を束縛することにつながる、この出口のない感じ。実存とか賢く考えているようで実はすごく不自由。正直、無駄な知恵の使い方だと思う。だれからも手の届かない山奥にこもればいいのに。☆。
読了日:08月17日 著者:J.M. クッツェー

アイルランド革命 1913-23――第一次世界大戦と二つの国家の誕生アイルランド革命 1913-23――第一次世界大戦と二つの国家の誕生感想
アイルランドというかエール共和国成立の経緯、初めて読んだ。カトリックとプロテスタントの諍いって現代にまで引きずるものなんだろうか。これほど文明が発展した現代でも。そう考えると日本の無宗教というのは文明化が高度に進んだ結果なのか?少なくとも内戦にはならなさそう。☆☆☆。
読了日:08月17日 著者:小関 隆

オリバー・ストーン オン プーチンオリバー・ストーン オン プーチン感想
オリバーストーンがプーチンにすり寄り過ぎていると悪評ふんぷんだったドキュメンタリー番組の文書化。実際の会話がどういうテンポでなされたのかは分からないが、やはりプーチンの話し方からは知性が漂う。もちろん信用できるかどうかとは別。☆☆☆。
読了日:08月17日 著者:オリバー ストーン

【ミリタリー選書30】フランス外人部隊のすべて (部隊こそわが祖国 創設から現代までの軌跡)【ミリタリー選書30】フランス外人部隊のすべて (部隊こそわが祖国 創設から現代までの軌跡)感想
フランス外人部隊の歴史と成り立ちがよくわかる本。そうか、ナポレオン三世のときの名残なのか。そしてジュネーブ条約の対象にはなるので傭兵とは異なる。なるほど。それにしても大半の大隊がディエンビエンフーで全滅しているというのもすさまじい。結局フランス軍ってそんなに強くないんだよな。☆☆☆。
読了日:08月18日 著者:古是 三春,ビトウ マモル

100年後の世界―SF映画から考えるテクノロジーと社会の未来 (DOJIN選書)100年後の世界―SF映画から考えるテクノロジーと社会の未来 (DOJIN選書)感想
人工知能やサイボーグなどかつてはSFでしかなかった技術が一般化してきたときに100年後の世界はどうなっているかという本。ただ例えばサイボーグについても「ドーピングですら線引きが難しくサイボーグも道徳的にダメといえるかどうか分からない」と結論から逃げているので、技術カタログみたいな本になってしまったのが残念。☆☆☆。
読了日:08月23日 著者:鈴木 貴之

イスラーム国の衝撃 (文春新書)イスラーム国の衝撃 (文春新書)感想
本が書かれたのが2015年で、その後ISも壊滅させられシリア情勢も変化があったので読むのが2年遅かった(笑) 著者は日本では中東情勢の第一人者だと思うが、もうちょっと考え方を記号化する工夫をしてもらえると読みやすくなるのだが。☆☆☆☆。
読了日:08月23日 著者:池内 恵

アメリカの原爆神話と情報操作 「広島」を歪めたNYタイムズ記者とハーヴァード学長 (朝日選書)アメリカの原爆神話と情報操作 「広島」を歪めたNYタイムズ記者とハーヴァード学長 (朝日選書)感想
わざわざハーヴァードの学長を黒幕として引っ張り出しているが根拠は25年前のアメリカの1本の論文のみ。自分で検証を行なったわけでも無いようで、それを事実のように断定する書き方はどうなのか。また放射能被害が無いとの欺瞞があったと散々書いているが、そもそも放射能被害の定義がかかれていない。残留放射能なのか爆発時のガンマ線等によるものなのかも判然としないまま批判が続く。正直?と感じる本。最後の20ページだけ読めばいいのでは。☆。
読了日:08月23日 著者:井上 泰浩

【中東大混迷を解く】 シーア派とスンニ派 (新潮選書)【中東大混迷を解く】 シーア派とスンニ派 (新潮選書)感想
凄いな~、凄い。中東事情をずっと追ってきた筆者乾坤一擲の一冊。日本人でここまで突っ込んで分析できる人がいることに感謝。だいたい今どき一冊読んだだけで新聞記事の見え方が変わる本なんてあるだろうか。中東に、イスラムに関心が無い人にこそ読んでほしい。多分今年ナンバーワンの一冊。☆☆☆☆☆。
読了日:08月27日 著者:池内 恵

