第二次大戦時に米国軍海兵隊員だった父は、死の間際に「自分は沖縄戦に加わり、日本兵を殺した」と告白した。
作者は父と同じ部隊にいた元兵士たちを訪ねてインタビューし、沖縄へ飛び、戦争の凄惨な実像に迫っていく。



日本兵を殺した父: ピュリツァー賞作家が見た沖縄戦と元兵士たち日本兵を殺した父: ピュリツァー賞作家が見た沖縄戦と元兵士たち
(2013/06/24)
デール マハリッジ

商品詳細を見る





著者はノンフィクションでピュリッツァー賞を受賞したジャーナリスト。長年、戦傷による外傷性ストレス症候群に悩まされてきた父親の足跡を、戦後60年経って追いかけた本。おそらくこれまでは筆にするのがためらわれてきたに違いない米軍側の残虐行為にも光が当たっている。

米軍の沖縄進攻時には住民や投降兵は米軍に人道的に扱われてきたと、従来考えられていた。また戦争から長い年月が過ぎ、日本側もアメリカ側もすでに憎しみは無く、いつしか友情に変わってきたとも思われている。しかしこの本は、そういったナイーブなものの見方に冷水を浴びせる。そこに描き出されるのは、日本も米国も関係なくお互いを蹂躙する残虐行為や、戦後60年以上が経っても決して消えない憎しみである。

著者は、どちらの側にも偏ることなく、今日も存命の退役軍人が語る当時の真実や、決して消えない悲しみや憎しみを客観的に描き出す。これはまぎれもなく当時起きたことであるとともに、これらを一括りにして「一方が残虐で一方が人道的だった」などと総括できるものではない。まさに、戦いに参加した者の数だけ戦争の真実があるのだ。戦争全体の真実に少しでも近づこうと思ったら、とにかくたくさんの人の話を聞くしかない。そのことを強く分からせてくれる一冊である。それだけに、当事者たちが高齢化してきている今、貴重な記録である。

かつては映画や文学などでは戦場での救世主のように扱われてきた米軍であるが、映画「プライベート・ライアン」で捕虜を処刑するシーンが撮られたころから風向きが変わってきたようだ。あれは98年の映画だった。

もう一つ、マッカーサーはその戦略家としての評価がとかく分かれる軍人であるが、この本ではニミッツ提督などと比べて、とにかく部下の損耗を回避することを第一に考える人だったことが記されている。朝鮮戦争で北朝鮮に原爆を落とそうとしたことだけが汚点だったということか。

問題作ではあるが、ノンフィクションとしての広がりに欠けたのは残念。☆☆☆☆

こちらもポチっとお願いします。m( _ _ )m
にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ
にほんブログ村