量は質を凌駕する

 ~ アウトドアと読書の日記

カテゴリ: ●好きな映画

実は当ブログには「好きな映画」というカテゴリーがあるのだ(笑)

WHIPLASH

「セッション」。これ、公開当初からスゲー観たかったのですよ。
ワタクシ、本当は音楽ではジャズが大好きでして、
デビッドマシューズ率いるマンハッタンジャズクインテットに始まり、
セロニアスモンク、オスカーピーターソンからソニーロリンズ、コルトレーンなどの
ソロプレイヤーにはまり、最後はギルエバンス率いるマンデーナイトオーケストラに
魂を奪われました。

なのでどうやらドラムスというソロパートに焦点を当てているらしいこの
「セッション」が公開された時は大いに興味をひかれたのですが、
日本では割とマイナーな公開だったこともあり、そのうちレンタルで見るか
と思っているうちに現在に至りました。
先に観た官九郎クンやワタナベ氏からも推薦されていましたし。

我が家で観るということはトモコと一緒に観るのが絶対であります。
映画館には一人で行きますが、自宅で見る場合はこれが不文律。
ところがここ半年くらいトモコは10時過ぎると起きていられないらしく、
なかなか観るチャンスがありませんでした。

そしてついにそのチャンスが日曜日の夜にやってきたのです!!!

ネタバレを宣言していますのであらすじを書きますと、
ジュリアードと思しき音楽院でドラムを学ぶ主人公がある日鬼教授の目に留まり、
そこから文字通り血を吐くようなシゴキに耐えて首席奏者の地位を獲得するも
心を病んで鬼教授を殴打。ケンカ両成敗でどちらも学院を去り、また再会。
教授のバンドに再度参加するも、本番で仕返しされて大恥をかかされ、
そこから主人公自らがバンドを乗っ取って最高のパフォーマンスを披露する、
というところで映画は終わる。

ジャズの世界では徹底的なシゴキから這い上がってきたものだけが一流になれる、
という業界の文化みたいなものがあるらしく、監督はその極端な例を描きたかった
ようです。

自分としてちょっと物足りなかったのは、鬼教授が少しも主人公に対して
リスペクトを示さなかったために、シゴキにちっとも愛が感じられなかったところ。
最後のパフォーマンスでは鬼教授もそのパフォーマンスにノリノリになるのですが、
その場の雰囲気で乗っていただけにも見えた。

で、自分がこれを観て思い出したのは「フルメタルジャケット」。
あれも愛の全くないシゴキにより、訓練兵が教官を射殺して自殺するという
悲劇的な終わりを迎えます。あの軍曹は本物の軍人だったし(笑)

まあ中途半端にリスペクトを入れて甘々の安いドラマになるよりは、
こういうヒリヒリした感じの方がいいってことでしょうか。
例えば最後の演奏において、鬼教授がピアノでコンダクトして、
最後は主人公も舌を巻くスーパープレイを教授が見せて、
その掛け合いで終る、とかなら良かったのか。

いやいや、素人が思いつくような陳腐なストーリーだったら、
とてもこんな名作にならなかっただろうなあ、なんて思ったりして。
でも、ラストにちょっとピンチに陥った主人公を教授が分かりやすく助けた
本作のストーリー(倒れそうになったシンバルを支える)も微妙でしたけど。

ま、最後の「キャラバン」の演奏は9分19秒もあって、
しかもジャズ好きにはたまらない名演だと思います。
ちょっとドラムパート長すぎだけどね~(笑)

主人公を演じた俳優はロックでドラムの経験があったらしいのですが、
本作のために半年くらい特訓して、おかげでその演奏がサントラにも
使われたらしいです。作中の流血シーンは半分本物とか。

たまには映画を語れてよかった!
ちょっと前の映画でニーズはないと思うけど(笑)

☆☆


で、今日。
昨日はシンスプリントかと冷や汗をかいたが、
マッサージの甲斐もあって今日はほとんど痛み無し。
走りでの支障も全くなし。

最初はカラダが重かったが、昨日は実質ランオフみたいなものだったので、
終盤に行ってどんどんペースが上がり、結局15㎞走れた。

20170117lap

今日はいつも以上にストライドを長めに取ってみたけど、意外にもった。
ネガティブ、ネガティブって唱えながら走ると、イーブンよりも楽。
ナチュラルビルドアップは気持ちイイ!