辺境の怪書、歴史の驚書、ハードボイルド読書合戦辺境の怪書、歴史の驚書、ハードボイルド読書合戦感想
ギケイキの解説最高!これはハードボイルド室町時代も読まなければ。☆☆☆。
読了日:08月31日 著者:高野 秀行,清水 克行

読書メーター
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7月はひょんなことからユーゴスラビアにはまった。本を6冊、映画を2本。ちなみに今月はアラブにはまりそうだ(笑)

まあそれはほとんどが再読なので、7月ということでいえば角幡唯介の「極夜行」。4か月かけて北極圏の真っ暗な冬のなかを犬一匹だけ連れて旅する。角幡は20代のころにチベットのツァンポー渓谷を踏破。地図の空白地帯を埋めた記録で一躍有名になったのだが、そこからしばらくは文筆活動に軸足を移していた。

色んな事情で冒険、探検ができないことに本人もフラストレーションを感じていたようで、本作の冒頭は衝撃的な彼の妻の出産シーンから始まる。そしてそのシーンが、暗闇の中の探検の終わりへと見事につながる。

高野秀行をはじめとして冒険行を題材としたノンフィクション作家は多いが、角幡は文学的に冒険を見事に語った。これからも冒険に出かけるのかどうかは知らないが、この一作はこれからの活動のコアになるに違いない。



7月の読書メーター
読んだ本の数:17
読んだページ数:5631
ナイス数:157

Hit Refresh(ヒット リフレッシュ) マイクロソフト再興とテクノロジーの未来Hit Refresh(ヒット リフレッシュ) マイクロソフト再興とテクノロジーの未来感想
マイクロソフト3代目社長(笑)の半生記。タイトルはブラウザのリフレッシュボタンを押すという意味で、経営改革のポリシーらしい。画面は更新してもブラウザまでは変えないと。個別性が強く、マイクロソフト社員向けの本に見えた。☆☆。
読了日:07月01日 著者:サティア・ナデラ,グレッグ・ショー、ジル・トレイシー・ニコルズ

罪責の神々 リンカーン弁護士(上) (講談社文庫)罪責の神々 リンカーン弁護士(上) (講談社文庫)感想
ああ、検事長選挙でのスキャンダルって一体何があったんだろう。気になって読む速度が上がる。そして絡みあがった謎。裁判の勝利至上主義に見えて真実を追い求めてしまうところがミッキーハラーシリーズの面白いところだな。下巻へ。☆☆☆☆。
読了日:07月03日 著者:マイクル・コナリー

罪責の神々 リンカーン弁護士(下) (講談社文庫)罪責の神々 リンカーン弁護士(下) (講談社文庫)感想
ちょっと詐欺的な行為で勝利をつかんだミッキー。証拠にはならないけど商人に話させることはできる。って、ちょっと微妙ですよね。それにしてもミッキーハラー物は公判中にもかかわらず事件が動いているケースばかり。動くことを利用して勝ちに持ち込んでいる感じがある。グリシャムもこんな感じだっけ?☆☆☆。
読了日:07月04日 著者:マイクル・コナリー

わたし、定時で帰ります。わたし、定時で帰ります。感想
労働時間短縮を叫ぶならまずは過酷な労働環境に身を置けという大きなストーリーはナイスなのだが、人物描写が後追いで行動が表面化してから初めて描写がなされる。解説付きでテレビドラマを見ているような不自然さを感じた。それからその場面にだれが登場しているのかが分からない箇所がいくつかあった。こういう基本的なのは編集者がちゃんと指導しないと。日本には若手編集者が育ってない?☆☆。
読了日:07月05日 著者:朱野 帰子

群像 2018年 06 月号 [雑誌]群像 2018年 06 月号 [雑誌]感想
確かに「遺体」は細部にリアリティを与えるのに役立っているかもしれないが、やはり主人公の心の動きと「奥さん」とのやりとりが圧倒的。そしてカタルシス。実体験してなくても書いていいと思う。それを言うなら戦争を題材にした小説も書けない。だって小説なんだから。出版社と編集者のサポートミスが残念。☆☆☆☆。
読了日:07月06日 著者:

トヨタ物語 (強さとは「自分で考え、動く現場」を育てることだ)トヨタ物語 (強さとは「自分で考え、動く現場」を育てることだ)感想
トヨタの歴史と生産管理のコアについて手際よくまとめた良書。でも製造はわかったけど設計は?ブランドは?と思わないでもない。☆☆☆。
読了日:07月06日 著者:野地秩嘉

