切なさの分だけ家族は確かにつながっていく佐和子の家族はちょっとヘン。父をやめると宣言した父、家出中の母、秀才の兄。この家族と佐和子の恋を切なく温かい筆致で描き、映画化でも話題となった感動作。

幸福な食卓 (講談社文庫)幸福な食卓 (講談社文庫)
(2007/06/15)
瀬尾 まいこ

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「図書館の神様」がなかなかだったのでこちらも読んでみる。「お父さんはお父さんをやめることにした」というのがこの小説の出だしだ。なかなかインパクトがある、と思っていたら母親も家を出て一人暮らしをしている、優等生の兄も大学には進学せず就職、という家族みんなが何かに疲れている設定だ。

ただしお話自体は淡々と木目細かく進んで行くので、ああ、瀬尾まいこだな、とおもう。しかし物語の後半、主人公を悲劇が襲い、それをきっかけに家族が再集結する、ということなのだが、そもそも家族がバラバラになったきっかけも、この悲劇も人の生死に関わる事件だ。この構図は高校生が主人公の小説としてはインパクトもあるが、結構グロテスクだ。

この人は、こんなに設定にインパクトを持たせなくても、描写の積み重ねで十分本が書ける人だと思うのだが。
☆☆。