この12、13ラップ目くらいのペース、ピッチで日曜日の千葉マリンも入りたいなあ。
15kmまでの平均ペースは4:45でした。
これで今週は23km、今月は260km。400kmが現実味を帯びてきた。

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埼玉にお住いのあまけんさんから、10kmレースでPB更新したとのご報告頂きました。
20170117あまけん
次戦は東京マラソンとのこと、健闘をお祈りいたします!

最近ランがらみの記事が続いたので、たまにはまったく関係ないネタを。この方もこんな記事書いてるし。
なお本当にランは出てきません(笑)


今年はスター・ウォーズのエピソード7が公開になるとかで、スター・ウォーズイヤーらしい。うん、わかるよ、エピソード7が出てくるというこの興奮。自分も中学生の時にスター・ウォーズにどれほど熱狂したことか。

まず、あのスター・デストロイヤーのリアルさにぶったまげた。これまでの宇宙船とちがって、全体がマット仕上げ。いかにも軍用って感じ。自宅が基地の町にあったので、実物のヘリ空母を見たことがあるんだが、あれと同じ存在感というか質量感というか。

ミレニアムファルコンの適度にポンコツな感じとか、Xファイターとか、タイファイターとか、あの薄汚れた感じもたまんなかった。

戦闘シーンでも、炎も派手には燃えない。青い光がひっそりと上がるだけ。でも無重力だから上下左右均等に散っていく、このこだわり。

レイア姫とルーク・スカイウォーカーは、なんで!?ていう感じ(笑) 二人とも美男美女ではない。にも拘らず初々しく画面を占拠してた。

今年、エピソード7で、ルークやレイア姫やハン・ソロが復活する。最初に登場したときの、あのハン・ソロのワルっぷりったらなかったな~。だんだん丸くなっちやいましたけどね。アメリカングラフィティでも不良役だったしね。

でもね、お教えしよう。エピソード4で私が一番好きなシーン。それはルークがデススター攻撃に行き、あの溝みたいなところを飛ぶシーンなのだ。まず、あのスピード感がたまんない! 当時は自転車乗るときに、わざわざブロック塀のギリギリを走って脳内で再現してたな~♪ 目線を塀に近づけると、凄く速く走ってる感じになる。

さらには一発目の雷撃を外して、ルークが機械に頼らずフォースの力で照準をつけるシーン。ここにテーマソングのかっこいいパートがぴったり合ってて、それがまた萌えだった。そうそう、思い出した。10年くらい前にトリロジーのリマスターDVDパッケージが出たときに思わず大枚払って買ったんだが、編集の関係か音楽とシーンがオリジナルからズレてた。それじゃあ萌えないんだよ‼

そんなわけで、めったに映画は観にいかない私ですが、エピソード7は行くよ。独りででもw

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「地獄の黙示録」は難解な映画だ。特別完全版がリリースされてから少しマシになったが、特に最後のカーツ大佐殺害シーンは意味がわからないという意見も多い。これに対して当初の劇場版に向けて80年ごろに雑誌「諸君!」で解説を書き、特別完全版リリースに当たっても再度解説を書いた立花隆の本は一読に値する。



解読「地獄の黙示録」 (文春文庫)解読「地獄の黙示録」 (文春文庫)
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値するのだが、これをよんで本当に映画「地獄の黙示録」が理解できるかというとたぶんそうでもない。立花はこの作品が「映画に文学を持ち込んだ傑作」だとし、TSエリオットや金枝篇、ギリシア神話や聖杯伝説を持ち出して、作品のディテールがこれらの文学作品などになぞらえられていることを説明する。

たとえばウィラード大尉が川をさかのぼってカーツ大佐の神殿にたどり着く、というあらすじ自体が聖杯伝説をモチーフにしているという。またカーツ大佐が殺害されるシーンに流れるドアーズの曲の歌詞が父親殺しをモチーフにしていることから、ウィラードによるカーツの殺害を息子による父王の殺害と王位継承の物語だとしている。



ただそうするとかなり疑問になってくるのは、この舞台がなぜベトナムなのかということだ。コッポラは「これはベトナムについての映画ではなく、この映画がベトナムそのものなのだ」と語った。立花の論には、これらの文学作品をモチーフにすることが、なぜベトナムを語るために必要だったのか、という繋がりの説明が欠けている。