読鉄全書読鉄全書感想
こ、これは読み鉄のバイブルだ! 乗り鉄にもお勧め。これを読んだら在来線に乗りたくなること請け合い。しかし阿川弘之が「きかんしゃやえもん」の作者ということは知っていたが、鉄分がこんなに濃いとは知らなかった。これは買うな。久々の☆☆☆☆☆。
読了日:07月09日 著者:

極夜行極夜行感想
いきなり自分の妻の出産シーンから始まる。これがやたらと生々しい。これだけでも凄いなと思ったが、最後まで読んでこのシーンの理由が分かった。ついにツァンポー作家から脱皮しましたね。おめでとうの☆☆☆☆☆。
読了日:07月11日 著者:角幡 唯介

監視大国アメリカ監視大国アメリカ感想
犯罪者の監視だけでなく、捜査方針の影響を受けた人種の偏りのあるデータとか、警察官の動きをモニターするデータとか、いろいろあるわけだが、何より機械学習のブラックボックスが怖い。監視作業に限らず他の領域でも検証不能であることによる怖さがある。会計にAIを使ってみたら監査ができなくなったなんていう話もある。将来の我々の生活に与える影響は甚大。本はアメリカのデータに偏りすぎ。☆☆。
読了日:07月15日 著者:アンドリュー・ガスリー ファーガソン

炎と怒り――トランプ政権の内幕炎と怒り――トランプ政権の内幕感想
トランプ政権成立当初の世間からの見方をそのまま反映した文章。政権内の勢力争いの描写が9割。このせいでリークが相次ぎ政権の透明性が高まったのは皮肉だ。かつ今や公約を次々実現し支持率も上がっている。そろそろフェアに評価する本が出てきてもいいのでは。全て逆張りで輸出業者など当事者は大変だろうが、揺さぶられた結果新秩序が生まれる可能性もある。☆☆。
読了日:07月21日 著者:マイケル ウォルフ,Michael Wolff

悪者見参―ユーゴスラビアサッカー戦記 (集英社文庫)悪者見参―ユーゴスラビアサッカー戦記 (集英社文庫)感想
今回2読。1読目はセルビア、ユーゴ、スロベニア、クロアチア、モンテネグロ、コソボ、アルバニア、マケドニアの位置と歴史的、民族的関係が分からず読んでいた。1読目終了でそれがほぼ頭に入ってから最初から読み返すと全然違う本に読めた。 セルビア。いつも悪者扱いされるのだが、独立を阻止しようとするとどうしたってそうなる。セルビアの人たちの意識が空爆前と後で大きく変わっているのが印象的。☆☆☆☆☆。
読了日:07月25日 著者:木村 元彦

ものづくりの寓話 -フォードからトヨタへ-ものづくりの寓話 -フォードからトヨタへ-感想
仕事ともろ被るので仕事中に時間を見つけてどうどうと読んでやったぜ。内容的にはパンチカードを使った原価管理がどうみても中心なんだが、あえてフォード生産方式、トヨタ看板方式を前面に出して分かりにくくしているのはなぜなんだろうか。もしかして作者は経営学史の先生? ☆☆。
読了日:07月25日 著者:和田 一夫

誇り―ドラガン・ストイコビッチの軌跡 (集英社文庫)誇り―ドラガン・ストイコビッチの軌跡 (集英社文庫)感想
著者の書いた順番は「誇り」→「悪者見参」→「オシムの言葉」なんだな。「誇り」にも90年のワールドカップは描かれているがオシムの采配についてはほとんど触れられていないから。ストイコビッチに焦点を当てたことでユーゴ紛争を知った著者がユーゴの今を掘り下げていく出発点。☆☆☆。
読了日:07月26日 著者:木村 元彦

終わらぬ「民族浄化」セルビア・モンテネグロ (集英社新書)終わらぬ「民族浄化」セルビア・モンテネグロ (集英社新書)感想
サッカーから入ってバルカンの現状を伝えるところまで視点が移ってきた。ただ微妙にセルビアよりな気がするのだが。セルビアの蛮行に関しては他の本を読めということか。それをいうなら30年の描写では短すぎる。紛争地としてはかなり危険なことをしているようにも見えるので惜しい。☆☆。
読了日:07月27日 著者:木村 元彦

