勝ち残り生き残るたびに、人の恨みを背負わねばならぬ。それが剣客の宿命なのだ剣術ひとすじに生きる白髪頭の粋な小男・秋山小兵衛と浅黒く巌のように逞しい息子・大治郎の名コンビが、剣に命を賭けて、江戸の悪事を叩き斬る田沼意次の権勢はなやかなりし江戸中期を舞台に剣客父子の縦横の活躍を描く、吉川英治文学賞受賞の好評シリーズ第一作。(第1巻のデータ)

剣客商売 (新潮文庫―剣客商売)剣客商売 (新潮文庫―剣客商売)
(2002/09)
池波 正太郎

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ほぼ1ヶ月前から読み始めたのですが、ようやく16巻全巻読了です!

そもそもが架空の主人公を中心にした時代劇で、毎回毎回いろんなエピソードで展開していくというこの構成は、最近流行の「居眠り磐根」でも見られますが、物語自体がどこにも向かって行かず、ある意味主人公の日常を綴っているだけという意味で画期的ではないでしょうか。「御宿かわせみ」なんかもそうですね。

一度はまると、ほぼ無限にいつまでも気持ちのいい世界に浸っていられる、ということで読書との向き合い方として一つのジャンルと見るべきだと思います。これが主人公が何かの目標に向かっていくという設定だと、少年漫画でよくあるように、敵を倒すたびに新たな敵が登場するという食傷気味の展開になるわけですが・・・。

著者はこの16巻目を書き終えてすぐに亡くなったそうですが、この16巻目の終わり方もちゃんとシリーズが終わるという書き方になっています。これは著者が死期を悟ってこうしたのか、たまたまそうなったのか、あるいは後日編集者が加筆したのか。だれが真相をご存知でしたら教えてください。

なおこの文庫版では全巻常盤新平が解説を書いています。解説自体がネタばれなので必ず後で読んで頂きたいのですが、この解説はなかなかいけてます。「そこを見るのか!」という感じですので、本編と一緒に必ず読まれることをお勧めします。

いつも読んでいただいてありがとうございます。

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