主人公は、清く正しい青春をバレーボールに捧げてきた、その名も清(きよ)。あることがきっかけで、夢をあきらめて教師になるべく、海の見える中学校に赴任する(教員採用試験に受かっておらず、臨時雇いではあるが)。そこで、思いがけず文芸部の顧問となった清に訪れた変化とは……。「卵の緒」で坊っちゃん文学賞を受賞した瀬尾まいこの、デビュー第2作。大幅にファンを増やした評判作の、待望の文庫化。単行本未収録の幻の短篇「雲行き」も収録。(Amazonより)

図書館の神様 (ちくま文庫)図書館の神様 (ちくま文庫)
(2009/07/08)
瀬尾 まいこ

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最近いろんな方のブログを猟渉してまして、それも参考にちょっとだけスタイルも変えてます。

本書は最近いたく気に入っているゴロちゃんさんのブログからのチョイス。

実は自分は、日本の若手小説家の作品があまり得意ではない。主な理由としては、文章力の低さとリアリティのなさ。
特に自分が歳を取るにつれ、自分の経験値も蓄積されていくわけで、リアリティについては自然と目線が上がっていく。読んでいてリアリティが無いなあ、と思った瞬間にもうその作品に感情移入するのは無理だ。

文章力の方はうまく説明する自信がないのだが、たまに非常に平凡で一般的でしかない表現に出くわすことがある。あるいは明らかに借り物の表現に出会うことがある。そうすると、この作者は自分が本当に言いたいことがわかってないんじゃないかと考える。

文章を作る作業は、書いてみて読み返してみて、自分の言いたいことが最も適切に表現されているかを考えて、足りなければまた書き直して、という連続だと思う。言葉が借り物の人は、表現したい事柄自体も借り物に違いない。であればその人の作品を読む必要が無くなる。限られた時間を割いてわざわざ役にも立たない虚構の世界に首を突っ込んでいるのだから、読者に虚構であることを思い出させない最低限の義務が作家にはあると思う。

そんなわけでここ数年の自分の読書は、主としてノンフィクションや枯れた小説(吉村昭とか藤沢周平とか)に偏っていた。ノンフィクションならリアリティが無いことはあり得ないし、文章力が無くったって我慢できる。まあノンフィクションにはノンフィクションでまた求める目線があるのだが、本日は割愛。その観点では自分の推奨No.1は吉村昭だが、これも本日は割愛w

で本作だが、久々に小説を読んだということもあるのかもしれないが、文章の隅々にまで作者の神経がいきわたっているのが感じられる。無駄がないし、足りないとも感じない。それから登場人物同士が馴れ合っていない。常に互いに対して何らかの緊張感や不快感を感じているのがわかる。実際の人間関係はこうである。いつも気持ちのいい空気の中で、流れるようにファッショナブルに人間関係が続いていくわけがない。

そして最も大事な自分自身に対する嫌悪感と苛立ち。名前は「清」でも自分にはなんの価値もない。今、捨て鉢な生活を送っているのも、たまたま同級生の事件に遭遇してしまったせいではなく、以前からの「花を枯らせてしまう自分」「他人に厳しい自分」を一層嫌悪するようになったせいだ。そして他人に厳しい不倫相手に自分との類似性を見出し深みにはまっていく。

でも毎月亡くなった同級生の墓参だけは続けることで、その母親から手紙をもらう。垣内君とも心が通いあう。自分という嫌悪されてしかるべき人間を評価してくれた、自分を好きになれるかもしれない、という主人公の嬉しさが伝わってくる。「花を枯らせず育てる方法がわかった」となるわけだ。

そんなリアリティのある状況の中だけに、主人公が少しづつ変化していくさまもリアルに伝わってくる。実際の生活の中でも、そう何度も「やったぜ!」的なイベントがあるわけがないし、主人公に劇的な変化が無くてこのまま日常が流れていくという内容でも自分にとっては十分気持ちいい。が、作家本人が思っている以上にこの文章は重厚ですよ。説明しすぎないのもいい。不倫相手と別れて淋しくなる場面も、淋しがってはいるが抑制が効いている。

あえてケチをつければ、タイトルとペンネームがライトなので一瞬ライトノベルかと思ってしまう(だいたい「図書館」じゃなくて「図書室」だろうしw)それからそれから不倫相手と「将来の話をしなくなった」という部分。不倫相手とはそもそも将来の話なんてしないでしょ、将来が無いから不倫なんです。(いや、よくは知りませんがw しかし我ながら重箱の隅を・・・)

本作が作家として2作目とのことなので、この丁寧さをもう少し見守る意味で☆☆☆☆。もう何作か読みたくなりました。しかし我ながら長々と書きすぎだろ・・・

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