オシムの言葉 増補改訂版 (文春文庫)オシムの言葉 増補改訂版 (文春文庫)感想
これを読むために「誇り」「悪者見参」と遡って読んだ。締めにふさわしい作品だった。イタリアワールドカップで優勝していたらボスニア戦争は無かったかもしれないって、かなり真実味がある。追加されたボスニアサッカー統一委員長の話が凄い。病気さえなければ今頃いったい何者になっていたことか。☆☆☆☆。
読了日:07月29日 著者:木村 元彦

不肖・宮嶋空爆されたらサヨウナラ―戦場コソボ、決死の撮影記 (祥伝社黄金文庫)不肖・宮嶋空爆されたらサヨウナラ―戦場コソボ、決死の撮影記 (祥伝社黄金文庫)感想
久々に宮嶋節をきいたが、こんなに品が無かったっけ?特に木村元彦のユーゴ話を読んだ後だと特にそう思う。二人は仲がわるそうだな(笑) ☆☆。
読了日:07月29日 著者:宮嶋 茂樹

日中 親愛なる宿敵: 変容する日本政治と対中政策日中 親愛なる宿敵: 変容する日本政治と対中政策感想
横書き本。歴史認識、島嶼問題、輸入品の安全の3つの視点から歴史的経緯、政治的位置付け、関係するもろもろの意見を整理している。それなりに知識があれば1時間くらいで読める。☆☆☆。
読了日:07月30日 著者:シーラ スミス

読書メーター
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6月は飛行機とか電車に乗る時間が長かった割にはそれほど読めなかった。そして半年間にわたって読んできたマイクルコナリーもついに最新の一作を残すのみ。これについてはいずれブログで書きたいと思う。

今月一番読みごたえがあったのは、ジョン・オーバードーファーの「二つのコリア 第3版」。98年に第1版、2002年に第2版が出て、今回読んだのは2015年に出た第3版。第1版では94年の危機の際にカーター元大統領が特使として金日成に面会した件を中心に描いた。第2版は読んでないので分からないが、タイミング的には米朝交渉あたりの事情か。そして第3版。ブッシュ大統領により米朝交渉が決裂させられ6者会合も不調に終わり金成日が核開発を急ぎ世界に緊張が高まるあたりまでを描いている。

その後金正恩とトランプ大統領により事態は急速に対話ムードへと変わっていくのだが、まだまだ事態は不透明。でも全体を通して読んでみると、要するにアメリカの外交下手のせいだよね。今回のイランもそう。そりゃあテキサスとかジョージアとかアーカンソーで育ったら外交センスが伴うはずもないか。

ちなみにオーバードーファー氏は2015年に逝去。第4版が出ないのは残念だ。


6月の読書メーター
読んだ本の数:15
読んだページ数:5465
ナイス数:136

ナイン・ドラゴンズ(上) (講談社文庫)ナイン・ドラゴンズ(上) (講談社文庫)感想
完全に「72時間」のお父さんになっている。拳銃とか調達するか、普通。
読了日:06月08日 著者:マイクル・コナリー

ナイン・ドラゴンズ(下) (講談社文庫)ナイン・ドラゴンズ(下) (講談社文庫)感想
犬死、の一言。自分のミスで十字架を背負う人生を見せられるのは耐えられない。娘とボッシュは共犯者ってことですか?ここは作家の力量がまさに試されるところでは。 ☆☆☆。
読了日:06月08日 著者:マイクル・コナリー

野村克也解体新書~ノムさんは本当にスゴイのか?~野村克也解体新書~ノムさんは本当にスゴイのか?~感想
江本の本を初めて読んだが、フロントの前にお前がバカだろう。関係ないテーマに走りすぎ。洞察もない。単に、時代の流れを目撃したものの話ということに過ぎない。☆。
読了日:06月08日 著者:江本 孟紀

闘うプログラマー[新装版]闘うプログラマー[新装版]感想
20年以上ぶりに再読。やっぱり黎明期のソフトウェア開発は修羅場だ。今も修羅場なのかもしれないが。でもこんな伝説のプログラマーでもやっぱり機能仕様書をきちんと整備することにこだわるんだな。やっぱり5メガステップものプログラム開発ともなると、当然なのか。基本は常に変わらない。☆☆☆☆。
読了日:06月11日 著者:G・パスカル・ザカリー