ウィラードはカーツ暗殺の命を受けて川をさかのぼる途中で、キルゴア大佐の殺戮場面やフレンチプランテーションなど、ベトナム戦争の欺瞞をいくつも目にし、それらの欺瞞をそぎ落としていくことで次第にカーツに同化していく、と立花は語る。確かにキルゴアが集落を襲撃しておいて、敵の傷ついた兵士に「こいつははらわたがはみ出すまで戦ったのだから、水を与えて助けるべきだ」というのは大いに欺瞞だと思う。しかしそれにあきれたからといって、自分たちが誤射し傷ついたベトナムの一般市民に「自分たちが撃った相手にバンドエイドを貼っても仕方がない」といって射殺するようになるのか。それはもともとウィラードがそういう兵士だったからなのではないのか。




もっとも重要な原作の「闇の奥」との差異の問題。原作のクルツは欺瞞に満ちた人間だが、いまわの際になって「恐怖だ!」と叫ぶ。一方のカーツ大佐も死の間際に「恐怖だ!」と叫ぶが彼には欺瞞はない。クルツの恐怖が死の恐怖なのに対し、カーツの恐怖は現世に対する恐怖にも思えるという立花の指摘はさすがだ。ただそれはいいのだが、そうであればカーツはもっと徹底的に自らの帝国を殺戮の限りをつくす恐怖の集団に仕立てなければならなかったのではないか。

確かに映像にはカーツの帝国には死体が散らばっている様子が描かれている。しかし残念ながら殺戮シーンそのものがないため、彼らが恐怖の集団である、という印象がまったく伝わってこない。ただ気味が悪いだけだ。そんなままごとをやっている集団の王様がカーツ。しかもでっぷり太っている。この映画は確かにすごい作品だと思うのだが、最後の帝国のイメージを作り損ねたところで非常に損しているのがわかる。立花はこれをシンボリックに捉えるべきだというのだが、そうすると前述したとおりシンボリックに捉えることでベトナム戦争をどう理解させようというのかの意図がよくわからない。





もちろんこれは、立花の意見がこの映画を説明し切れていない、ということであって、それがゆえに映画としての価値が減じられるわけではない。私は最後のカーツの帝国のシーンはあまり評価していないが、それにいたる川をさかのぼる道中の映像とプロセスは本当にすごいと思う。単なる派手な戦闘シーンから、プレイメイトの慰問、取り残された基地、フランス人の村を経て戦争の現実がむき出しにされていく。その過程こそこの映画のすごいところだ。ここを大幅に削った最初の劇場公開版の編集はいったい何を考えていたのか・・・

さて、前回から随分と時間が経ってしまったのだが、独断と偏見に基づく「私の好きな映画」、第2位と1位です。






第2位





「パットン大戦車軍団」!!





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ジョージ・C・スコット、カール・マルデン 他

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こりゃあもう、ジョージ・C・スコットですよ、お立会い。冒頭の演説のシーン。カッコよすぎてよだれが出そうになる。ピカピカに磨き上げた徽章、ブーツ、バックル、ヘルメット。への字に曲がった口元。自信満々のまなざし。戦争は狂気だ!といってはばからないその弁舌。傷病兵殴打事件などでD-dayでは蚊帳の外に甘んじたりもするが、決して組織に屈服している感じがしない。そして戦場での部下からの人望は抜群。自ら交通整理したり、寝ずに驀進したり。



それからこれまたこの頃のハリウッド映画の例に違わず、オープニングテーマのシーンも最高だ。キャスリーン峠の戦場で死体に群がるハゲ鷹。小学生のときにこのテーマを友達とよく教室で口ずさんでいたもんだ。どんな小学生なんだか(笑)パットン将軍については翻訳でいい伝記が無いのが残念。









そして栄えある第1位




「ライトスタッフ」!!