二つのコリア 第三版二つのコリア 第三版感想
2002年に出版された第二版にそれ以降金正恩登場までの10年余りの動き3章を追加した第三版。2000年以降なのでブッシュの「悪の枢軸」発言以降の残念な歴史が克明に記されている。多少悪さはあったかもしれないがかの国を本格的な犯罪に走らせたのはやはり米国によるいじめのせいだろう。オバマもしかり。過去のしがらみのないトランプならではの今回の首脳会談ともいえる。オーバードーファーは本作を最後に亡くなってしまったので第四版はあるのか。必要ない世の中になっていればよいが。☆☆☆☆☆。
読了日:06月16日 著者:ドン・オーバードーファー,ロバート・カーリン

判決破棄 リンカーン弁護士(上) (講談社文庫)判決破棄 リンカーン弁護士(上) (講談社文庫)感想
ミッキーがまさかの検察官に就任。その補佐は別れた妻。そして調査官としてボッシュとタッグを組む。組合せの面白さに目が行き過ぎて、事件の中身にまで注意がいかない。下巻へ続く。☆☆☆。
読了日:06月18日 著者:マイクル・コナリー

判決破棄 リンカーン弁護士(下) (講談社文庫)判決破棄 リンカーン弁護士(下) (講談社文庫)感想
やっぱり登場人物の組合せで座持ちしている感あり、肝心のストーリーは結構荒っぽいオチ。まあこれはボッシュとハリーのやりとりを楽しむ本ですね。ボッシュのほうが強そうだけど。☆☆☆。
読了日:06月18日 著者:マイクル・コナリー

本懐本懐感想
古今のさまざまな切腹振りを描く。というか切腹の場を借りて著者の各々の武人への思いのたけを綴ったというべきか。武士の本分は勇猛でも果断でもなく家業の維持と言い切った。うーん、そうなのか。真田十勇士は「滅び行くものに栄光あれ」が合言葉だったんだが。いずれにしてもこのクセをどう捉えるか。☆☆☆。
読了日:06月19日 著者:上田秀人

証言拒否 リンカーン弁護士(上) (講談社文庫)証言拒否 リンカーン弁護士(上) (講談社文庫)感想
弁護士ミッキーハラー最後の事件?いつものようにとにかく陪審員の印象を操作することだけを目的に証人質問が進む。それにしてもマギーとはずいぶん修復したなあ。下巻へ。☆☆☆。
読了日:06月20日 著者:マイクル・コナリー

証言拒否 リンカーン弁護士(下) (講談社文庫)証言拒否 リンカーン弁護士(下) (講談社文庫)感想
本当に弁護士最後の事件になった模様。さすがに嫌気が刺したのか。そしてこれがマイクルコナリーの世界観だとすれば、陪審員制度はもう限界なのではないか。合理的なようだがスキル次第でなんとでもなるのなら、この世界にはいられない。☆☆☆。
読了日:06月20日 著者:マイクル・コナリー

転落の街(上) (講談社文庫)転落の街(上) (講談社文庫)感想
思えばこの本からオレはハリーボッシュの世界に引き込まれたのであったなあ。一作目から見返してみるとボッシュの傾向とかで初回には見えなかったものが見えた気がするものもある。☆☆☆。
読了日:06月24日 著者:マイクル・コナリー

転落の街(下) (講談社文庫)転落の街(下) (講談社文庫)感想
振り返ってみるとハリーボッシュ物で本作は相当にまとまっているのではないか。もちろんブラックエコーとかナイトホークスとかの極初期のものを除いて。本作ではそういった初期の作品への立ち返りが感じられるシーンが多かった。もともとやや人種主義的な空気が感じられるマイクルコナリーとしては。ジミーチューを生かしたのも、ヴェトナムへの賛歌では。☆☆☆☆。
読了日:06月24日 著者:マイクル・コナリー

ブラックボックス(上) (講談社文庫)ブラックボックス(上) (講談社文庫)感想
読み始めて少しして今回は軍隊がらみかと思ったらやっぱりそうだった。自分の仕事も丹念に書類を1枚1枚調べないとならない職種なので、ボッシュの捜査スタイルに大いに共感。この小説を読むことが自分の仕事へのモチベーションにつながっている。あきらめずに丹念に。☆☆☆。
読了日:06月26日 著者:マイクル・コナリー

ブラックボックス(下) (講談社文庫)ブラックボックス(下) (講談社文庫)感想
今度の上司は嫌な奴。これまでの嫌な上司はだいたい殺されてるからお前も気をつけろ!(笑)この上司のおかげでボッシュは強引(違法?)な捜査手法をとり、そのお陰で事件は一気に解決に向かうのだから不思議なものだ。このアプローチでなければ容疑者の鉄壁の守りは破れなかっただろうに。しかし娘の育て方は本当にこれでいいのか?☆☆☆。
読了日:06月26日 著者:マイクル・コナリー

秘録イスラエル特殊部隊──中東戦記1948-2014秘録イスラエル特殊部隊──中東戦記1948-2014感想
やっぱりサエレトマトカル最強!しかしイスラエルって、本当に自国内を戦場にしないことを徹底している(除くテロ)。国防のポリシーが明確。タイトルには「特殊部隊」とあるが、建国以来の特殊部隊が関わらないものも含めさまざまな戦闘を網羅している。そしてこの国の政治家はほとんどがかつて兵士だった。☆☆☆。
読了日:06月30日 著者:マイケル バー=ゾウハー,ニシム ミシャル

読書メーター

GWもあったわりにはそれほどの量はこなせなかった5月。マイクルコナリーの全作読破計画はそれなりに順調で、26作中20作まで来た。もうすぐ終わってしまう!でもマイクルコナリーを読んでいて思い出した他の既読のミステリーもあったので、再読もジャンジャンこれからしてみよう。

今月の収穫はやっぱり月の初めに読んだ元米国国防長官のマシュー・ペリーが書いた「核戦争の瀬戸際で」。知らないところで世界は破滅の一歩手前まで行っていたこと、冷戦が終わっても基本的な構図は変わっていないことがよくわかる。中距離戦略核ミサイル交渉とか、STARTⅡがどれだけ重い意味を持っていたかとか、世界にはそんなに知られていない。

なんかアニメとかのスーパーヒーローの戦いぶりは劇中でもマスコミに報じられることは少ない(エヴァは例外)が、実際の世界もそうなんだろう。

5月の読書メーター
読んだ本の数:21
読んだページ数:7968
ナイス数:133

核戦争の瀬戸際で核戦争の瀬戸際で感想
重い。キューバ危機から世界の核の危機を目の当たりにしてきた筆者の訴え。かつて人類が手にしてしまった火の扱いに困ったように、米ソの争いのために必要量をはるかに超えて作られてしまった核の扱いに人類が四苦八苦している様子が見える。ブッシュ大統領が北朝鮮との合意をぶち壊した経緯も注目。関係者の伝記を再チェックしなければ。オバマの「核なき世界」宣言はちゃんと機能していたんだなあ。国防省と関係が深いのに外交センスが高いのは、クロフネのペリー提督の子孫だからか。☆☆☆☆☆。
読了日:05月05日 著者:ウィリアム・J・ペリー
日本フィギュアスケート 金メダルへの挑戦日本フィギュアスケート 金メダルへの挑戦感想
日本フィギュアスケート会の女帝と呼ばれた筆者が、自らの女帝ぶりを余すことなく描き出す。荒川静香に金メダルを「獲らせた」経緯は特に強烈。正直に書いているんだろう。ただ全体に「それがみんなのためだったんだから」という正当化の空気が漂うのはやむをえないことなのか。裏方の働きにはなかなか光が当たらないものである。☆☆☆。
読了日:05月07日 著者:城田 憲子

アメリカ太平洋軍 日米が融合する世界最強の集団アメリカ太平洋軍 日米が融合する世界最強の集団感想
筆者がハワイに住んでいたから書いた紀行文に見える。こういった本は太平洋軍とハワイの歴史、太平洋軍の現状の構造、そして実際にあった話という構成が普通。ちょっと散漫な感じがする。さらには戦没者に軍曹が多いから「若い兵士が犠牲になっている」というのはあまりに軍隊を知らなさすぎ。この一文で、筆者が将官以上にしかインタビューしていない事が明らかになってしまった。最近のイージス艦の事故に触れてないのも不自然。ページ数が多いだけに残念。☆☆。
読了日:05月07日 著者:梶原 みずほ

天使と罪の街(上) (講談社文庫)天使と罪の街(上) (講談社文庫)感想
冒頭でいきなりポエットの生存が明らかになり、レクター博士かという展開を見せる。レイチェルはさしずめクラリスか。テリーマッケイレブにハリーボッシュまで絡んできたところでドキドキの下巻へ。☆☆☆。
読了日:05月10日 著者:マイクル・コナリー