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(2011/02/02)
サム・シェパード、スコット・グレン 他

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はあー、もうチャック・イエーガー役のサム・シェパード最高! ピッカピカのNF104をバックに「リドレー、ガムをくれないか」のシーンが特に好きだ。大衆から喝采を浴びる宇宙飛行士のシーンと交互に現れるので、イエーガーの孤独さがまた際立つ。挑戦するだけの資質はあるが、学歴のせいで宇宙飛行士になれない悲哀。原作は宇宙飛行士の物語だったようだが、映画の主役はイエーガー。滅びざる魂を感じる。



エド・ハリス演じるジョン・グレンもよい。自信たっぷり、みんなのリーダー、ピンチには頼りになるやつ。後の「アポロ13」で管制官のリーダー役もはまっていた。彼を中心に、当時の宇宙飛行士がいかにリスクを取っていたかがよくわかる。後日アポロ1号の事故で亡くなったガス・グリソムが、マーキュリー計画でも貧乏クジを引いていたとは… 物語性も極めて高い作品だ。ジョンソン大統領も噂通り下品だし(笑)

とにかく出てくる男たちがかっこいい1本です。観るたびに勇気付けられますね♪



ベスト5以外にも面白いと思った映画はまたボチボチご紹介します。

Facebookで友人が好きな映画ベスト5を発表していた。キャンプでもマラソンでもなくblogのテーマから外れるが、実は結構映画好きなので、自分もベスト5を書いてみる。最近のはほとんど見てないが(笑)
今回は第5位から第3位までお伝えしよう。別に何の薀蓄も無く、ただ好きなだけなのであまり役に立たないが(笑)





第5位



「ディアハンター」



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ロバート・デ・ニーロ、クリストファー・ウォーケン 他

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クリストファー・ウォーケンが良いという解説も多いのだが、やっぱり自分はデニーロ。デニーロといえばタクシードライバーの「Are you talking to me?」も痺れるのだが、あの映画はあのシーンだけしか覚えていない。一方本作は、ロシアンルーレットのシーンが取り上げられがちなのだが、それとの対比でふるさとの町での住民のやりとりが実によいのだ。特にラストにみんなで「God bless Amrica」を歌うシーン。これだけみんな傷ついてボロボロになって愛国心ってなんだ、と考えさせられる作品である。このふるさとの町がロシア系移民の町であることにも注目したい。暗い物語を撮らせるとマイケル・チミノの右に出るものはいない。




第4位





「ブルースブラザーズ」



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(2012/04/13)
ジョン・ベルーシ、ダン・エイクロイド 他

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元々はアメリカのテレビ番組「サタデーナイトライブ」の1コーナーとして演奏していた番組発のバンド、ブルースブラザーズが、あまりの人気から映画にまでなってしまった。監督はマイケル・ジャクソンの「スリラー」を撮ったジョン・ランディス。そして豪華ゲスト出演者。レイ・チャールズが街の楽器店主をやったり、ゲロッパのおじさんが牧師だったり、みんなノリノリだ。スピルバーグが税務署の職員だったりするのも見逃せない。

この人たちは、大半が自分で出演を希望したらしくノーギャラのケースも多いとか。それだけこのバンドのノリが愛されたということだろう。「ブルース」という建前だが、カントリーソングのクラブで客に脅かされて演奏した「ローハイド」とか、最後の「監獄ロック」とか、もうノリノリである。でもやっぱり「Everybody Need Somebody」サイコーだ。カラオケでエルウッドのMCが表示されるらしいので、是非一度チャレンジしたい♪







第3位





「夕日のガンマン」




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(2010/08/04)
クリント・イーストウッド、リー・ヴァン・クリーフ 他

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このシリーズの第一作「荒野の用心棒」と迷うところだ。ニヒリズムという点では「荒野」が上を行くが、映画としてエンターテイメントとしての完成度は「夕日」のほうが断然高い。かなり大げさな音楽や表情なども、全体を流れる無常感のなかでうまく中和されて普通に見えてくる。

まあでも、なんといってもイーストウッドだ。ポンチョにくわえタバコ。酒場の回転ドアの前に立つ姿だけで痺れる。このころのイーストウッドは、その後の作品よりも自分の見せ方にこだわっている気がするな。演技とは体の動きや顔の表情だけではなく、肉体そのものの存在感も非常に大事だと自分が最初に認識できる作品だ。

この映画は低予算のために、スペインだかイタリアだかの田舎で撮影されたらしい。しかしこのできばえ。モリコーネのメインテーマも最高! セルジオ・レオーネ最高!! マカロニウェスタン最高! イーストウッド自身もこの映画で相当インスパイアされたらしく、自分が監督した「許されざる者」には「レオーネとシーゲル(ダーティハリーの監督)に捧ぐ」とクレジットしている。










次回はいよいよ第2位と1位をお伝えします。お楽しみに!!
それにしても戦争映画と西部劇が多いな・・・

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