天使と罪の街(下) (講談社文庫)天使と罪の街(下) (講談社文庫)感想
犯人側から見ると一直線のストーリーでも、一部しか見えていない追いかける側には複雑に絡み合って見えるところを、細かい描写を積み重ねてつなげていくところがマイクルコナリーの真骨頂。この作品でもその巧さが余すところなく味わえる。でも最後、絡み合っているように見えたストーリーが実は別だった、というのは多分これまでにない展開だったなあ。どんでん返しではあるけれど、これはなくても良かった?☆☆☆。これで26作中14作まで来ました!
読了日:05月10日 著者:マイクル・コナリー

終決者たち(上) (講談社文庫)終決者たち(上) (講談社文庫)感想
やっぱりハリーボッシュは刑事の方が断然似合う。探偵だと依頼人や被害者と同じ立ち位置に立ってしまう。権力を持ちながらそれと葛藤しながらストーリーが進むのがいいのかも。しかしアーヴィングとはそんなに険悪だっただろうか。緊張感はあるけどお互いにリスペクトはあったような。下巻へ続く。☆☆☆☆。
読了日:05月12日 著者:M. コナリー

終決者たち(下) (講談社文庫)終決者たち(下) (講談社文庫)感想
やはり本来の犯罪には大きなブレが無い中で、淡々と犯人に迫る姿がハリーボッシュらしい。それにしてもアーヴィングはこの事件が自分の致命傷になることを予測していたのだろうか。対して抵抗もせずに去って行った気がする。惜しい人をなくした。そしてハリーはやはり警察権力の下で初めて輝く人だ。☆☆☆☆。
読了日:05月12日 著者:マイクル・コナリー

秘密解除 ロッキード事件――田中角栄はなぜアメリカに嫌われたのか秘密解除 ロッキード事件――田中角栄はなぜアメリカに嫌われたのか感想
びっくりするような新事実はないのだが、あったことと無かったことに限りなくちかづいて、それが日本の政治に与えた影響を浮き彫りにしている。労作。ロッキード事件から50年後になる10年後にも期待。☆☆☆。
読了日:05月14日 著者:奥山 俊宏

スーパーインテリジェンス 超絶AIと人類の命運スーパーインテリジェンス 超絶AIと人類の命運感想
作者もハーバードの教授でとんでもない天才らしい。AIの脅威について著したこの大著を読むのも大変。AIが今世紀中に人類を滅ぼす確率は90%らしい。先日グーグルの自動運転車が人をはねて死亡させたので、もはやロボット3原則も崩れているが、AIにコンプライアンスを内挿するのは不可能なのか?文中では違う動機を持つものはすべて別のエージェントとして扱われているんだけど、自分の行為が法律に違反するか、違反するならどのくらいの量刑か判断させるのはそんなに難しいんだろうか。意思決定の一つの条件だと思うのだが。☆☆☆。
読了日:05月16日 著者:ニック・ボストロム

探偵フレディの数学事件ファイル: LA発 犯罪と恋をめぐる14のミステリー探偵フレディの数学事件ファイル: LA発 犯罪と恋をめぐる14のミステリー感想
作中に登場するのは数学と言うよりは算数といったところだが、巻末に各々の数学的な背景が示されている。うん。やりたかったことはわかった(笑)人物造形はいいんだけどな~。☆☆。
読了日:05月17日 著者:ジェイムズ・D・スタイン

リンカーン弁護士(上) (講談社文庫)リンカーン弁護士(上) (講談社文庫)感想
正義や真実には興味がない、ただ裁判に勝つことだけが自分の使命と考える弁護士ミッキーハラー。読み始めは細かい訴訟の技術描写が長くて面倒だったが、依頼人の態度が急に変わったところから俄然面白くなる。☆☆☆。
読了日:05月20日 著者:マイクル・コナリー

リンカーン弁護士(下) (講談社文庫)リンカーン弁護士(下) (講談社文庫)感想
一見ハラーが自分の仕事を全うしようとしているように見えるのだが、実はみごとに依頼人を罠にかける。最後はミッキーまでも大きな罠にからめとられるのだが、それは読んでのお楽しみ。それにしても二人の元妻からたっぷり愛されていていいなあ。☆☆☆。
読了日:05月20日 著者:マイクル・コナリー

エコー・パーク(上) (講談社文庫)エコー・パーク(上) (講談社文庫)感想
またレイチェルワイズか、と思いながら読んでいる。初登場のときの腹黒さがまだ払しょくできない。そしてまたアーヴィングが悪者になっているのに違和感。プロ同士じゃなかったのか?そんな中でなんとなくしっくりこないまま物語は動く。☆☆☆☆。
読了日:05月20日 著者:マイクル・コナリー

エコー・パーク(下) (講談社文庫)エコー・パーク(下) (講談社文庫)感想
ボッシュと同じ救護院出身者が登場するとは。まさに餌をやる犬を間違えたという名言。悲しい物語の中で出口を見つけるハリー。そしてレイチェルに、まるで逆の立場みたいな言葉を浴びせられる。そう、レイチェルとハリーは立場は違えどやってることは同じなんだな。どっちも純粋に汚れている。☆☆☆☆。
読了日:05月20日 著者:マイクル・コナリー

死角 オーバールック (講談社文庫)死角 オーバールック (講談社文庫)感想
マイクルコナリー18作目。割と短めだがスピード感たっぷりに話が展開していく。解決のきっかけもかなりあっさり。解き明かしたというよりはぼろが出たってとこだろうか。しかしレイチェルとのこのギスギス感は緊張感があっていいなあ(笑)☆☆☆。
読了日:05月23日 著者:マイクル・コナリー

北朝鮮 核の資金源:「国連捜査」秘録北朝鮮 核の資金源:「国連捜査」秘録感想
凄いな~、この本の読者ってどういう人だろう。外務省関係者とか銀行のマネロン担当者とかかな。あまりにディテール過ぎて正直辟易(笑)あと同僚の悪口多すぎw ☆☆。
読了日:05月24日 著者:古川 勝久

真鍮の評決 リンカーン弁護士 (上) (講談社文庫)真鍮の評決 リンカーン弁護士 (上) (講談社文庫)感想
前作からの間に色々あったんだな~。それにしてもわざわざ火中の栗を拾う復活の仕方、さすがはマイクルコナリー。そしてミッキーにも魔の手が!しかしボッシュは自分が主人公じゃないときはとことん無愛想な奴だ。下巻へ急げ。☆☆☆。
読了日:05月29日 著者:マイクル・コナリー

真鍮の評決 リンカーン弁護士 (下) (講談社文庫)真鍮の評決 リンカーン弁護士 (下) (講談社文庫)感想
この被告(依頼人)もなかなかやる。一体何が本当なのか。そして検察側をガンガン追い詰めるミッキー。そして実力行使にはとことん弱いミッキー。しかしあの人が兄弟とはねえ。見た目がいくら父親に似ているからと言って、そんなに簡単に気付くものだろうか。相手からなんらかのサインが欲しかったかも。でもこれでミッキーの安全は保証されたね(笑)☆☆☆。
読了日:05月29日 著者:マイクル・コナリー

スケアクロウ(上) (講談社文庫)スケアクロウ(上) (講談社文庫)感想
サイバーエリアでの犯罪はジェフリーディーヴァーの「青い虚空」が秀逸。マイクルコナリーは本作ではそこまでサイバースペースに入り込むつもりは無かったようで、本ストーリーへの味付けのレベル。マカヴォイの外から見た時の狡さが前作等で見えているだけに、訳あり小説の体をなしている。☆☆☆
読了日:05月30日 著者:マイクル・コナリー

スケアクロウ(下) (講談社文庫)スケアクロウ(下) (講談社文庫)感想
サイバースペース犯罪ということが強調されすぎていて、真犯人発覚(解明ではない)に至る流れもかなりシンプル。それにしてもレイチェルは相変わらず性格悪い。ボッシュもマカヴォイもそうだが、外見には嫌な奴が内面的には自分の道理を持っているというところがコナリー小説のいいところか。現実にもそんなものだろう。☆☆☆。
読了日:05月31日 著者:マイクル・コナリー

ジハード大陸:「テロ最前線」のアフリカを行くジハード大陸:「テロ最前線」のアフリカを行く感想
主に南半分のアフリカを中心にして、テロ勢力がどうやって組織を維持しているのかを書いた本。日本の新聞もそこそこやりますね。☆☆。
読了日:05月31日 著者:服部 正法

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